Hostess Club Weekender DAY2
2014.02.16(SUN)@新木場STUDIO COAST

ラスゴー出身バンドが多数出演した前日とは打って変わって、今年の<Hostess Club Weekender(以下、HCW)>2日目はUSインディー勢が中心のラインナップ! 1日目は雪の影響で2店舗だったフードも天気が回復して4店舗に復活。開始30分ほど前に到着すると、会場はすでに多くのファンが集まって賑やかな雰囲気だ。

この日の1組目は、ザ・ナショナルのデスナー兄弟のレーベルに所属するブルックリンの男女デュオ、ビューク・アンド・ゲイス。彼らが広いステージの中央にちょこんと座り、オリジナル楽器で2人とは思えない音を繰り出すと、唯一のUK勢=キング・クルエルはバンド編成で登場。音源よりジャジーなドラムとベースがとにかく秀逸で、そこに負けん気の強そうなイギリス訛りのラップや歌を乗せた演奏に「めちゃくちゃヤバい!!」と絶賛の声が上がっていた。

ビューク・アンド・ゲイス

キング・クルエル

こうした初出演組がいる一方、USを中心に00年代後半から花開いたベッドルーム・ポップの雄ユース・ラグーンは、第1回以来2度目の出演。今回は4人組のバンド編成で、新旧の曲をビックリするほどパワフルな音に変えていく。マイク片手に歌ったり、パッドを殴るように叩いたりして、自宅の寝室を抜け出すかのような新作の魅力をぎゅっと凝縮したライヴを展開した。

ユース・ラグーン

ここで食事休憩もかねて、会場をぐるっと一周。このイベントは演奏/転換の時間が通常のフェスよりもゆったり取られていて、ライヴが単独公演に限りなく近い他、転換時にはショップでじっくり買い物したり、ふらっと外に出かけたりする余裕もある。また、バー付近で行なわれる恒例のサイン会も盛況で、アーティストと観客の距離感が近いのも<HCW>ならではだ。

手作りのポップも読み応え◎なCDコーナー

そんなサイン会でも大人気だったLAの女の子4人組ウォーペイントは、リズム隊がステージ奥の中央に陣取り、両端のエミリー・コーカルとテレサ・ウェイマンがほぼ交互にリード・ヴォーカルを取ると、ダークで抑揚のないメロディーやグルーヴがぐんぐん加速。ステージ運びも11年の<フジロック・フェスティバル>の時より格段に上達していて、後半は「踊る準備はいい?」と新作から“Disco//Very”を披露すると、“Undertow”では徐々にBPMを上げて怒濤のジャムへ! 終始クールな彼女たちらしい貫禄のライヴだった。

ウォーペイント

とはいえこの日のハイライトは、なんと言っても大観衆を味方につけたヘッドライナー、ザ・ナショナルだ。ブルックリンでザ・ストロークスらの活躍を眺めた00年代初期を経て、今や“USインディー界のU2”になった彼ら。ワイン片手にスーツで決めたマット・バーニンガー(Vo)たちが登場するとカラフルなライトが会場を包み、新作から初期の曲までを熱演。「こんなにいい出演者のフェスに出られて嬉しい」とメンバーも大満足で、“Fake Empire”でデスナー兄弟が楽器を高々と掲げて大喝采の中で本編終了。手拍子&ドン! ドン! という足拍子を受けてのアンコールでは“Mr. November”でマットがステージを降り、観客をかきわけフロア後方の正面階段へ! 最後は“Terrible Love”を挟んでアコースティックな“Vanderlyle Crybaby Geeks”を観客と合唱する。このアンコールの展開は、11年の渋谷Duoでの初来日公演と同じもの。本国ではアリーナ級バンドにもかかわらず、全く変わらない姿に感激してしまった。

ザ・ナショナル

ザ・ナショナル

そうした人気アクトを揃えつつも、肩ひじ張らずに「音楽好きがふらっと遊びに行ける」雰囲気なのが<Hostess Club Weekender>。仲間と再会したり、新しく会った人と情報交換したり――キャパを拡大した今回も、インディー・カルチャーならではの楽しさは随所に感じられた。次回の開催は新木場スタジオ・コーストで6月21(土)、22日(日)に決定。果たして次は誰が来る? それをみんなで予想しながら待つのもまた、このイベントの楽しみ方のひとつなのだ。

text by Jin Sugiyama
photo by 古溪 一道(コケイ カズミチ)