THA BLUE HERBのトラックメーカーO.N.Oと、次世代ハウス/テクノDJの旗手として現在世界で最も旬な日本人の一人Gonnoが、チルアウト・バレアリックミュージックの先駆者Calmの楽曲をリミックスした『Calm presents K.F. Remixes』がアナログ12インチ限定で、7月26日(金)に〈RETALK〉から届けられる。ありそうでなかったこの組み合わせ。その音を聴いてみるとCalm、O.N.O、Gonno、其々の良さが驚くほど見事に融けあった素晴らしい作品となっている。

ハッブル宇宙望遠鏡から観た太陽フレアを描いたような美しさを湛えている原曲“Dusk Till Dawn”、宇宙船でその太陽に突っ込んで間近までフレアを観に行ってしまったかのような、荒々しい美しさと緊張感を牽きだした冒険心溢れるO.N.O Remix。かたや、穏やかで澄み切った心象風景のような原曲“Goodbye And Hello”を、不安と期待の入り交じった長い旅を経て、その風景に辿り着いた瞬間の歓喜とその地平の美しさを鮮やかに描き出したGonno Remix。偶然にもCalm氏の音に対して、2人のリミキサーの立ち位置が近景と遠景という対称的なアプローチを取っているのも、この作品の魅力を際立たせている。

またこの作品はカッティングをBasic Channelで有名なベルリンの老舗「Dubpleate&mastering」のチーフエンジニアが行い、高音質180g重量盤300枚限定と最高の品質形態のみでのリリースとなっている。デジタルでフリーダウンロードも盛んに行われる昨今、何故この様なスタンスをとるのか? この作品がどういった想いにより創り上げられたのか?

今回、Calm氏、Gonno氏、大城氏[RETALK代表]に鼎談インタビューを行った。音に対する熱い思いから、本作・〈RETALK〉の成り立ち、アナログの制作工程やそれを取り巻く現状、昨今の音楽シーンなど、音楽ファンなら必読の非常に興味深い話を多岐に渡って聞かせて貰うことができた。

〈RETALK〉 Interview:Calm×Gonno×大城[RETALK代表]

【鼎談インタビュー】アナログレーベル〈RETALK〉第2段はO.N.OとGonnoがCalmをリミックス。Calm×Gonno×レーベルオーナーで本作〜音に対する熱い想い等を語る。 music130721_retalk_c-1

Calm

【鼎談インタビュー】アナログレーベル〈RETALK〉第2段はO.N.OとGonnoがCalmをリミックス。Calm×Gonno×レーベルオーナーで本作〜音に対する熱い想い等を語る。 music130721_retalk_g1-1

Gonno

【鼎談インタビュー】アナログレーベル〈RETALK〉第2段はO.N.OとGonnoがCalmをリミックス。Calm×Gonno×レーベルオーナーで本作〜音に対する熱い想い等を語る。 music130721_retalk_o-1

大城[RETALK代表]

――まず『Calm presents K.F. Remixes』のリリース経緯からお聞かせ下さい。

大城(以下:O) レーベル立ち上げ当初からCalmさんのアルバムのRemixは出したいなと思っていました。レーベルのコンセプトとして、『世の中に残したいアーティストをリリースしていく』とちょっと高めのハードルを設けちゃったんで、頼める人はそんなに居なかったんです。まずO.N.Oさんに関してはCalmさんの音と間逆の音だったんで、これは面白いからとやろうと思いました。Gonnoさんは“I don’t need competition”という曲をきっかけに知ったのですが、この曲が本当に素晴らしくて、こんなにクオリティーの高い曲を作れる人が日本にいるんだと驚いたのを覚えてます。ただ会った事が無かったのとあまり情報がなかったので、実は少し悩んでたんです。で、お世話になっているレコード屋さんの何人かに聞いたんですけど、みんな同じことしか言わないんですよ。Gonnoさんが良い! っていう(笑)。で、CalmさんにGonnoさんでいこうと思いますって言ったら、それは良いねって言ってくれて。結構、サクッと決まったんです。この二人だったら掲げているコンセプトに対しても偽りは無いなという事でお願いしました。

――なるほど。元々、〈RETALK〉立ち上げ当初からCalmさんのRemix盤は出したいと心の中では思っていたんですね。

O そうですね。

――実際にこういうお話が上がった時に、Calmさんはどういう感じで大城さんとお話をされたんでしょうか? 実現するにあたって、こういう風にしたいとか、要望はあったんでしょうか?

Calm(以下:C) 大城君とは自分が前に別でリリースした12インチの時からずっと一緒にやっていたんですが、彼自身がレーベルを始めるっていうことを聞きました。正直最初、大城君の中でも固まってない部分があって、上を目指すならもっと先を見据えて、とにかくなるべく最上級のこと知って欲しかったので、家に呼んで音楽聴きながら、ここはこうキチッとしないといけないよという話を色々したんですけども。

――具体的にどういった話をされたんでしょうか?

C 結局、アナログを出せば良いって問題じゃないって事を話したんですよ。アナログ出すんだったらアナログとしての音質・クオリティがちゃんとしたモノを出さないといけないと。ただファッションとして出したって駄目だよっていう話を一番、最初にしたんですけど。

O レーベルが立ち上がった経緯から話すと、いまさっき話にあったCalmさん自身のアナログをリリースするお手伝いをした時に感化されて、自分でやりたいと思うようになったんです。その話をCalmさんにしたら、まず出来る限り最上の音を聴いた方が良いって、家に呼んでくれたんです。Calmさんの特等席に座らせてくれて、錚々たるシステムでレコードを聴かせてくれて。それが本当に衝撃的な音で! もうショックでしたね(笑)。本当に贅沢な授業でした。僕が練っていた考えを素直にぶつけて、音以外の事も色々と相談にのって貰ってもらいました。アナログファンが〈RETALK〉に共感してくれたら、Calmさんのおかげです。

――今回はCalmさんの楽曲をRemixしてリリースする形式になっています。Gonnoさんにお伺いしたいのですが、Remixにあたりアルバムの中から“Goodbye And Hello”を選んだのはGonnoさんですか?

Gonno(以下:G) 僕自身です。

――Calmさんがこの楽曲を選ばれた理由はなんだったんでしょうか?

 Calmさんのダンス・トラックを自分でまたダンス・トラックにするっていうのはちょっと抵抗があったんです。もうそれは既に完成されていると思ったんで。ビートレスだったり、リズムが無いモノをRemixしたいなってのが1つと、あとタイトルが“Goodbye and Hello”ってのが印象的だったんです。曲も一番好きな感じだったのでこの曲をリミックスしようと。僕なりのタイトルへの解釈を込めてつくりました。

――Remixするにあたって、こだわった点や難しかった点などはありましたか?

G いつも通り、流れのままに制作する様にしました。こだわった点はタイトルですね。Calmさんがどうやってそのタイトルを付けたかはもちろん僕には解らないんですけど、そのタイトルの自分なりの解釈ですね。