興隆するEDMシーンとの共振

その後、“BRAVE IT OUT”と同時期に録ったという2ndシングル“ANIMAL”から2014年9月3日にリリースした6thシングル“Always with you”まで、彼らはアッパーなダンスチューンとしっとりとしたミドルチューンやバラードをほぼ交互に発表。

この時期は、“ANIMAL”や4th“HOT SHOT”で攻めたダンスパフォーマンスに磨きをかけつつ、3rd“Love You More”や5th“NEVER LET YOU GO”、6th“Always with you”でヴォーカルの艶や繊細な表現力を向上させるという、成長の時期だったと言えそうだ。

そして、7th“Sing It Loud”で彼らはダンスとヴォーカルの成長を融合させ、さらに世界的なトレンドとも共振するサウンドをものにする。

2015年1月28日にリリースされたこの曲の最たる特徴は、歌メロのサビに来るバックトラックがサウンド面では落ち着いたブレイクに当たる部分となり、その後に最も盛り上がる音サビが用意された、歌サビから音サビへという二段構成のサビ展開だ。

この構成は、EDMが世界規模のムーヴメントとなり、大箱でのイベントやフェスが世界各地で開催されるにつれて出来上がっていったEDMサウンドの基本形。ビルド&ドロップとも言われる手法で、歌メロで徐々にオーディエンスの気持ちを上げていき(ビルド)、派手な音サビで一気に爆発させて踊らせる(ドロップ)という構成になっている。

例えば、当時世界的にヒットしたEDM界の寵児、アヴィーチーの代表曲“Wake Me Up”にもその構成は顕著に表れている。

Avicii – Wake Me Up (Lyric Video)

もう一つ、“Sing It Loud”では、EDMの流れを汲みつつもよりメロウなアプローチになっているのが特徴的だった。それはダンスとヴォーカル両方で成長著しいGENERATIONSのメンバーの能力を、どちらかに偏ることなく引き出すためにも最良の選択だったのではないかと思う。

GENERATIONS from EXILE TRIBE / Sing it Loud

そして、それは次の8th“Evergreen”でより顕著に。こちらもEDMを代表するDJであるZEDDの楽曲を意識したというこの曲では、爽やかな曲調や伸びやかな歌メロと、ダンサブルでアッパーなEDMサウンドがより自然と溶け合っている。

邦ロックシーンに対するEXILE TRIBE的解釈

続く9th“Hard Knock Days”は、アニメ『ONE PIECE』のオープニングテーマにもなった楽曲。アニメの主題歌ということも意識されてか、ここでのサウンドはギター・リフを主体としたロック的アプローチとなった。

近年はアニメのテーマ曲に起用されることも多い邦ロックは、BPMの高速化を経て、今では独自の発展を遂げている。それは日本だけの独特な発展ではあるが、アニメ・カルチャーの海外進出と共に海外でもコアなファンベースを築いているジャンルだ。この“Hard Knock Days”は、そんな邦ロックシーンに対するEXILE TRIBE的解釈とも言えるだろう。

“Evergreen”までで自らのアイデンティティを確立し、確固たる自信を身に着けたGENERATIONS。邦ロックを視野に入れた“Hard Knock Days”以降、彼らは日本のカルチャーを代表する国民的グループへの道を一心に突き進んでいく。

ダンサブルなナンバーとしっとりとしたバラードを交互に発表していくリリース構成自体は、初期に立ち戻った印象もあるものの、その表現力は飛躍的に向上。大人の色気と切なさを醸し出す“ALL FOR YOU”や“涙”といったバラード、“Hard Knock Days”にも通じるハード・ロッキン・ダンス・チューンの“太陽も月も”、アップテンポなトラックと切ない男心を歌う歌詞の対比が印象的な“PIERROT”と、表現の幅も大きく広がっていく。

中でも、メンバー自身が代表曲の一つだと語る“AGEHA”は、彼らの代名詞とも言える激しいEDMサウンドにさらりと当時のヒット曲からの影響を忍ばせた一曲。

GENERATIONS from EXILE TRIBE / AGEHA

この曲で印象的なのが、リード楽器として音サビでも高らかに鳴り響くホーンの音。ホーンの音色を印象的に使い、当時大ヒットを記録していたのが、マーク・ロンソンがブルーノ・マーズをフィーチャーして作り上げた“Uptown Funk”だ。

Mark Ronson – Uptown Funk ft. Bruno Mars

音楽的には70年代ファンクに回帰したサウンドで、GENERATIONSのEDMサウンドとは異なる部分も多いが、ホーン使いと音サビで盛り上げる構成には共通点も。現行のヒット曲の要素を自らのサウンドにさらりと落とし込む手法は、大人の余裕も感じさせるようだ。

最新シングル“BIG CITY RODEO”では、誰もがマネしたくなるピーカブーダンスを取り入れ、すっかり日本中から支持される国民的なグループとなったGENERATIONS。このベストアルバムの発表によって、彼らの支持は日本中へ、世界中へとさらなる拡がりを見せてくれるだろう。

常に世界を意識し、その中で日本的なポップミュージックの在り方を提示してきたGENERATIONSは、これからどんな音楽を届け、どんなムーヴメントを作り出してくれるのか。それが今から楽しみでならない。

GENERATIONS from EXILE TRIBE / BIG CITY RODEO

RELEASE INFORMATION

BEST GENERATION

2018.01.01(月)
GENERATIONS from EXILE TRIBE
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text by 青山晃大