ザ・ローリング・ストーンズ(The Rolling Stones)による、未発表曲も含むラジオ用ライブ音源をまとめたアルバム『On Air』が、12月1日にリリースされた。

本作には、1963年〜1965年に彼らが出演したBBCのラジオ番組『Saturday Club』や『Top Gear』などから集めた選りすぐりの18曲を収録している(デラックス盤は全32曲)。当時の演奏を可能な限り忠実に再現するため、アビイ・ロード・スタジオのエンジニアたちが最新技術を駆使して作り上げたのは、一つ一つの楽器が分離された奥行きと広がりを感じさせる音像。

当時、破竹の勢いだったストーンズの荒々しい演奏が、まるで眼の前で繰り広げられているかのようだ。

そこで今回、ストーンズ・ファンの「若手代表」として、RAMMELLS真田徹(ギター)、>TENDOUJIモリタナオヒコ(ヴォーカル&ギター)、sui sui duck渋谷勇太(ヴォーカル&ギター)に出来立てホヤホヤの『On Air』を試聴してもらい、そのホットな感想からストーンズへの熱い想いまで、ざっくばらんに語り合ってもらった。

Interview:真田徹(RAMMELLS)×モリタナオヒコ(TENDOUJI)×渋谷勇太(sui sui duck)

【インタビュー】TENDOUJI×sui sui duck×RAMMELLSメンバーが語るザ・ローリング・ストーンズ rolling-stones-0104-700x467
左から:モリタナオヒコ(TENDOUJI)、渋谷勇太、(sui sui duck)、真田徹(RAMMELLS)

——たった今、『On Air』の試聴会が終わったところですので、まずは皆さんの感想から聞かせてください。

真田徹(RAMMELLS) とにかく、音の良さにびっくりしました。曲でいうと“Cops And Robbers”“It’s All Over Now”あたりが特に好きでしたね。なんていうか、無敵感が漂っている(笑)。

モリタナオヒコ(TENDOUJI) 確かに。俺、ストーンズはブート音源とかも聴いてきたんですけど、もう比べ物にならないくらい音がいいっすね。エンジニアさんいい仕事してるなあ(笑)。それぞれの楽器がちゃんと分離しているだけに、メンバーの演奏している姿が浮かんできます。“Roll Over Beethoven”とかBPMメッチャ速いし、キース一生懸命弾いているなって(笑)。

The Rolling Stones – Roll Over Beethoven (Saturday Club, 26th October 1963)

渋谷勇太(sui sui duck) こうやって聴くと、彼らのオリジナル曲がカヴァーよりダントツでいいなと思いましたね。“(I Can’t Get No) Satisfaction”は勿論ですが、“The Last Time”は最初オリジナルと知らなくて聴いていて、「いいな」と思ってクレジットを見たら、オリジナルだった。なんだかんだ言ってストーンズってメロディメーカーだなと。

——ストーンズはよく、自分たちのルーツミュージックをカヴァーしていましたが、皆さんはライブでカヴァーとかやります?

渋谷 僕らはバンド結成してすぐの頃、ジミ・ヘンドリックスの“Crosstown Traffic”をやったことがありますね。ストーンズだったら“Paint It Black”をやってみたいかな。リフ一発で回していく曲は、sui sui duckの音楽性とも相性が良さそうですし。

モリタ 俺らもまだお客さんが全然いなかった頃、オリジナル曲も少ないしカヴァーでもやるかってなった時に、「すぐカタチになるだろう」という理由だけでブラーの“Song2”をカヴァーしましたね(笑)。TENDOUJIはすでに“Get Off Of My Cloud”をオマージュした曲を作っていますが、もしストーンズをカヴァーするならいつか“Jumpin’ Jack Flash”をやってみたい。ライヴ映えする曲という意味では最強じゃないですか。イントロが始まった瞬間にテンション上がるというか。俺はキース役が希望です(笑)。

真田 RAMMELLSも結成して2回目のライブが40分の尺で、オリジナルが5曲しかなかったのでカヴァーを2曲やりましたね。ただ、どっちもあまり好きな曲じゃなかったので曲名とかもう忘れちゃいました(笑)。ストーンズだったら“Sympathy for the Devil”がやってみたいです。

【インタビュー】TENDOUJI×sui sui duck×RAMMELLSメンバーが語るザ・ローリング・ストーンズ rolling-stones-0068-700x467

——そもそも皆さんは、ストーンズをどんなきっかけで聴くようになったのですか?

真田 中学生の頃に仲の良かった塾の先生が、ストーンズのベスト・アルバムを貸してくれたんですよ。40曲くらい入っているやつだったんですけど、当時僕はヴァン・ヘイレンが好きだったので、「なんだこれ、全然カッコ良くねえな」って思ってしまって……(笑)。ギターソロも速くないし、その時は全然良さが分からなかったです。で、高校生くらいになって、ようやく分かってきたんですよね。まずは『Let It Bleed』(1969年)にハマッた。ちょうどブラック・ミュージックを聴きだした頃だったのもあって、すんなり入れたのだと思います。

——ちなみに、どの辺のブラック・ミュージックを聴いていました?

真田 ジェイムス・ブラウンやアレサ・フランクリン、ジョン・リー・フッカー……その辺が一番好きでしたね。そこを経由したら、ストーンズの聴こえ方も全然違いました。「ギターソロとか別にいっぱい弾かなくてもいいんだな」って(笑)。

渋谷 俺も最初は中学生の頃でしたね。当時お父さんからお古のiPodをもらったのですが(笑)、その中に『Forty Licks』が入っていて。全然曲も知らないし古臭いし、「なんだ?」って思ったんですが、“(I Can’t Get No) Satisfaction”が流れた時に「あ、この曲は知ってる。かっこいい!」ってなって。そこからはちょくちょく聴いていましたね。あと、他にiPodに入っていたのがイーグルスとかだったので、そこら辺のクラシック・ロックもよく聴いていました。