フェス人気の高まりと共に、ここ日本でも徐々にその数を増やしつつあるヘヴィメタル、ハードロック系のフェスティバル。特に、これからのシーズンは、大規模なものから、インディー系のものまで、個性豊かなメタル系フェスが開催される時期である。
そこで、今秋に開催される<LOUD PARK>、<OZZFEST JAPAN>、<JAPANESE ASSAULT FEST>、そして、<Obscene Extreme Festival Asia>という4つのメタルフェスをピックアップし、それぞれの個性や見どころを紹介してみたいと思う。
“国内最大”を謳う、まさに王道のメタルフェス<LOUD PARK>
先ずは、2006年から開催されている大定番のメタルフェス、<LOUD PARK(ラウパ)>。さいたまスーパーアリーナを舞台に、10月10日(土)と11日(日)の二日間に渡ってイベントが行われる。今年は、10周年、10回目の開催となるメモリアルイヤーであり、一つの節目ということもあってか、例年以上に気合の入ったラインナップが揃っている。
SLAYER – Repentless (OFFICIAL VISUALIZER VIDEO)
ヘッドライナーは、初日がニューアルバムをリリースし、最高のタイミングで来日する”帝王”スレイヤー、二日目がデイブ・ムステイン率いるメガデス。更に、アンスラックスが初日に出演する為、メタリカを除いた”スラッシュメタル四天王”の三組が日本で一斉に揃い踏みするという豪華な布陣が敷かれている。
スレイヤー、メガデス、アンスラックスによる日本での共演は、2009年の<LOUD PARK>以来の実現となり、実に6年ぶり。あの日、幕張メッセで彼らのステージを観ることが叶わなかったヘヴィメタルファンは、今年こそ、たまアリで彼らの勇姿を一度に観ることができる贅沢感を味わって欲しい。
ヘッドライナーに鎮座する最強のスラッシュメタルバンド二組が象徴するように、今年は全体的に、スラッシュメタル、デスメタル勢の参戦が多い印象を受ける。
Obituary – “Insane”
テスタメントにナパーム・デス、そのナパーム・デスにギタリストとして参加していたビル・スティアーのバンド、カーカス。日本でも高い人気を誇るメロディック・デスメタル勢のチルドレン・オブ・ボドムやアーチ・エネミー、アット・ザ・ゲイツ。フロリダのデスメタルシーンからはオビチュアリー、日本代表は、ジャパニーズ・スラッシュメタルのオリジネーターの一つであるアウトレイジ……更には、そうしたヘヴィメタル界のスーパースターが集う特別プロジェクト、メタル・アレジエンスなどなど、攻撃的なヘヴィメタルを愛して止まないファン層には堪らないバンドがラインナップに名前を連ねている。
HELLOWEEN – “My God-Given Right”
一方で、“メロディック・スピードメタル”の大御所であり、今年、新譜を携えての来日となるドイツのハロウィンの参戦や、ハロウィンともメンバーがリンクする、こちらもメジャーどころのガンマ・レイ、スウェーデンのハンマーフォール。そこに加えて、こちらは意外性のある抜擢となったディジー・ミズ・リジーのようなメロディアスなメタルを鳴らすヨーロッパ勢からも目が離せない。
10周年記念の<ラウパ>は、スラッシュ、デスメタルのバンドを中心にしつつも、メロディアスなバンドもバランス良くレイアウトした、過激でラウドなヘヴィメタルとメロディアスでエモーショナルなヘヴィメタルの両立、その二本柱が大きな見どころといえるだろう。
実際、今年は3つのステージでの開催となる<ラウパ>だが、初日に設けられたサブステージである“KINGDOM STAGE”には、ステージ名を体現するように王道のメタルを鳴らすヘヴィメタルバンドが、そして、二日目の“EXTREME STAGE”には、デスメタル系の過激派バンドがガッチリと密集し、臨戦態勢を整えている。
Anthem – “SHINE ON”
その他にも、昨年の<サマソニ>でも拍手喝采をもってロックファンから迎え入れられた“歌姫”浜田麻里、近年の好例となっている“アイドル枠”からはフルーツポシェット、今年、デビュー30周年を記念し、数々の大規模なイベントを行っているアンセムのように、バラエティーに富んだ日本人アーティストたちの活躍も楽しみの一つだ。
以上のように、そのラインナップだけで語りどころ、見どころに溢れた今年の<LOUD PARK>。ヘヴィメタルファンならば、二日間とも最初から最後まで楽しめること間違いなし!
唯一の不安は、いつものように二つのステージを使って交互に演奏……という形式ではなく、今年は三つのステージを駆使してのイベントとなる為、観たいバンドの出番が重なる恐れがあるということなのだが……。とはいえ、それだけ、豪華なバンドが揃っているということで、これも大充実の証だろう。当日は、タイムスケジュール片手に頭を悩ますことになりそうだが、それもフェスの醍醐味として存分にメタルの狂宴を楽しみたいところだ。
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