【ライブレポ】キティー・デイジー＆ルイスは大雪にもろともしないほどアツい！

＜KITTY, DAISY & LEWIS JAPAN TOUR 2018＞
2018.01.22（MON）
Kitty, Daisy ＆ Lewis＠渋谷 CLUB QUATTRO

2年振りとなったキティー・デイジー＆ルイス（以下、KD&L）来日公演初日は、なんと大雪に見舞われることに。しかしゲレンデも溶かすその演奏のアツさに気分上々、帰り道はまったく寒くなかった人も少なくなかったに違いない。

待望の新作『SUPERSCOPE』を引っさげて行われる今回のツアー。前回の来日ではバンドの入場曲でホット・バターの“ポップコーン“が流れた瞬間から、魔法にかかったかのように「待ってましたー！！！！」と期待で溢れんばかりの心を鷲掴みにされたが、今回は大音量のギターのフィードバックに近いダーク・アンビエントとともに登場。今のダーハム兄弟のモードはどこか清々しく、振り切れているように見えた。

メンバーの楽器パートを交代させながら、音楽さながらステージングも全く退屈させない演奏スタイルのKD&L。一曲目には前作『The Third』をよりタイトに磨きながら、彼らのルーツを掘り起こしたポップスをフレッシュにまとめあげた新作『SUPERSCOPE』より、ギターのカッティングで始まるイントロが印象的な“Slave”を披露。デイジーのドラムが空気を揺らし、ルイスのキーボードは彩りを加え、キティーのギターとコシのある声に心踊らせ、「KD&Lで聴きたかった音はこれよ！」と言わんばかりの歓声が巻き起こる。会場の熱気は一気にヒートアップした。ダンスパーティーの幕開けである。

デイジーがボーカルでキティーはドラム、ルイスがギターを取ると演奏されたのは“Black Van”。『SUPERSCOPE』の中でも爽快感のあるこのナンバーは、ライブ前半で最も印象的だった。ルイスが鳴らすギターリフに、デイジーのパンクのように力強いボーカルが絡み合ったロックサウンドは、これまでのKD&Lにはなかった新しい音だ。しかしKD&Lは何をやっても聴きたかった音になっているのがすごい。おそらくルーツを前面に押し出しているからこそ、普通のバンドとは一線を画しているのだろう。極めてシンプルなのにここまで「ライブ映え」するなんて……！！

最新作の曲を中心に演奏していくが、MCを挟んだのちにスペシャルゲストが登場。そう、＜フジロック2015＞や前回の来日公演にも登場したジャマイカ出身のタンタンだ（エディ・“タンタン”・ソートン：ビートルズ、ローリングストーンズ、ボブマーリー、アスワド、ジミヘンドリックスと共演）。サード・アルバム『The Third』収録の“Turkish Delight”を皮切りに彼抜きでは成立しないスカ・サウンドなどに色を加えていく。踊ってもよし聴き入ってもよし、タンタンの登場は間違いなくライブのハイライトのひとつだった（あと彼の人柄も）。

本編の最後はセルフタイトルのファースト・アルバムに収録、キャンド・ヒート（Canned Heat：1960年代を代表するブルース・バンド）のカバー”Going Up the Country”で終了。デイジーがマイクの前でスネアドラムをガシガシ叩きまくりながら、そのすぐ隣でキティーが歌う姿はKD&Lのライブで名物になっている。ライブが終盤に差し掛かったことを告げると同時に、彼らのスタイルを最もよく象徴していた。

しかしまだまだ終わらない。アンコールに応えると（ルイスが登場する時、一瞬引っ込むふりをしたのを見て、観客の中で女性が「かわいい！！」と萌えていたのが面白かった）、ジャムナンバーの“Say You’ll Be Mine”を披露。メンバー各自のソロは最高なので、是非その目で確かめてほしい。

ラストはジョニー・ホールトン（Johnny Horton：50年代のカントリーシンガー）のカバーソング“Mean Son Of A Gun”で終了。夏フェスなどで観るKD&Lも気持ち良いけど、冬の寒い中に観るKD&Lは体の芯まで暖めてくれる。最初から最後まで絶え間無く踊らせてくれる。

開場前・後にBGMでかかっていたのはジミヘンやヴェルヴェット・アンダーグラウンド、キンクスなど、彼らのルーツを探れるものにもなっているので、友達とゆっくり聞きながら、話し合っても楽しい。あと彼らがどんな服装でステージに出てくるのかも注目だ。それにしても見処が多すぎます！！

Hanging out at @jwave813 ! Looking forward to tonights show at Club Quattro! ✌🏽

Kitty, Daisy & Lewisさん(@kittydaisyandlewis)がシェアした投稿 – 1月 21, 2018 at 9:38午後 PST

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Photo by 菊地昇
Text by Qetic・船津晃一朗