現代のエレクトロニック・ミュージック・シーンの中でも、若手の代表として互いに高い人気を誇るアメリカのポーター・ロビンソンとフランスのマデオン。彼らはそれぞれ別々の地で育ちながら、10代前半からインターネット上の掲示板を通して親交を深めてきた10年来の親友でもある。
そんな2人がタッグを組んだ楽曲“シェルター”に、お互いの代表曲や中田ヤスタカらによるリミックス、MV『シェルター・ジ・アニメーション』のBlu-ray、キー・ビジュアル・フラッグを加えた日本限定アルバム『シェルター:コンプリート・エディション』は、1枚で彼らのコラボレーションの全体像が把握できる作品。MVではアニメ好きとして知られるポーターの最愛の作品『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』や『アイドルマスターシンデレラガールズ』などで知られるA-1 Picturesが制作を担当し、娘を避難用シェルターに託した父と、それを気付かずに育った娘との時を超えた親子愛を、短編映画のような素晴らしいアニメーション作品に仕上げている。
今回はその楽曲をライブの現場へと連れ出す<シェルター・ライブ・ツアー>で日本を訪れた2人に、一連のプロジェクトのテーマと、10年を経てひとつのプロジェクトに結実した2人の友情について聞きました。
Interview:ポーター・ロビンソン&マデオン
——2人のコラボレーションによって完成した“シェルター”は、オンラインでデータをやりとりするのではなく、ポーターがマデオンのいるフランスのナントに向かい、実際に顔を突き合わせて作業を行なっていますね。
Porter Robinson & Madeon – Shelter
マデオン 僕らが知り合ったのはもう10年も前だけど、今回はお互いにデビュー・アルバムを出したタイミングで「互いの共通点を見つけて、僕らの友情を祝福しよう。」と思ったんだ。だから、今回のプロジェクトでは同じ空間にいて、その雰囲気をシェアすることが何よりも重要だった。それでポーターがヨーロッパ・ツアーに来たときに、僕が生まれ育ったナントの実家にやってきたんだよ。そこは竹が生えた庭に囲まれていて、すごく落ちついたアットホームな場所でね。その居心地のよさから「家族」「ホーム」「親から子へと受け継がれていくもの」というテーマが出てきた。2人で沢山のことを話したよ。
Porter Robinson – Sad Machine
Madeon – Nonsense ft. Mark Foster
ポーター もともとMVのアニメーションと楽曲はそれぞれ別のプロジェクトとして作られていて、アニメーションの制作の方が先にはじまったんだよね。僕に(海外のアニメ配信サービス)クランチーロール(※日本のアニメ・ドラマ・漫画などのコンテンツを提供する配信サービス、およびそれを運営するアメリカの企業)から「よかったらアニメを作らない?」と誘いがあって、そのアニメを作っている最中に“シェルター”の楽曲が出来上がってきて……。その2つのテーマが偶然マッチして、それがMVでひとつになったという感じなんだ。
Monstercat Label Showcase Toronto: Porter Robinson (DJ set)