── あなたのご家族についてあらためて紹介していただけますか?

パートナーのベッティーナとのあいだに、6歳のヘレンとフランシスという双子がいる。子供を持つようになるとは予想してなかったんだけど、彼等が僕の人生の一部となって毎日がワイルドで素晴らしい冒険のようになったよ。二人と多くの時間を過ごせて幸運に思ってるし、彼らから多くを学ばせてもらってる。今は子供たちとの時間が優先されてしまうから作品制作に費やす時間も限られてくるけれど、それだけ貴重な体験をさせてもらっているから残念とは思っていないんだ。

── お父さんマーティン・プレコップ(写真家)や弟たちハンク(家具デザイナー)、ザック(画家)の作品から影響を受けることはありましたか?

うーん、どうかなあ。でもやっぱり父と息子でしか共有出来ない感覚を持っているのかもしれない。父は今でも毎日作品制作をしていて、それは僕にとって大きな刺激となっている。あと一番下の弟のザックの画家としてのキャリアには感心しているし、誇りに思ってる。

── 子供たちの成長を見守りながら自分自身の子供時代の記憶が蘇ることはありますか?

特にこんな記憶が蘇ったというような経験はないけれど、自分がどう育てられたかという事は、僕が子供達に何を教えて何を見せるかという行動に自然と繋がっていると思う。美術はすごく大事だし、音楽も、あとは食物や自然、とにかく自分が本能的に良いと思う物を子供達にも与えてあげたいと思っている。

── 映像作家ティム・サットンのデビュー映画『Pavilion』のフィルムスコアを手掛けましたね。このコラボレーションはどんな経緯で実現したのですか?

Pavilion』の数年前にティムが一人のファンとして僕にアプローチしてくれたんだ。僕の2枚目のソロアルバムに含まれる曲のミュージック・ヴィデオを作りたいという申し出だった。その数年後にもザ・シー・アンド・ケイクの“Weekend”という曲のヴィデオを制作してくれていたから、彼と仕事をするのは初めてじゃなかった。

The Sea and Cake – “Weekend(Official Music Video)”

そんな彼から突然、映画のスコアを手がけてみる気はないかと連絡があり、経験もなかったから迷ったんだけど、映画を見たらやれそうだと、それで引き受けたんだ。かなり挑戦しがいのあるプロジェクトだったけれど、完成した作品をすごく誇りに思っているよ。ほとんどを自宅のスタジオで録音し自由にやれて、ティムもかなり関わりながら音を創り上げていった。

方法としては、僕が印象に残った場面を抜き出して、即興で音をつけるというような形。映像に対して僕の中から湧き出てくる情感を音楽にした。全ては使われなかったけれど、レコードには入ってるよ。最終的な編集の判断はティムに任せたけれど、とても説得力のあるいいスコアになったと思ってる。

── あと、去年の<Chicago Film Archives Media Mixer>でアレクサンダー・スチュワートの作品”What I Want”のサウンドを担当しましたね。このコラボレーションを振り返ってみて、どんな部分が面白かったですか?

映像作品のサウンドを手がけてみて思ったのは、自分が表現したいものだけに集中する個人的な作品と違って、それ以外の様々な要素をカヴァーする必要があり、より広がりが求められるという事。そういう意味ではすごく貴重な体験をさせてもらったと感じている。自分意外の人間のアイデアも反映させなくてはいけないからね。バンドで音楽を作るのと似てなくもないけれど、やっぱり大きく異なるかも。映像と音のコラボレーションだからね。

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