福岡市早良区在住のラッパー兼ビートメーカーのNF Zessho。彼が3rdアルバム『CURE』を4月25日(水)に〈Manhattan Records〉からリリースした。
本作は自身がラップ、ビートメイクを手掛ける[Side B]と、“盟友”とも言えるビートメーカーのAru-2、YOSHINUMA、さらに昨年のHIPHOPシーンを颯爽とかっさらった唾奇やSweet WilliamらPitch Odd Mansionの面々も参加した[Side A]、ふたつの魅力を味わえる構成となっている。
インタビューは渋谷のマンハッタンレコードで、NF Zesshoと本作でエグゼクティブ・プロデューサーを務めたPitch Odd Mansion のKunieda Shintaro、そしてビートメーカーのYOSHINUMAも参加して行われた。
Interview:NF Zessho×Kunieda Shintaro
——渋谷はあまり来ませんか?
NF Zessho 俺はライブに呼ばれたら来る感じですね。
——今も福岡に住んでるんですよね?
NF Zessho はい。ただこのアルバムを出す作業がいろいろあったので、その関係もあって最近は東京に来ることは増えましたね。
——3rdアルバムの『CURE』ですが、制作はいつ頃からスタートしたんですか? 他の参加した作品とも並行しての制作だったと思うんですが。
NF Zessho 話自体が立ち上がったのっていつぐらいでしたっけ?
Kunieda Shintaro 僕のところに話が来た時点では、ほぼ音源は固まってて。それを踏まえてどうしようって感じで、アルバムを出す出さないって言う話は去年の11月ぐらいかな。
NF Zessho “Inner Child”とか“Jenny Gump”とかは2年前とかにできていた曲なので。
——それらの曲を軸に作っていった感じですか?
NF Zessho そうですね。『Cheap Tricks』っていうビートジャックもののミックステープを出したんですけど、そっちは俺の中の基本の曲をぶち込んで、変化球っぽい曲はこっちに持ってきた感じです。
——すでに“Jenny Gump feat.サトウユウヤ”はMVが公開されていますが、サトウユウヤさんといっしょに制作するに至った経緯は?
NF Zessho あれは元々、俺がひとりで作ってSoundCloudにアップしてたんですけど、ユウヤさんに電話した時に、「あの曲すげーイイからリミックスしたいんだけど」みたいに言ってくれたのでインストだけ渡したんです。そしたら俺に何の話も無いうちにSoundCloudにリミックスがアップされてて。でもそれが超カッコ良くてブチ上がったっていう。
——そういう経緯だったんですね。Kuniedaさん的にMVのコンセプトは?
Kunieda Shintaro 曲自体はシティライトなイメージがあるんですけど、普通に思いついたのをやるのは嫌だったんですよ。なのであえて田舎なんだけど、野暮ったい感じではなくて品のあるロケーションというのを一番に考えました。あとは……遊びに行きたいっていう。
一同 ハハハハハー!
NF Zessho 軽井沢で撮ったんですけど、すげー良いところでしたね。直前まで知らなかったんですけど、けっこう思い出深い日になりました。
NF Zessho / Jenny Gump[Another] feat.サトウユウヤ
——今後は別の曲でMVが公開される予定はあるんですか?
NF Zessho 5月1日に“Blono’s Way feat. RAITAMEN(prod by Sweet William)”を撮ってきました。
——あの曲はいろんな固有名詞が出てきますが、まずジョジョが好きなんですか?
NF Zessho そんな深いとこまではあれですけど……ジャンプは好きっすね。ジョジョも好きで、あの曲はゲームや漫画のトピックでできました。
——最後にブルース・ウェイン(バットマン)も出てきますね。
NF Zessho アメコミはめちゃめちゃ好きってわけでは。ただ『ダークナイト』を観たいがために『バットマン ビギンズ』を観たんですけど、結局『ダークナイト』は……まだ観てない。でも制作の時に観てるアニメとか漫画は、けっこう曲の中に出てきやすいですね。
NF Zessho / Blono’s Way[Another]feat.RAITAMEN
——出てくるワードが個人的に好きなものばかりでした。YOSHINUMAさんは早い段階から今回のアルバムの話は聞いてたんですか?
YOSHINUMA そう……ですね……。
NF Zessho 最初半分だったよね?
YOSHINUMA いやなんか、新しいコンセプトのものをやるっていうイメージだったんですよね、最初は。それが溜まっていって、アルバムにするかっていう感じでしたね。
——そこに過去2作との違いはあったんですか?
NF Zessho 1st(『Natural Freaks』)はアルバム用にビートを集めたりしてました。2nd(『Beyond the MoonShine』)は……YOSHINUMAのビートにラップしたりはしてたんですけど、全然それがうまくいってなくて。ただAru-2からもビートをもらってて……“jet pilot”っていう曲ができてからはノってきて、持ってたビートを全部もらってどんどん作ってっていう感じでした。自然と作ったり、作ろうと思って作ったり……どっちとも言えますね。
YOSHINUMA 端から見てると、何曲かは中心となる曲が自然とできてて、それでアルバムにしようってなってからはコンセプトに沿った曲を作ってたっていう印象かな。
NF Zessho そうかも。わりとずっとYOSHINUMAは相談役のような感じでいるんで。彼の方が俯瞰的に見てくれてるかもしれないですね。
——Kuniedaさんは今回のアルバムにおいてどういう関わり方をしたんですか?
Kunieda Shintaro なんだろうね? 「いいよ」っていう人。
一同 ハハハー!
NF Zessho 確かに。
Kunieda Shintaro 全体像を見て、ゆるく「こんな方がいいんじゃない?」って言うぐらいだよね?
NF Zessho そうっすね。曲に対して何か言われたりとかは無くて。「ウィルさん(Sweet William)呼んだらいいんちゃう?」とかはありましたけど。
Kunieda Shintaro フィーチャリングの提案だったりとか。あとは褒める人。
NF Zessho ハハ! そうっすね、ひたすら褒めてくれる人。
——おふたりの出会いは?
NF Zessho 初めて会う前から、存在は知ってたんですよ。
Kunieda Shintaro 俺もなんか知ってた。元々俺は名古屋なんですけど、名古屋のイベントに呼ばれてたんだよね?
NF Zessho そう、<ラルコネ>っすね。そこで初めて会いました。
Kunieda Shintaro 5、6年前。今日あったのも3回目。
NF Zessho あんま会ってはないんですよね。
Kunieda Shintaro 元々はSweet Williamが「このラッパーいいよ」って教えてくれて。あと僕企画のコンピレーション・アルバムに誘ったりはしていて、やり取りはけっこう長いことやってはいるんですけど、出会いは正直あんまり覚えてないです。
NF Zessho 名古屋で会った時も、しっかり話さなかったんですよ。コンビニの前でちらっと話したぐらいで。どっちかって言うとRAITAMENとかサトウユウヤとかと俺は仲が良くて、Shintaroさんもそいつらと仲が良くてみたいな。
Kunieda Shintaro なので話が通じることが多くて。