そして今年リリースされた3作目『Good Luck And Do Your Best』では、過去2作での変化を踏まえつつ、より「ゴールド・パンダらしさとは何か?」を追究。彼らしいノスタルジックで温かな電子音も引き続き駆使しながら、同時に彼のルーツのひとつでもあるヒップホップ的なテイストを前面に押し出すことで、1作目と2作目の中間に位置するようなサウンドでありながら、同時に現在の彼が想像できるようなものに変化している。
それを裏付けるかのように、『Good Luck And Do Your Best』というタイトルは、広島でタクシーに乗った際、降り際に運転手からかけられたもの。そして現在の彼のパートナーが手がけたジャケット写真は、2人で日本を訪れた際たまたま目にした警備員が、本来は自分の仕事ではないごみ拾いをしている姿に感銘を受けて採用したもの。
クラブ・ミュージックの機能のひとつでもある非現実的な享楽性ではなく、こうした日常のちょっとした光景に惹かれていくその感性は、彼が精神的にはシンガー・ソングライター、もしくはポップ・ソングの作り手であることを改めて教えてくれるようだ。この作品は、歌がなくとも「歌が聞こえるような感覚になる」彼の音楽の特徴が、より正面から提示された作品と言えるかもしれない。
収録曲“Chiba Nights”でも、千葉や三ノ輪エリアでの出来事をコラージュのようにしてMVを制作。同時にISSEY MIYAKEの16年の秋冬コレクションのイメージ・ビデオにも楽曲“Metal Bird“が採用されるなど、その活動は様々な形で広がりを見せている。
Gold Panda – Chiba Nights
ISSEY MIYAKE: AUTUMN WINTER 2016 IMAGE VIDEO
3作を経てなお変わらないのは、その音楽が日常を思わせる様々な記憶のコラージュになっているということ。デビュー作『Lucky Shiner』だけでなく最新作『Good Luck And Do Your Best』にも登場する「Lucky」という単語にも象徴的な彼のチャーミングな人柄は、キャリアを積んだ現在も作品に独特の色を与えているようだ。1作目で見せたベッドルーム・エレクトロニカ、2作目で追究したクラブ・ミュージックとしての機能性、そして3作目でたどり着いた、エレクトロニック・ミュージックで表現されるポップ・ソングとしての魅力。それらすべてを通過して鳴らされる現在の彼のセットは、ある意味これまでの集大成と言えるものになっていくはず。あなたもこのタイミングで、ゴールド・パンダの世界を体験してみてはいかがだろうか。
EVENT INFORMATION
Tugboat Records presents Gold Panda Live in JAPAN 2016
2016.10.15(土)
OPEN 19:00/START 19:30
CIRCUS OSAKA
ADV ¥4,000/レーベル割価格 ¥3,500(限定50枚)
Gold Panda、Erik Luebs、DJ:MAYUMIKILLER(LOSER)
2016.10.16(日)
OPEN 19:00/START 19:30
京都METRO
ADV ¥4,000/レーベル割価格 ¥3,500(限定50枚)
Gold Panda、TOYOMU、DJ:isagen
2016.10.18(火)
OPEN 19:00/START 19:30
渋谷WWW
ADV ¥4,500/レーベル割価格 ¥4,000(限定100枚)
Gold Panda,DE DE MOUSE(VJ:北千住デザイン)
限定数で全公演レーベル割受付中 10月10日(月・祝) 12:00まで