——そして今回のアルバム『プロム・キング』は、自身のヴォーカルの導入、サンプリング主体から生演奏を合せたものへの移行など、様々な変化を詰め込んだ作品になりました。キーとなる3曲を選んで、その魅力や制作過程について教えてください。
“Ridiculous!”は一度のセッションで出来た曲だよ。親友のリズ(ディプロの〈マッド・ディセント〉所属。tofubeats『First Album』にも参加)とTinychat(オンラインのチャットルーム)を通して一緒に作った曲で、曲が出来るまで彼女がずっと意見をくれたんだ。8時間のセッションの中で5回ほど曲の方向性が変わったから、最後の方には僕ら2人とも、最初はどんな風に始まったのかすっかり忘れてしまったよ!
LIZ -“Hush”
“Can’t You See”は僕が初めてボストンに戻ったときに行ったパーティーについての曲。セイント・ペプシのプロジェクトに関して沢山良いことが起き始めていて、特にその前に不名誉な形でカレッジを辞めていたから、帰省にあたって良い印象を与えたかった。それでちょっと飲み過ぎて、ちょっと喋り過ぎて、それについてこの曲に書いたんだ。僕自身の人生の特定の出来事についての曲を書いたのはこれが初めてだった。
Skylar Spence – “Can’t You See”
“Affairs”はアルバムの中で一番気に入っている曲だよ、子供の頃から聴いていた音楽を思い出させるからね。ニュー・ロマンティックっぽい要素のあるプロダクションにしたかった。デュラン・デュランの“Planet Earth”(81年のデビュー曲)の始まりみたいな、ちょっと雨を連想させるような感じ。アルバムに入っている別の曲“Fall Harder”の正反対のような曲だよ。
Skylar Spence – “Affairs”
——日本盤には、“Can’t You See”のtofubeatsによるリミックスが収録されていますね。彼のことをどのようにして知ったのか、どのような経緯で彼がこのリミックスを提供することになったのか教えてもらえますか?
僕は13年からtofubeatsの大ファンで、それ以来僕らはたまに連絡を取り合っていたんだ。このリミックスと、<ロラパルーザ>に出演した翌日に書いた“Without U”(tofubeatsのアルバム『POSITIVE』収録。スカイラーが共作したトラック)はどちらもとても自然な形で、短期間に起きたんだ。トラックのやりとりをするのはとても楽しかったし、みんなに聴いてもらうのが待ちきれないよ!
——あなたの場合、他にも日本のアーティストで好きな人が沢山いると思います。中でも特に好きな人々を何組か挙げてもらうことは出来ますか?
ずっと前から大好きで、僕にとって最も大きな影響を与えたアーティストの一人は山下達郎だよ。そして今僕がやっている音楽の多くは菊池桃子の、特に彼女がやっていたバンド、ラ・ムー(RAMU:ソロ活動後の88年、松浦義和らと始めたプロジェクト)からインスピレーションを受けていて、彼らは僕の一番好きなレコードの一つをリリースしているんだ。
Saint Pepsi – “Skylar Spence”
(山下達郎“LOVE TALKIN’ (Honey It’s You)”をサンプリング)
RAMU (ラ・ムー) – 青山Killer物語
——最近では4人組のバンド編成で、あなたがギター&ヴォーカルを担当し、ラップトップで音を同期させる形のライヴも行なっていますね。これからの活動について、どんな可能性を感じているのか教えてください。
はっきりとしたことは分からないよ。近いうちは、間違いなくこのバンドと演奏を続けていくけれど、次のレコードがどんなサウンドになるかは全く未知数なんだ。もしかしたら20人編成のオーケストラと一緒にツアーを回る必要があるかもしれないし、あるいは自動で演奏するドラム・キットと回るかもしれないし、ジャズ・バンドとやることになるかもしれない。いずれにしても、ライヴ・セットをよりジャムっぽいものにして、ファンや友達にとってより入り込みやすく、エキサイティングな体験になすることを楽しみにしているよ!
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