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千葉県松戸市にノスタルジックさを感じる、“THE 団地”といった佇まいの建物がある。しかし、この建物内にひとたび入ってみると、ノスタルジックさやレトロ感は微塵も感じず、おしゃれで風変わりな、個性あふれる部屋ばかりだ。この建物はロッコーハイツといい、住人が好きなようにリノベーションができる、”セルフリノベーション“物件。

運営者の山口稔史(NEN)さんは、ロッコーハイツの運営と並行して果樹園も営んでいるのだが、このふたつの活動に至るまでの経歴も風変わりである。1996年、ストリートダンサーとしての活動を開始し、テクノシーン、ダンスパフォーマーのパイオニアとして名高い”迷彩”に所属。2000年代に入ると、DJとしての活動をベースに、幅広くダンスミュージックと触れ合い、<渚音楽祭>や、ageHaなどの大箱から小箱まで、数多くのフェスやイベントへ出演してきた。また<Sound Selection>、<Funny Control>など、数千人規模のフェスをオーガナイズし、デザイナーとしても活動するなど、経歴は多岐にわたる。

現在、DIYやリノベーションという言葉はとても身近な存在である。その中でも山口さんは、あくまでも“セルフ”を提唱し、居住者とライフスタイルのつながりを重視した、一風変わった物件の運営をしている。そんな山口さんから、ロッコーハイツ運営に至るまでの経緯や、セルフリノベーションの楽しさ。そして身近なところからできる、”セルフ”なプチリノベーションまで、いろいろと話をお伺いしてきた。

Interview:山口稔史

ーー山口さんはダンサー、DJ、オーガナイザーなど、音楽を中心とした活動をしていましたね。しかし、ここ数年は“セルフリノベーション”を提唱し、未リフォームマンションであったロッコーハイツをリノベーションして運営をなされていますが、どのような経緯でロッコーハイツの運営に至ったのでしょうか。

過去にさかのぼると、自身が興味を惹かれ、やりたいと思ったことや感じたことは行動に移してきたので、結果としていろいろな活動をしてきました。僕が学生時代だったころは、空前のヒップホップブームということもあり、ストリートダンスに夢中になりました。ブラックミュージックにはじまり、ビッグビートやテクノなどを踊るダンスチーム、”迷彩”にも所属をしていました。そのような流れもあり、DJをはじめましたが、活動を続けるうちに、クラブイベントや野外フェスのオーガナイズも経験しました。また、それらにまつわるフライヤーなどのデザインや印刷物にも興味を惹き、同時にDTPもこなしながら20代から30代前半は過ごしていましたね。

生活空間をプロデュース。セルフリノベーションというカルチャー nen_panel780

ーー興味を惹くものがあるなら行動に移す。アクティヴな20代から30代前半を過ごされたんですね。

現在もロッコーハイツの運営をしていますが、昼間は家業のひとつである、梨やブドウといった果樹を中心とした山口農園で農業もしています。今回は”セルフリノベーション”に関しての取材を受けていますが、僕は建築やリノベーションの分野への知識をまったくといっていいほど持っていないんですよね。

生活空間をプロデュース。セルフリノベーションというカルチャー shirahama_panel780

ーーこのような経歴の中で、どのようにセルフリノベーションというカルチャーへと出会ったのでしょうか?



30代前半に、父親と家業である農業のことで衝突した時期がありました。同時期に、自分が所属していたパーティークルーと野外フェス、<Sound Selection>の企画をしていたので、親との衝突、野外フェスの企画や準備が重なったことがきっかけとなり、南房総市のシラハマアパートメントへと住み込み、南房総市にお世話になりました。ここではじめてリノベーション物件というものに出会い、シラハマアパートメントの空間へとすっかり魅せられてしまったんです。シラハマアパートメントで生活したことをきっかけとして、自身もリノベーションへと興味を惹くこととなり、動き出すことにしました。

ーーそれからロッコーハイツと出会うんですね。リノベーション前はどのような建物だったのですか?

ロッコーハイツの正式名称は『六高ハイツ』。1973年に父親が苦労をして、借金をしながら個人で建てた古い団地のような物件。僕が幼いころからあったので、出会ったという感覚はありません。古い団地のような見た目に、鉄筋コンクリート5階建て。間取りも全室一緒。駅からも遠いです。管理をしている僕自身がいうのもなんですけど……これといった魅力のない物件でした。ロッコーハイツはリノベーションをはじめるまで、時代の流れに合わせたリフォームをしてきませんでした。古い状態のまま、ただただ家賃を下げて、入居者を待つ状態です。そのうえ、エレベーターもないので、5階はすべて空室でした。

生活空間をプロデュース。セルフリノベーションというカルチャー rh_gaikan2_780

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Mako Masaya

Mako Masaya

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