「ハードで、4つ打ちで、踊らせるラウドなロックバンド」そこにだけくくられたくなかった
――今回のニューアルバム『Breaking Out Basis』は、前作のダンスミュージック然としていた作風に比べ、どちらかというとインストや歌のないロックアルバム的な印象を凄く受けました。正直、今作はもっと、ガシガシでアゲアゲなダンスミュージックアルバムになるだろうと予想していたので、かなり意外でした。
Kikuchi 僕らのことを知っている人たちは、みんな同じ予想をしていたと思いますよ。でも、そうじゃなかったという。
George してやったりですね。その辺りは狙いです。そういったイメージがあることは分かってたし、ライヴでもその辺り、凄く感じてましたからね。だけど、自分的には、逆にその辺りがイヤになったところがあって。対バンも段々ラウドロック系の人たちが多くなってきてたし。周りも激しいものを期待し出しましたからね。いわゆる<ハードで、4つ打ちで、踊らせるラウドなロックバンド>みたいな。だけど、そこにくくられたくなかったんです。元々の自分たちの主旨と段々と違った方向に傾きつつあったんで、<僕らがやりたかったのはそういったことじゃない>ことを早目に伝えたかったんです。元々そういったバンドじゃなし、<実はこんな音楽が演りたかったバンドになんです>をこの1枚で示したくて。
――今作は、抒情性やメロディをキチンと感じるし、1曲1曲タイプも違うし、幅もバラエティさもあり、且つ、80年代後半~90年代のUKダンスミュージック的な懐かしさも感じさせる要素もある作風ですもんね。
George そうなんです。「ダンスロック」と言われている、今のシーンからは、どうしてもかけ離れたものが作りたくて。もちろんダンスロックと呼ばれているものにも、好きな作品も多いんですが、今の僕らはそこのくくりじゃないなって。今回の作品は曲がいいものを集めたアルバムにしたかったんです。
Kikuchi ハードな4つ打ちで無理矢理に躍らせてもな…っていうのが、最近ずっとあって。飽きられちゃうし。それよりは長く聴ける作品を作りたくて。長く聴いてもらえないと意味がないですからね、ミュージシャンとして。
――いわゆるダンスミュージックというよりは、歌のない歌ものに近い作風の印象を受けました。
George ある種、なんでもない音楽とでも言うか。テンションにしても、ハイでもローでもないミドルなテンション。気持ちを真ん中に持ってこようとの趣旨の下、作りましたからね。1st『RETRONIX』は、とにかくハイテンションと勢いでパーッとやった感じだったのに対して、今回はもうちょっと落ち着いて作ろうか、みたいな。おかげさまで、より自分たちの音楽へのこだわりが強くなった作品になりましたね。音の出し方にしても、選び方にしても。より洗練された自負はあります。
――先ほど挙げた、どこかしら80年代後半~90年代のUKダンスミュージック的な懐かしさを感じた要因は、なぜでしょうね?
George 兄貴の影響で、その辺りをもうバリバリ聴くし、大好物ですからね、僕。なので、今回はその辺りのテイストがより色濃く出ていると自分でも思います。あと、音色にしても、欲しい音があったら、サンプラーではなく、あえて当時の楽器を使ってそれを出したし。欲しい音を楽器の特徴をそのままに出すというところには、こだわりました。なので今回は全曲実機を起用しているんです。
――今の時代、FM音源のシンセを使っているバンド、なかなかいませんよ(笑)。
Kikuchi ギターにしても今回は、アンプもヘッドも楽曲によって使い分けてますからね。この曲だったらこの組み合わせがいいだろう、こんな古臭い音が欲しいから、この組み合わせにしよう、みたいな。
限られた環境の中、頭の中の理想の音を出そうか? を試行錯誤したレコーディング
――今作では、Georgeさんやバンド名義が中心ながらも、他にもメンバー各人が1曲づつ作曲を担当してますね。
George それぞれのメンバーが楽曲を持ち寄った方が、違ったタイプの楽曲が揃うし、バラエティに富みますからね。あと、これによって、メンバー各人トラックメイカーデビュー出来るし。まっ、それ以上に、僕が一人で10曲作るのが大変だと思ってたんで(笑)。軽い気持ちで、「やってみたら」と誘ったんですけど、みんな二つ返事で、「いいよ」って。
Kuramochi 軽く引き受けたものの、いやー、大変でした(苦笑)。結果、最初の自分のデモとは全く違ったタイプの曲として完成しましたから。
Kikuchi 自分の曲が今作の中で一番最初に出来たんですけど、最初のデモでは、ハウスだったんですよ。今はラテンみたいになってますが。あと、この曲(“Zamora”)では、打楽器をメロディ楽器のように扱うというのも途中コンセプトとして入り出して。<歌う打楽器>というか。だけど、このパーカッションの部分にしても、実際のパーションじゃなく、ドラムのスネアやフロアタムのチューニングを変えたり、ギターをタップした音を加工してそれっぽく聴かせているだけなんです。
――安上がりですね(笑)。いや、創意工夫と呼びましょう(笑)。
Kikuchi D.I.Y.と呼んで下さい(笑)。
George だけど、要は、お金を使わずとも、アイデアと工夫でいかにそれっぽく上手くやるかですよ。欲しい音がすぐ手に入っても面白くない。お金と時間をかければ、こういった音楽って、行けるところまで行けると思うんです。だけど、あえてそうしない人の強さを見せましたよ、今作では。そういった意味では今回は、この限られた環境の中、どうやって頭の中の理想の音を出そうか? を考えたり、試したりする良い機会になりました。
――あと、今回の楽曲たちは、ライヴでより変化や成長を見せていきそうですね。
George 今は満足して、完成形と思っていても、すぐまたいじりたくなるでしょうからね(笑)。ライヴを通し、どんどん成長したり、変化したりすると自分たちでも思っています。
――そうそう。Qeticでの、デモテープから収録楽曲が出来るまでを公開した、あの連載の感想はいかがですか?
George 手の内をバラし過ぎちゃったかなって(笑)。かなり赤裸々に公開しちゃいましたからね。とはいえ、進化の過程を見せられたのも面白かったし、なんだったらミュージシャンって名乗っている人は、全員ここまでさらけ出して欲しい(笑)。今回、Qeticさんと一緒にできたのは嬉しかったし、自分たちでも、自分たちの楽曲を改めて見つめ直す良い機会になりました。
――間もなく初の全国ツアーが控えてますが、その意気込みを。
George 今までは各地に呼ばれて行ってましたが、今回は自分たち主体で行くので、ワクワクすると同時にプレッシャーもあります。サウンドにしても、人間にしても、よりたくましく人間力が上がっていくことを期待してます。音源だけしか知らなかった人とも、たくさん出会えるのも楽しみだし、今回の作品がどのようにライヴで変化するかも楽しみにしていて欲しいですね。
――では、最後に今後の展望を教えて下さい。
George これからもシーンを追わないバンドでいたいです。唯我独尊で。自分たち、Mop of Headってジャンルで行きます!!
interview&text by 池田スカオ和宏[LUCK’A Inc.]
photo by 横山マサト
interview photo at CAFÉ Luckand Et cetera
Mop of Head – “UNCONTROL”
★編集後記:なぜメンバー3人のインタビュー?
台湾での<URBAN NOMAD FILM FESTIVAL ’13>参戦したMoH。帰国した翌日にインタビューに応じてくれた彼らですが、ドラムスのYamashita氏が当日遅刻の為写真のみ参加・・・。お疲れだったよう(´・ω・`)次の機会には4人揃ってインタビューしたいデス!
★モットMoHの事色々知リタイィィー!!!
↓↓↓そんなアナタにオススメなのがkino barでのリリース記念イベント!! 以下インフォをチェケラ!!↓↓↓
★イベント前日5月11日(土)、ナントGeorgeがGAN-BAN店頭に立つヨ!! みんな行くべし!!!!
Event Information
Mop of Head NEW ALBUM 『Breaking Out Basis』リリース記念
Mop of Head Special Meeting supported by GAN-BAN
2013.05.12(日)@渋谷kinobar
OPEN 15:00/START 15:30
出演:Mop of Head、MC:Takeru John Otoguro(block.fm)
※招待券をお持ちの方のみ入場可(1ドリンク別)
注意事項
• 特典は、先着となります。なくなり次第、終了とさせて頂きます。
• トークショー&ワークショップイベントご招待特典は、店頭で対象商品をお買い上げ頂いた方のみの特典となります。
• お申し込み後のキャンセルは一切お受け出来ませんのでご了承下さい。なお、「不良品」・「商品間違え」等、ご希望商品に添わないものが届いた場合のみ、商品到着日より10日以内に受領書・お客様注文番号をお手元にご用意の上、ご連絡ください。連絡先:03-3477-5701(AM10:00~PM9:00)
Release Information
2013.05.08 on sale! Artist:Mop of Head Title:Breaking Out Basis CONNECTION YNWA-010 ¥2,625(tax incl.) Track List |