フェスの開催発表や、怒涛の来日ラッシュで今年も忙しい1年となりそうだが、洋楽ファンにとって激マストなイベントとして定着した<Hostess Club Weekender(以下、HCW)>も、新たなフェーズに突入する。

12年2月の初開催から2年、これまで招聘した海外アーティスト/バンドはのべ60組。大物から新人まで、北欧からシリアまで、かゆいところに手が届くラインナップは〈ホステス〉の主催だからこそだが、昨年、主要メディアのアルバム・ランキングで軒並み上位を独占したヴァンパイア・ウィークエンドを新作リリース前に呼んだり、生ける伝説=ニュートラル・ミルク・ホテルの日本初ライヴをセッティングするなど、海外の音楽シーンの「いま」をタイムリーに体感できる貴重な場としても、<HCW>が残してきた功績は大きすぎるほどだ。第7回目の開催となる今回も、死角はない。

国内屈指の音響システムを誇る新木場STUDIO COASTにて初開催!

【特集】第7回目<HCW>の見どころ・聴きどころ・惚れどころ(?)&出演アクトのイチオシ・ライヴ動画をご紹介!! feature140109_hcw_mogwai-1

モグワイ

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ザ・ナショナル

まず、最大のサプライズは「新木場STUDIO COAST」が会場として選ばれたことだろう。第3回第4回では一時的にZepp Diver City Tokyoが採用されたものの、<HCW>といえば恵比寿ガーデンホールでまったりとライヴを堪能するのがお馴染みの光景だった。しかし、今回のラインナップを見ればそれも納得。初日2月15日(土)のヘッドライナーを務めるモグワイは単独ツアーでもSTUDIO COASTを主戦場としているし、通算8作目のアルバム『レイヴ・テープス』を引っさげてのプレミア・ライヴとなる。また、翌2月16日(日)の大トリに抜擢されたザ・ナショナルも、11年の東京公演をソールドアウトにした実績を持っている。

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エラーズ

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ユース・ラグーン

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ビューク&ゲイス

究極のインディー主義フェスティバル<オール・トゥモローズ・パーティーズ(以下、ATP)>にてキュレーターを務めたこともある両者が、その<ATP>のスピンオフ・イベント<アイル・ビー・ユア・ミラー>を初開催した聖地=STUDIO COASTに集結する…という事実だけでも胸熱だが、初日はモグワイと同じグラスゴー出身のチャーチズ&エラーズ(この組み合わせで単独公演も!)が、2日目にはナショナル・キュレートの<ATP>に出演したユース・ラグーンや、デスナー兄弟が共同運営するレーベル〈Brassland〉からデビューしたビューク・アンド・ゲイス(こちらもATP組)が出演するなど、ヘッドライナーのカラー/交友関係に合わせたと思しき采配もお見事。アトムス・フォー・ピースやジェイムス・ブレイク、あるいはナイン・インチ・ネイルズといった数々のアーティスト/バンドが太鼓判を押すSTUDIO COASTの音響システムが、<HCW>とどんな化学反応を起こすのか、早くも楽しみでしょうがない。

聴く者の心と身体にすっと染みわたる、美しいサウンドスケープを描くアクトが勢揃い

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アウスゲイル

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キング・クルエル

今回の<HCW>においても、「10組・2日間・1ステージ」の基本プログラムは変わらない。第5回が「北欧 vs UK」、前回が「多国籍」という裏テーマがあったことを思えば、今回は英米の実力派アクトをバランス良く揃えてきた印象だ(アウスゲイルはアイスランド出身ですが)。あえて共通点を挙げるとするならば、聴く者の心と身体にすっと染みわたるような、美しいサウンドスケープを描くアーティスト/バンドが目立つことだろうか。静と動のダイナミズムに定評のあるモグワイは言わずもがな、フォーキーな美メロがライヴではシューゲイザー並みの轟音に化けるドーター、エルフ顔からは想像できないほど渋い歌声とギター・フレーズで魅せるキング・クルエル、幽玄なバンド・アンサンブルが危険な香りを漂わせるウォーペイント、そして第1回目の<HCW>にも出演したユース・ラグーンの白昼夢のごときベッドルーム・サウンド……etc、いずれも気持ち良すぎて昇天必至なので、心して臨んでいただきたい。もちろん、ザ・ナショナルのフロントマン=マット・バーニンガーのバリトン・ヴォイスにも酔いしれちゃって!

目の保養にもなるラインナップ。そしてウォーペイントの美女伝説とは?

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チャーチズ

ロケーション、音響、そして素晴らしいラインナップが揃った今回の<HCW>だが、何と言っても注目したいポイントが、過去最大級の「美女アーティスト」の多さ。初日はチャーチズとドーターという紅一点を擁するバンドが2組登場するが、チャーチズのフロント・ウーマン=ローレン・メイベリー嬢のキュートっぷりは読者の皆さんも<サマーソニック(以下、サマソニ)>でチェック済みのハズ。法律とジャーナリズムを学んだ才女で、ネットに蔓延る女性蔑視に「NO」を突きつけたタフな女性像も共感を呼んだ。一方のドーターは、〈4AD〉直系の耽美でミステリアスな世界観とは裏腹に、ステージ上でハニカミまくる美少女エレナ・トンラに釘付けになりそう。昨年の<フジロック・フェスティバル(以下、フジロック)>で披露されたアコースティック・セットも素晴らしかったので、今回も都内のどこかで演奏してくれることを期待。

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ウォーペイント

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ドーター

2日目には、LA出身の美女4人組ウォーペイントが待望の2nd『ウォーペイント』と共にカムバックする。元メンバーには女優のシャニン・ソサモンや現レッド・ホット・チリ・ペッパーズのジョシュ・クリングホッファーが名を連ね、故ヒース・レジャーやジョン・フルシアンテも絶賛…というプロフィールも凄まじいが、現メンバーのテレサ・ウェイマン(ヴォーカル&ギター)はご存知ジェイムス・ブレイクの彼女で、ジェニー・リー・リンドバーグ(ヴォーカル&ベース)はあの映像作家クリス・カニンガム(新作のアートワーク全般を手がけた)と結婚(!)したらしく、ウォーペイントの美女伝説は現在進行形で続いているようだ……。11年の<フジロック>出演時はその独創的なファッション・センスも注目されたが、ルックス、サウンド、佇まい、どれを取ってもパーフェクトなガールズ・バンドという意味では、ハイムやサヴェージズよりも一歩先を行ってるのかもしれない。

と、今回も見どころ・聴きどころ・惚れどころ(?)たっぷりな<Hostess Club Weekender>。真冬の寒さも吹き飛ばす熱いパフォーマンスの数々を、絶対に見逃さないでほしい。なお、Qeticでは近々モグワイとウォーペイントのインタビューも掲載予定。14年も<HCW>をガッツリとサポートしていきます。

(text by Kohei Ueno)

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