<FUJI ROCK FESTIVAL’18>

2018.07.28(SAT)

Kendrick Lamar@GREEN STAGE

ライブで違和感を感じることは多いが、ケンドリック・ラマー(Kendrick Lamar)のライブは、ある意味で違和感だらけだった。2013年のWHITE STAGEより5年振りの出演となった今回の<FUJI ROCK FESTIVAL ’18>。世界的な成功を掴んだケンドリックが登場したステージは、もちろんGREEN STAGEのヘッドライナーだ。

前回出演時にはレインコートを着て登場したが、今回はN.HOOLYWOODのオーバーオールを着用。衣装の色は全身黒、ステージ画面に映し出される映像に相まって、ケンドリックの存在感はただただ圧倒的で、魅入ってしまうというよりも、まさに心が奪われた。それも台風が気にならなくなる程に(実際に雨も止んだ……!)。

「世界・現代最高」の肩書を持つのは、ケンドリックのバックボーンを表現しながら時代と共鳴する歌詞、最先端のプロダクションによる刺激的なトラック、そして“本物”のパフォーマンスが約束されているからだ。

しかし、理想と現実が食い違うことはよくある話。ヒップホップのライブではいわゆる「シングアロング」が醍醐味の一つとなるが、言語の壁がそれを難しくする場合がある。場合によってはMCの表情がこわばって見えてしまうときもある。しかし、“本物”のケンドリックのライブでそんなことは関係がなかった。

ライブでは最新作『ダム』を中心に『ブラックパンサー ザ・アルバム』(TDE監修のサウンドトラック)、そして過去作から、スターダムを駆け上げていった楽曲を惜しみなく披露。アンコールにも応え、演奏された“オール・ザ・スターズ”では、オーディエンスが光を放つ。ケンドリックだけでなく、そこにいる全員に輝きがある。まるでケンドリックと対話しているようなステージは、2018年で最も印象的な体験の一つとなった。

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