――RFの楽曲からは、スピード感や疾走感が感じられたりするのも、そういう理由があるのかなと思います。

澤田悠介(以下、澤田) あと、パートが3つしかないので、アレンジする時には皆で相当考えるんですよ。出来るだけ飽きさせないというか、聴かせられるものに作り上げようという緊張感が、どこかでスピード感に繋がってくるのかなと思いますね。

成川 あとはカオル君(鈴木郁)が入ってくれたおかげでいろいろ変わったところもあると思うんです。彼は、音楽に対するストイックさというか、独特の感覚がある。カオル君は初めどう感じたの?

鈴木郁(以下、鈴木) 僕は、ドラムという楽器からか、ループに対する違和感や抵抗は、全く無かったんです。でも1つだけ気になったことがあって。前任者のドラムの方が抜けるタイミングでお話をもらった時に、初めはイギリスに行けるって話だったんですよ。イギリス行けるんだったら何だってやると(笑)! でもいまだに行けてない…これは、おかしいなっていう(笑)。

成川 それは言いたいよね。話が違うじゃないかと(笑)!

――でも、ヨーロッパでRFがライヴをやったら、絶対面白いと思いますよね。

Farah イギリスってクラブ・ミュージックを常に革新していると思うし、やってみたいですよね。

鈴木 なぜイギリスに新しいものがどんどん生まれるのか、理由を探っているんだけど、イギリスは白人と黒人が同じバンドにいる確立が高かったり、凄くロックなギタリストがR&Bのシンガーと一緒にバンドをやってたり、いろいろなものがうまくミックスされている。僕の中では、ハイブリッドという言葉がまず思い浮かぶんですが、相容れないものが融合した時に新しいものが出来ると思うんですね。それが、RFではとてもうまく行ってると思う。あと、イギリスは、建物とかも古いものを大切にしますよね。それなのに、凄く新しいものが出てくるっていう矛盾がまさにハイブリッドだと感じてて、いつも面白いなと感じる。RFもそんな感覚を持って、新しいものを作って行きたいと思ってます。

成川 カオル君が、実はRFの一番大事なところを担っていたりして、レコーディングで煮詰まった時にも面白いアイデアを出してくれる。

Farah レコーディングでは、まず否定しないでいろんなことを試すっていうのがRFの良いところでもありますね。

澤田悠介 実際の音にしてみるっていう頻度は、他のレコーディングの現場より高いです。僕もレコーディング・エンジニアとしていろいろな現場を経験してますけど、普通は、誰か船頭が1人いて、船頭の頭の中にある音楽を積み重ねていくというのがレコーディング・スタジオのスタイル。でもRFの場合は、皆のアイデアによって初めのイメージからだんだんと変わっていって、最終的には違うものになっていることも多い。船頭が多いと道に迷うことも多いんですけど、そこがかなりうまくいっていると思いますね。

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――ネタが決まって最終的な形になるまでは、けっこう時間がかかるんですか?

Farah 早く決まるものもあれば、いろいろなパターンを試して時間が掛かるときもありますね。

澤田 普通のレコーディングだったら、「3回録音してみて、その中で決めましょう」というようなことが多いんですが、僕らはまずネタがあって、スタジオ入るとやっぱり一日かかるんですよ。でも、録り終えた時にまた違うアイデアが出てきたり、それを次の日に持ち越したりするうちに、どんどん進化していく。おそらく皆が、「まあ、こんなもんでしょ」って感じたテイクはダメだと思うんです。誰か1人でも、これは間違い無いって思ったものが、僕らがリリースするべきものなのかな。ライヴを重ねる中でも、どんどん進化いく感じですね。

――ネタ選びはFarahさんが動いていると思うんですが、けっこう印象的だったのは、ブッダ・ブランド“人間発電所”でも使われていた、King James Version“I’ll still love you”だとか、最新作でもいろいろ使われていて凄く面白いなという印象です。どのような基準でネタを選ぶんですか?

Farah 基本的に僕がDJでかける好きなものであって、現場の反応の良いもの、なおかつ、もっとこうなってたらいいんじゃないかなとレコードを掛けてるなかで思ってたりして、それを皆に演奏してもらう感じです。特に今回は5枚目ということで、もう一度原点に帰って、これはという曲をネタとしてチョイスしようと思いましたね。

――では特に、皆さんの今作の聴きどころを教えて下さい。

成川 俺は、“Qualquer dia ~ Tens”だな。素晴らしいコード感だよね。

――これは元々のネタはイヴァン・リンス。イヴァン・リンスはラストの曲でもカヴァーされていますよね。

Farah ヴァージョン違いで作ってみましたね。メドレーに関しては、ヒップホップのビートを意識して、RFならではアレンジの妙が出せたかなと思ってます。あとは、ヌジャベスが使ってないところも実は使ってるんで、その辺りも聴いてもらえたらと思いますね。

板谷 僕は今のイヴァン・リンスの曲だとか、ノラ・ジョーンズの“Sunrise”かな。今までのRFの集大成的な、幅広い音楽ファンに聴いてもらえるアレンジになったと思いますよ。

鈴木 僕は、特に一曲というよりも、音色の鳴りの部分ですかね。レコーディング・エンジニアとして澤田さんが入ってきたおかげで、お互いのや細かなやり取りが試せるようになって、今回のアルバムではそれがうまく行ったなと思う。例えば生のドラムなんだけど、同じドラムセットでも皮を張り替えただけで全く音が変わってきたり。

Farah 僕は、どれか1つと言われたら10曲目の、“Qualquer dia”のカヴァー・ヴァージョン。RFらしさがよく出た仕上がりだなと感じています。

澤田 僕も10曲目かな。だんだん静かなところから最後の盛り上がりまでは凄く気持ち良いです。皆を振り向かせるような力のある曲になったと思うし、大好きですね。

――今回のアルバムとは別に、3月後半にリリースされたDE DE MOUSEプロデュースの『The Selection of DE DE MOUSE Favorites performed by 六弦倶楽部 with Farah a.k.a RF vol.01』も話題となりました。この作品では、いつものRF作品とは選曲のセレクトもがらっと変わって、また違う面白さも感じたのですが、普段の元ネタと、DE DE MOUSEがセレクトした楽曲と比べて、どのような違いを感じましたか?

成川 全くRFとは違う楽曲だったから、初めはどのように取り組んでいいのか途方にくれて、時間もタイトなスケジュールだったので、けっこう悩みましたよね。でも、彼がなぜあそこまで支持されるかってのを、今回付き合って行く中ですごく感じるものがあって。景色が見える音楽というか、何か共通するものはあるのではと感じたんです。とても刺激的で良い経験でしたね。

――あとは、これまでライヴでは、DA PUMPのU-YEAHさんや、ヒューマン・ビート・ボクサーの Daichiさん等ともコラボレーションをされてますが、異なる分野の方とのコラボをどう感じますか? また今後も、いろいろなコラボレーションを考えているのですか?

Farah あることを極めようとしている人とのセッションは、お互いに凄い高いレベルで交わることが出来るし、相性が良ければどんどんやっていきたいですよね。U-YEAHさんやDaichiさんも、人力というところで共通点があって、すごく面白がってくれたと思う。あとは、ラッパーとやったことが無いんで、何かやってみたいですよね。

成川 さっきカオル君が言ったように、価値観の違うことを敢えて皆でやった方が、面白いことが出来ると思うんです。

――では最後に、バンドとしての今後の活動の展開や、これからの目標を教えて下さい。

Farah 5月になるんですが、京都、大阪、岐阜と周り、Saravah東京でワンマンを行います。あとは、ライヴも含めて、いろいろな環境が、もっと音楽と身近になればいいなと思いますね。気軽に仕事帰りにいい音楽を聴きに行って、パワーをもらえたりとかね。

成川 あと僕は、自分達の音楽で会場をクリエイトしてみたり、それを考えると映像とコラボレーションをしてみたい。

Farah VJってテクノとかハウスと絡むことが多いけど、僕らのような生演奏と連動するような形での何かは、絶対面白いと思いますね。

澤田 今まさにここで、新しいアイデアが生まれましたね(笑)。

――これからの活動もとても楽しみにしています。ありがとうございました!

interview&text by Yasumasa Okada(DESTINATION MAGAZINE)

★メインの動画はQeticエクスクルーシヴ!
インタビュー後にスタジオで『Fill the bill』のメドレーを演奏して下さいました!
今すぐ再生して聴いてみよう!!

RF – Resurrection (Fill the bill medley mix)


Event Information

Farmers market
2013.05.11(土)@表参道 国連大学前

インストアライブ
2013.05.11(土)@新宿タワーレコード

2013.05.17(日)@京都CAFE INDEPENDANTS

2013.05.18(土)@大阪 JACK LION
OPEN 18:00/START 18:30
ADV ¥2,500/DOOR ¥3,000

2013.05.19(金)@岐阜aLFFo

下北沢Sound Cluising
2013.05.25(土)@下北沢
DAY TIME:OPEN 16:00/START 17:00
ADV ¥3,800/DOOR ¥4,300(ドリンク別)

NIGHT TIME:OPEN/START 23:00
ADV ¥3,500/DOOR ¥4,000(ドリンク別)

DAY-NIGHT 通し券 ¥6,000円(2ドリンク別)
★RFはNIGHT TIMEに出演!

2013.05.26(日)@Saravah東京

Release Information

Now on sale!
Artist:RF
Title:Fill the bill
Timeless
T-006
¥2,300(tax incl.)

Track List
01. Resurrection
02. Jazz move
03. When will the day come
04. Sunrise
05. Qualquer dia ~ Tens
06. Up & down
07. You are everything
08. As
09. Sometimes I rhyme slow
10. Qualquer dia