車にキャンバスを張り付けて首都高を走ってみる。
どれだけ空気が汚れてるか見えるかも。
——この企画は地球温暖化問題のプロジェクトということでしたが、参加されてみて、思われたことや感じたことはありましたか?
のん 今回赤鬼をやらせてもらって、こういう活動をたくさんの人に知ってもらう役をさせていただけたことは、素敵なことだなと思いました。
多田 環境問題や温暖化問題を知ってはいても、そこから自分自身で行動するところまではなかなかできていない。そういうのを説教臭くならないように、エンターテインメント感を出しつつ、表現できればと思いました。
堀田 私は地球が危ないと本気で思っていたから、今回の企画で、いろんな人に知ってもらうきっかけを作れたのは良かったんじゃないかなと思う。でも最初、この企画の脚本を読ませてもらった時に「エネルギーを大事にしよう」ということは分かるけど、「エアコンや冷蔵庫は、新しい方が電力が少なくてすむから、すぐに買い換えよう」という感じが気になったんだよね。「すぐに捨てて買い換えるの?」って。
多田 それ、打ち合わせでのんちゃんも言ってたよね。言いたいことは分かるけど、もったいないと思う人もいるし、皆が裕福な暮らしをしているわけじゃないって。のんちゃんの意見からセリフの言い回しを変えたりもしました。
堀田 私もそれを聞いて、あの国民的な女優さんが、庶民と同じ感覚をもって考えているんだなって感動した(笑)。
のん 私も普段、本当に普通の生活を送っているので(笑)。
——温暖化に限らず、環境問題に関して最近気になることはありますか?
のん 身近なところでいうと車の排気ガスとかですかね。皇居のまわりを走るのは健康に悪いというのを何かのニュースで見た覚えがあります。
堀田 私、よく走ってる(笑)。しかも、裸足で。
のん 裸足ですか?! すごい。健康に良いことをしているはずなのに、実は健康に悪かったなんて、なんとも言えないと思いました。
堀田 他の大きな道路を走るよりは、きれいな気がしていた。でも、排気ガスは見えないから実際どうなんだろう。のんちゃんは走るの?
のん 走ったりはしないんですけど、走るんだったらどこを走ったらいいのかなって妄想しています(笑)。
一同 (笑)
——海外だと、これまでにレディオヘッドのトム・ヨークや、マドンナ、ポール・マッカートニーなど、著名なアーティストが、温暖化問題や、環境問題に関して行動を起こしていますが、それについてどう思われますか?
のん いろいろなアーティストの方々が環境の問題について訴えたりしているのを見て、彼らには動かす力があるのですごくかっこいいと思いますし、憧れます。今回のことで、まず自分がそういうことに目を向けていこうと思ったので、勉強しようと思いました。
——堀田さんは、マドンナやポール・マッカートニーも撮影されていますよね?
堀田 うん。もちろん、ミュージシャンとしてもかっこいいのだけど、そういう活動をしているのは人としても尊敬できるよね。そして、今はそういう時代なんだと思う。
——今回環境問題のことを知って、女優もしくはアーティストとして、やってみたいことはありますか?
のん さっきの排気ガスの話じゃないですけど、いつも高速道路を車で走ると、車が一気に汚れる気がするんです。例えば、車にキャンバスを張り付けて、どれだけ汚れるかっていう実験をしてみたいな。排気ガスが絵みたいに見えるようになったら「あ、こんなに汚れてるんだ」って知れる。そうしたら、もっと環境問題に気をつけるかなと。
堀田 そうゆう問題をアートにつなげて考えられるのは、のんちゃんらしい! 「汚れたな、だめだな」で終わらずに、それを実験+アートに持ち上げるのは。
多田 おもしろいね。見えない空気の話をビジュアルに結びつけるっていうアイディア。ロードムービー撮りましょうよ! ちっちゃい車にキャンバスくっつけて、のんちゃんが日本1周。どこの空気が汚いか分かる! みたいな。
堀田 日本1周!? 首都高がいいんじゃない?(笑)
多田 どういうものになるかな。まじめなことだけ言わなきゃってなると難しいけど、学者さんではないから「こうなったらおもしろい! その裏にはいろんなことがあるんだよ。」という感じで、のんちゃんらしく作ればいいと思う。今回の企画もそうだけど、おもしろいものは観てもらえるから、結果、その中身が伝わる。
のん 本当ですか?! 是非チャレンジしてみたいです!
多田 それか、キャンバスの代わりにそういう服を着るとかね(笑)。それをインスタに毎日あげる。「だんだん汚れてきたー!」って。
のん ふふふ(笑)。
動きと佇まいが、どんどん鬼とのんちゃんとが一体化していくようだった。
——のんさんは今回、どんな風に赤鬼の役作りをされたんですか?
のん イメージはいただいた絵コンテで、すぐに想像できていました。打合せで、コントな感じでと聞いていたので、悪い赤鬼が、笑いながら環境破壊している様子を自分なりに考えてみて、どういう風な言い回しにしようかなと巡らせていきました。
多田 実は撮影するまでは、どんな感じになるか想像が出来なかったんですが、最初のリハーサルで冷蔵庫を開ける演技を撮った時に、女優さんとして、ああもうすごいなって思った。違和感が無さすぎて、スタッフが全員驚いてたと思う。独り言をいう長ゼリフのテンションや表情、言い回しとか全部。何だ、この人って思った。動きと佇まいが、どんどん鬼と一体化していくようでしたよ。
のん ありがとうございます! すごく嬉しいです。
多田 この動画はやっぱりのんちゃんの赤鬼が全てですね。ビジュアルから一緒に作り上げてきたものだから、これだ! っていうものができたことはすごく感動しましたね。
堀田 やっぱり、メイクの時にスイッチが入った?
のん あそこまで変わるとその気になりますよね(笑)。
多田 え。違うでしょ!(笑)。撮影の合間は、今ののんちゃんのまま(笑)。メイクしてても普通で、カメラが回り始めるとぐっと入る感じ。やっぱり女優さん!
堀田 そうそう! あの赤鬼でニヤッとする笑いが、普段ののんちゃんから考えられなかった。
のん ああいうのは本当に初めてなので、楽しかったです!