——今回のアルバムは、これまでザ・スロットルを聴いていた人からすると驚くような、もしかすると、そういう人たちの価値観からするとダサいと感じるかもしれない要素を色々と取り入れつつ、それをかっこいいものに仕上げていこうというテーマ性を感じました。

高岩 結局、音楽って色んなもののパクリだと思うんですよ。「イエスが好きです」というのもそうだし、俺はレイ・チャールズのタトゥーを入れていますけど、これも結局そういうことで、海外のパクリでしかない。まぁ、これが「山田耕筰」「滝廉太郎」だとめちゃくちゃハードコアですけどね(笑)。だから、ファッションも音楽もすべては海外のパクリでしかないけれど、それでも世界で活躍している日本人はいて、ザ・スロットルの場合も「NEW SAMURAI ROCK’N’ROLL」というのは、ただ日本人に向けているわけではなくて、海外に持って行ったときにどれだけ分かりやすくなるか、ということを考えた結果でもあるんです。

だから、この作品は「結局パクリなんだよ、俺たちもお前らも」という意味の『A(=アンサー)』で、「それを真似したってしょうがないよね」ということでもある。つまり、これは俺たちの日本の音楽シーンに対する抵抗でもあって、路上ライブでやっていた頃と音楽性は変わっているかもしれないけど、その思想は何も変わってないんですよ。それを世の中にぶつけていきたいということで。ただ、それもジョークでしかないかもしれなくて……。

——つまり、ジョークが何層にもなっている(笑)。

高岩 それを、日本にしか母体がないメジャーの会社で流通させているということも含めてのジョークを笑ってほしいんです。これは僕だけが思っているわけではなくて、前にいたメンバーも含めてみんなに影響されて出てきたことでもあるんですよ。

——続けてきたからこそ出てきた話でもあるんですね。

高岩 そうですね。結局、スロットルという単語も外来語なんで、バンド名とかも「粋」とかでいいのかもしれない。あとは、「火」とか。

全員 (笑)。

高岩 結局、そんなことを言ってる俺らでさえ、バンド名は外来語だし、俺はレイ・チャールズのタトゥーを入れている。そういうことも含めて自問自答するという感覚がアートとして面白い、ということですね。スロットルはそういう集団なんですよ。

【インタビュー】高岩遼率いるザ・スロットル。ヒップホップ、アニソン、ニュー・ウェイヴ…最新作にして問題作?『A』を徹底解剖 thethrottle_qetic16-700x467

——ちなみに、ジャケットにアーティスト写真やバンド名がなく、「A」という単語だけが載っているのはどういうアイディアだったんですか?

高岩 あれは、特に意味はないんです。「D」でもいい(笑)。レコード店に並ぶときに、ジャケットを見て選ぶ人がいるなら、目立つものにしようというギャグというだけで。

——そこも遊びである、ということですね。

高岩 後付けで言うならば「これが俺たちのアンサーだ」ということなんですけど、実はそんなことはどうでもいいんですよ。日本のビジネスや産業対するジョークというか。

飯笹 だから、全部真剣なおふざけということですね。

高岩 もちろん、実際の制作作業は真剣に意見を戦わせて、何度もぶつかって本気で制作していきました。そうやって「真剣に遊ぶ」というのが今回のアルバムの最大のテーマだったんで。だから、結局「俺らは何も変わってないよ」ということなんですよ。

——今回のアルバムを作ったことで、バンドとしての可能性はかなり広がったんじゃないかと思います。これからどんなバンドになっていきたいですか?

高岩 Suchmosになりたいです。……というのは冗談で(笑)、自分たちを海外にも輸出できるようになりたい。アポロ・シアターに和服を着て出ても面白そうじゃないですか。でももちろん、まずは日本で戦って、このスタイルでトップ10チャートに乗っていきたいです。

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EVENT INFORMATION

Live A Tokyo

2018.01.25(木)
OPEN 18:45/START 19:30
東京 新代田FEVER
ADV ¥3,300(1ドリンク別)

Live A Osaka

2018.02.01(木)
OPEN 18:45/START 19:30
大阪 Live House Pangea
ADV ¥3,300(1ドリンク別)

詳細はこちら

RELEASE INFORMATION

A

2017.12.06(水)
ザ・スロットル
NCS-914
¥1667(+tax)
収録曲:
1.Rock This Town
2.Get Ready
3.You Can Make It!
4.LA
5.Horror
6.It’s Alright
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text by 杉山仁
photo by 横山マサト