――Calmさんは、Gonnoさんの“Goodbye And Hello / Gonno remix”を聴かれた時にどう感じましたか?
C まず随分、マニアックな曲を選んだなあと思って(笑)。凄いアルバムの中でも音数が3種類ぐらいしか入ってない超シンプルな曲で、だから逆に言えば自分の世界感にもって行き易いのかなあって。ビートも入ってないし、ビート足して、まあどういう感じで上がってくるのかなあっていう楽しみもあって、出来上がってきたら完璧Gonnoワールドで素晴らしいです。こういう風な考え方もあるんだなあと。
――僕もこの“Goodbye and Hello”というタイトルに凄く惹かれたんですけれども。
C これ丁度、アルバム作ってる時に、4年ぐらい前なんですけど、ウチの祖母が亡くなって。その夜、「いま亡くなった。」って連絡がきて、次の日に実家に通夜なんで帰ろうとしたんですけど、でも夜なんで朝の便までちょっと時間があったんですね。俺、ばあちゃんっ子だったんで、この時間どうしよう? 寝れもしないしどうしよう? となって、取り合えず曲でも作ってみようと作ったのがこの曲なんです。もうその時作ったまんまをアルバムに収録してますね。
――GonnoさんのRemixを聴かせて頂いたときの印象なんですけど、Calmさんの物凄く澄んだ透明な心象風景的世界観の楽曲に対して、Gonnoさんはそこの心境に至るまでの道のりにフォーカスをあててみたのかなと思いました。そこの境地に紆余曲折を潜り抜けて辿り着いた景色がこういった景色だったと。その景色がパっと広がった瞬間を凄く鮮やかに描いているなと感じました。Calmさんの世界感をそのままに、少しGonnoさんの視点でフォーカスをズラしてみる事によって、楽曲の外側に広がっていた魅力を上手く引き出しているなとRemixの醍醐味を感じました。これは完全に僕の解釈なんですけれど、この捉え方はどうでしょうか?
G もしかしたら正しいかもしれません。何でかっていうと、この “Goodbye and Hello”って、”Hello”が後にくる感じがしたんですよ。でも僕のRemixはどっちかっていうと逆、“Hello and Goodbye”になってると思うんですよね。さっきのCalmさんの話を聞いて、あぁ、なるほどなって思ったんですけど、僕も丁度作業をやっている時に、友達が亡くなったんですが、そういう事もあって、ネガティブからポジティブに心境が変化するまでに凄くもがいてるみたいな、そういった感情を音で出したかったんです。なので、オリジナルに至るまでの過程を描いてみたっていう意味では、表現したかったことに近いと思います。
――ありがとうございます。
G まあでも、色んな解釈があってもいいのかなと思いますけど。
C 僕、個人的には自分のストーリーの続きかなって感じがした。何か肉体を離れた魂の後の世界を表現したんじゃないかなって、俺は勝手に思ったんですけど。あぁ、そうか、もう飛んでる感じなのかという(笑)。
――面白いですよね。ひとつの音に対して、色々な感じ方・捉え方があるっていうのは。
G そこは自由ってのが良いですね。
――O.N.Oさんも御自身で楽曲を選ばれたのでしょうか?
O はい。
――今日はちょっといらっしゃらないんで御本人にお伺いできないんですが、CalmさんがO.N.Oさんの『Dusk Till Dawn / O.N.O remix』を聴かれた時の印象をお聞かせ頂けますか?
C ま、O.N.Oちゃんとは結構長いんで、THA BLUE HERBの時とO.N.Oちゃんのソロの時の音の違いとかもずっと知ってるんですが、今回はパッと聴いた感じ、そのどちらの名義とも違う、よりこっちに寄って作ってくれた感じはしましたね。
――Calmさんの原曲を聴かせて頂いてから、O.N.OさんのRemixを聴いてみると、O.N.OさんはCalmさんが作り上げた世界の中に敢えて突入していったような気がしました。原曲には朝日と夕日の太陽フレアの美しさみたいなイメージが僕にはあるんですが、そこに対してO.N.Oさんはドンドン近づいていって、間近で見たらどうなるか? みたいなところを攻めたんじゃないかなと。そうするとやっぱり荒々しい部分・生々しい部分とかも出てきて、遠目にみていると綺麗なフレアも、近づくと熱さとか、下手したら死ぬかもしれないみたい緊張感みたいなモノも作品に入ってきたりして、O.N.Oさんの持つカラーと、Calmさんのカラーが凄い見事に融合してるなあと思いました。こういった感じ方はどうでしょうか?
C いやまあ、普通だったらもっとO.N.O節みたいになっちゃうと思うんですけど、そこはいつもとはちょっと違うなという印象は受けました。
O 僕も凄いビックリしました! CalmさんとO.N.Oさんの良さが見事に融合した感じがして。トラックが上がってきた時に凄い面白い作品になったなと思いました。
――僕はO.N.OさんのRemixということだったんでもっとドープな感じなのかなと思っていたんですが、お二人のカラーが見事に溶け合っていて、見事なRemixだなと思いました。
O でも、O.N.Oさんはしっかりと居るんですよね。
――O.N.Oさんも物凄く楽しんでやられたのかなと。
C O.N.Oちゃんは基本、お茶目なんで(笑)。そこが今回は出てるんじゃないかなと思うんだけど。
――あと長年の付き合いの中で生まれる阿吽の呼吸とかもあるんでしょうか?
C どうすかねえ? そこは判んないですけど(笑)。まあでも、あぁO.N.Oちゃんっぽいなあとは思います。たぶん世間一般からみてる彼のイメージとは違う部分も、僕は知ってるじゃないですか。だからプライベートのO.N.Oちゃんぽいなあと(笑)。