■ ナズの『イルマティック』再現ライヴと、大量の花火でクロージング

背後から聞こえるTAKKYU ISHINO(電気グルーヴでとしての出演を含めると本フェス皆勤賞!)のDJに後ろ髪を引かれつつも、やはり大トリのナズ(Nas)は別格だった。DJグリーン・ランタンとバックの映像だけをフィーチャーしたシンプルなステージングではあったが、存在感も、ラップ・スキルも、オーディエンスの盛り上がりもケタ違い。事前にアナウンスのあった通り、今年で20周年を迎えたデビュー作にして名盤『イルマティック』の再現ライヴということで、2014年からのカウントダウンを経て“The Genesis”の(あの地下鉄の)イントロで幕開けすると、数千人のオーディエンスが割れんばかりの絶叫を上げる。「JAPAN State Of Mind」と歌詞をアレンジしてみせた“N.Y. State Of Mind”、「ヒップ・ホップ・ミュージックは好きかい? だったらオレからはジャズを贈るよ」との前置きで始まった“The World Is Yours”、そしてマイケル・ジャクソンへの愛と感謝を述べてからマイケルの“Human Nature”をサンプリングした“It Ain’t Hard To Tell”へと至るサービス精神たっぷりの演出には、『イルマティック』にリアルタイムで触れられなかったリスナーとしても胸に迫るものがある。

とはいえ『イルマティック』は正味40分にも満たないアルバムなので、後半はどう来るのかと心配していたらGジャンを脱ぎ捨ててキャリア総括のヒット・メドレーに突入! 鬼気迫るフロウ/ライムに震えた代表曲“One Mic”から、ピアノ&サックスが優しく溶け合う“Stay”で締めるラストの素晴らしさは今でも脳裏に焼き付いている。アンコールこそ実現しなかったものの、ナズのパフォーマンス終了とほぼ同時に打ち上げられた大量の花火が、短い夏の終わりを宣言しているようでちょっとばかりセンチメンタルな気持ちに……。

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開催前は「豪華だけどイマっぽくないラインナップだな〜」と思っていたが、振り返ってみれば天候にも恵まれ、出演アーティスト/バンドのパフォーマンスも文句なしだった<StarFes.’14>。まるでミシェル・ゴンドリー監督の『ブロック・パーティー』の世界をそのまま持ち込んだかのような、主催者からもオーディエンスからも、音楽への深い愛情を感じ取れる贅沢な1日だった。来年はドレイクとケンドリック・ラマーとフランク・オーシャンの出演をオナシャス!!

(text by UK)

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