【インタビュー】福岡在住のラッパー・NF Zesshoが、3rdアルバム『CURE』で仲間たちと表現する“少しだけ救われた”今の音と言葉。 180428_QeticZ0463-1200x857

——そこからの流れで今回のアルバムにはPitch Odd Mansionの面々も多く参加してるんですね。唾奇さんが“Wonder Child”に関して、Twitterで「ベストバース蹴った」と言ってたのが印象的でした。

NF Zessho 唾奇くんは初めて会う前に“道-TAO-”っていう曲をYouTubeで観て。「この人ほんとヤバイ」と思って、YouTubeにコメントしたんですよ。そしたら「良かったらリミックスしてください」みたいに送ってきてくれて、それを一日でソッコー送り返して、みたいな関係が会う前にあって。それで俺が平日にイベントをやってるんですけど、その次の日に唾奇くんのイベントあった時に遊びに来てくれた。そこから会うようになったんです。“Wonder Child”って「トラウマから解放された人」っていう意味で、それって俺の周りだと唾奇くんしかいない。

Kunieda Shintaro わかりやすい例だよね。

NF Zessho 正しい言い方かわからないけど……成り上がった人っていうか、一番解放されたところに近い人。この人がこの曲でこの位置にあるのは、このアルバムのいいとこっすね。

——確かに、ラストを締めくくるにふさわしい曲ですね。アルバムが[SideB]と[SideA]に分かれているのには理由があるんですか?

NF Zessho もともとは[Side B]でひとつの作品だったんですけど、Shintaroさんとかと相談しながらこういう形になりました。でも俺としてはただリミックスが入ってるだけはイヤなんですよね、必然性がない気がして。今回に関してはストーリー性もあるし、人を呼ぶ必然性もあったから、こういう形にしたって感じです。

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——リスナーからしたらアルバム一枚で“二度美味しい”感じですけどね。〈Manhattan Records〉からリリースするキッカケはあったんですか?

Kunieda Shintaro それもアルバムができた段階でいろんな繋がりに相談してですね。

NF Zessho 1stと2ndはほぼ自主だったんですけど、いろいろ音楽以外で限界があるなと思ったんで。『2 HORNS CITY』からの流れもあったんで、Shintaroさんにお願いできないかなと思って声かけた感じです。

——なるほど。Kuniedaさんから見たZesshoさんの魅力はどこにありますか?

Kunieda Shintaro 単純にラップは魅力のひとつ。重たい歌詞じゃないのが良かったり、ワードセンスが面白かったり……ざっくり言うと、あんまりまだ広まってないですけど、「高い次元のラップをしてるんだよ」っていう。あと基本的に自己完結型なんで、そこがいいっすね。Pitch Odd Mansionもそうなんですよ、レーベル内で音もデザインもすべて作って。そういう面で気持ち的にも合う。マルチって半端なものが出やすいんですけど、彼はそうじゃないところがいいっすね。

——両方できる人はそこそこいますけど、高い次元で両立できる人はそうそういないですよね。

Kunieda Shintaro そうですね。彼の場合、ビートアルバムを出してもいいと思うし。

NF Zessho まあでも気持ちとしてはラップに比重があると思ってますね。単純に俺の周りにヤバいビートメーカーが多いので、俺がビートメーカーっていうのは、はばかられるような感じっすね。

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——Zesshoさんの曲は一聴してビートの“耳障りの良さ”に持っていかれるんですが、しっかりリリックを読むとまた深みが出る印象があって。これから聴くリスナーには、ぜひ『CURE』でもリリックをじっくり読んでほしいなと思ってます。

NF Zessho ありがとうございます。TwitterとかSNSでちらほら聞くのは「何周目から良くなる」みたいな。

Kunieda Shintaro スルメ?

——それは言い得て妙ですね。アルバムのタイトルは『CURE』、つまり癒しということですが。

NF Zessho 癒し……癒されるまでの過程というか。もう一回、立ち上がっていくっていう感じですかね。これまでも「やってくぞ」「もうダメだ」の繰り返しだったりするんですが。

——それでも“Jenny Gump”の「人生俺と俺のFriend達がメインキャスト あとは関係ねえ脇役 そう思えた時やっと少しだけ救われた」というリリックには、今のZesshoさんの心境が現れているのかなと思いました。

NF Zessho まあ……あのラインに関しては、けっこう冷たいと思ってて。自分と関係あるヤツ以外はどうでもいい……と、正直思っちゃってるんですよね。自分が楽しく生きるためには関係ないじゃないですか。生き物の価値って社会に迎合してやっていくことじゃない、そういう考え方から出たラインかもしれません。

——僕的には、『CURE』は完全に胸を張ってるようなアルバムではないと思ってて。迷いや葛藤はあるけれど、“少しだけ救われた”今のZesshoさんの音と言葉が現れているような気がしました。

NF Zessho ああ……それ、正解かも知れないっす。基本的に気を遣うのが嫌なんですよね、言い方がよくわからないですけど。でも福岡はみんな良い音楽をやっていて、居て楽しいっすよ。音楽に関して俺は、福岡に生まれて誇らしいです。

——じゃあ今後も福岡で……?

NF Zessho いや……それがちょっと迷ってて。単純に俺個人の話ですけど、友だちがこっちの方が多くなってきて。もしかして東京の方がいいんじゃないかとも思ってますね。来たら来たでしばらくしたら帰りたくなると思うんですけど。福岡は行くとこも限られるし、ほぼ行ってるんですよ。それなら新しい場所でチャレンジしてもいいかなと。

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RELEASE INFORMATION

CURE

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interview&text by ラスカルNaNo.works