9月12日 ツアーファイナルデイ in マンチェスター

ブリストルの次はマンチェスター。The Full Moon & Attic Barからすぐ近くのパイ専門店「Pieminister」 で移動前の腹ごしらえ。パイと言っても、良く煮たビーフとシチューがパイの中に入ったもので、グレービーソースを掛けて頂くブリティッシュ・スタイル。「たまらんね!」とで舌鼓を打つ一行。イギリスには美味しいものがないと言われていますが、最近は本当におしゃれで美味しいお店がたくさんありますよ! 店内も清潔で、おしゃれで、気の利いたイケメンの店員がサービスしてくれて、日本にあっても絶対にうまく行くだろうなぁ、というレベルのパイのレストランです。

ベースミュージック好き必見。PART2STYLE欧州ツアーレポ music151019_outlook_12

7つの海に響き渡るゼド・バイアスの優しさ

ブリストルの主要駅、ブリストル・テンプル・ミーズ駅からマンチェスターまで3時間。また羊の群れを見ながら電車移動。駅に到着したP2S一行を、なんとゼド・バイアス(※1)が車で迎えに来てくれた。彼が言うには「去年の<Outlook Festival Launch Party>で東京に行った時、いろいろ連れて行ってくれたし、ラーメンも食べた、何と言ってもここはおれのホームタウン。何不自由なくさせたいし、いい経験をして、マンチェスターを好きになって帰って欲しい」と。彼はその後マンチェスターで一番ウマいレバノン料理屋に連れて行ってくれた上に、知らないうちに全員分の会計を済ませていた。さらに、ライブを終えた翌日P2Sらを彼のスタジオに招いた上に、自宅で料理を振る舞ってくれた。元シェフのゼド・バイアスによる、色とりどりのローストなどの特製ワンプレートを堪能したそうだ。もはや彼を形容する言葉は見つからないので、彼がしてくれた事を列挙するだけにしておこう。

ベースミュージック好き必見。PART2STYLE欧州ツアーレポ music151019_outlook_10

ベースミュージック好き必見。PART2STYLE欧州ツアーレポ music151019_outlook_11

本日のライブ会場はレバノン料理屋さんからほど近くのAntwerp Mansionというベニュー。なんとなくセレブな雰囲気の名前。「マンションということはセレブ箱なんでしょう?」とゼド・バイアスに聞いたところ「ユニークな場所だよ」としか教えてくれず、はぐらかされてしまった。集合時間まで時間があったので、ゼド・バイアスは「おれたちがやっているインターネットラジオでちょっとやってからイベント会場に行こう」と、車をベニューと反対の方へと走らせた。

ベースミュージック好き必見。PART2STYLE欧州ツアーレポ music151019_outlook_9

Bloc2Bloc Radioに飛び入り出演!

ゼド・バイアスが車を止めたのはカウンシルフラットと呼ばれる公営団地の駐車場。怖い場所では無いが、外国人がおいそれと来るような場所ではないことだけは雰囲気でわかる。その一室にインターネットラジオ局「Bloc2Bloc」のスタジオがあった。

6畳ほどの小さなスタジオは赤いライトで照らされ、暗室の様になっていた。その部屋には、二人がけソファとテーブル、見たこともない巨大なTシャツプリントマシン、そしてDJブースが備え付けられていた。DJブースでは<Outlook Festival>でも一緒だったマンチェスターのDJ/プロデューサー、チンポがプレイしていた。チンポのプレイの後、ゼド・バイアスとP2S・MaLは1時間のB2Bを披露した。

ベースミュージック好き必見。PART2STYLE欧州ツアーレポ music151019_outlook_8

その中でゼド・バイアスはタビーT・アンド・スティッキーの“Tales of the Hood”のニューリミックスをドロップした。この曲は2002年にリリースの、UK Garageの名プロデューサー、スティッキーのトラックに、北西ロンドン出身のタビーTのボーカルが乗ったUK Garageのアンセムだ。“Tales of The Food”は2008年のタビーTの死後、フロアでより輝きを放っていた。そのタビーTのボーカルのトラックの元データは消えて失くなってしまっていたと言われていたが、最近偶然にもデータのCDを持っていた人が現れ、ゼド・バイアスらがそれをもう一度リミックスしようとしている、ということだ。ちょうど2日前の9月10日はタビーTの誕生日。その日にゼド・バイアスがInstagramにポストしたその新リミックスは、彼のタビーTへのメッセージだ。そのメッセージは彼の元へ届いているだろうか? ミュージシャンらの深い絆と愛情を感じつつ、P2Sは謎のベニューAntwerp Mansionに向かった。

ベースミュージック好き必見。PART2STYLE欧州ツアーレポ music151019_outlook_7

Bloc2BlocのクルーがP2Sのマンチェスターツアーをレポートしてくれています!

▼ここでBloc2Blocの放送の録音が聴けます!
Chimpo & Part2Style B2B Zed Bias at Block2Bloc

HIT & RUN vs SUB FACTION with N-TYPE at Antwerp Mansion, Manchester

Antwerp Mansionは名の通り、元ベルギー領事館として使用されていたヴィクトリア調の建物をリノベーションするプロジェクトとしてスタートした。グラフィティで飾ったり、音楽イベントや写真などのエキシビションをするためのリノベーションをするのはもちろんのこと、チームメンバーは崩落しそうな壁や天井の修復から始めているそうだ。写真を見てもらえば分かるように、Antwerp Mansionは名前とは裏腹に、90年代UKの各地で行われていたレイブパーティの舞台であったウェアハウスや廃墟のような佇まいだ。さらに、見たことないクレイジーなマンチェスターの若者たちがやって来て、騒いで叫んで踊って飲んで我を失っているその様は、建物そのものよりもレイブ感を醸し出していた。ここAntwerp Mansionは、このツアーのうち一番「キツくて、最高」の場所だった。

今日はNタイプとの共演。この日のNタイプのセットは“History of Dubstep”セット。オーディエンスのほとんどはダブステップが生まれた頃、まだ10代にも達していないように思うのだが、こういうセットを聞かせられるDJが頻繁に自分の街にやって来る環境なら、そんなこともあまり関係がないのかもしれない、と羨ましく思った。

ベースミュージック好き必見。PART2STYLE欧州ツアーレポ music151019_outlook_5

ステージの上はアーティストや関係者かどうかわからない人で一杯で、それを誰も気にせず終始イベントは進んだ。P2Sの時間が始まるとさらにステージの上の人の数は増え、最後にはP2Sは20人位の大所帯多国籍クルーかのようになっていた。酒がこぼれてビショビショのステージ上で、謎のサイドダンサーがステージで踊り狂い、MCが勝手にマイクを持ってラップをかますという混沌とした状況の中で、P2Sは冷静に“Future Ragga”セレクションでマンチェスターのオーディエンスをロックした。

P2Sはイベント終了後、bloc2blocのスタッフにインタビューを受けた。その中でマンチェスターの印象を聞かれたのだが、MaLは疲労感か何かで半ば呆然としながら「マンチェスターのヤツらは……ヤバ過ぎ……」と語っていた一方、Nisi-Pは「マンチェスターのシーンは最高! イエ G〜!」とマンチェスターをいたく気に入った様子だった。日本でベテランサウンドの域に入ってきたP2Sは、ヨーロッパのタフな環境でのライブを通じて、 さらに日々進化している。

ベースミュージック好き必見。PART2STYLE欧州ツアーレポ music151019_outlook_4

※1:ZED BIAS(ゼド・バイアス)
言わずと知れたUKガラージのパイオニア。初期作品”ネイバーフッド”は今でもアンセムとしてプレイされてる。

※2:RSD(アールエスディー)
ブリストル・ベース界の重鎮、SMITH&MIGHTYのロブ・スミスのソロ名義。

text and photo by Jun Yokoyama