ジャズを起点にあらゆる音楽のクロスオーヴァーへと至るStill Caravanの魅力とは?

Still Caravan「Grown feat. Part Time Cooks」Music Video

だとするなら、ジャジー・ヒップホップの人気コンピ『IN YA MELLOW TONE』で知られる〈GOON TRAX〉所属のこのバンドも、そのラインナップに加えてみてはどうだろうか? 07年に千葉で結成されたStill Caravanは、トラックメイカーのHiGASHi、Takashi Tsurumi(Vo, G)、Ryosuke Kojima(B)、Hiroaki Nakahara(Piano)、Shunsuke Suzuki (Dr)からなる5人組。J・ディラ由来のヒップホップ・ビートからDJシャドウのようなサンプリング・ミュージック、クラブ・ジャズ、ザ・ルーツやジャザノヴァら生演奏を重視したグループまで参照点は幅広く、各メンバーの興味を有機的に融合させて楽曲を生みだしていくのも大きな個性になっている。

J Dilla – Won’t Do

The Roots – How I Got Over

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彼らは14年の『IN YA MELLOW TONE 10』に参加すると、同年『The Best Of IN YA MELLOW TONE LP』では東洋や中東の音楽を取り入れたジャズを展開したユセフ・ラティーフの“Love Theme From Spartacus”をカヴァー。これは14年1月に亡くなった彼を追悼してのものだろう。続く15年にはファースト『Departures』を発表。ストリングスに乗せて二宮愛とサム・オックが掛け合うジャジーなソウル・アンセム“Mend Your Broken Heart feat. Sam Ock & Ai Ninomiya”の評判も相まって、レーベルの新世代を代表する存在になった。

最新作『EPIC』は、よりバンドとしての魅力を突き詰めた意欲作。

Still Caravan 「Shine On」 Music Video

約1年半ぶり2作目となる最新作『EPIC』は、そんな5人のさらなる音楽性の成熟/進化が感じられる文字通りの意欲作。ゲスト・ヴォーカルにはStill Caravanの前作やGEMINI、Robert de Boronの作品にも参加するオーストラリアのラッパーKharismaや、同じく前作にも参加した韓国を拠点に活動するアメリカ&南アフリカ人デュオ、Part Time Cooksが名を連ねる他、6曲目“Share My Soul feat. KYTE”では海外在住経験もある東京拠点のR&BシンガーKYTEが日本語と英語の境界線を溶かすようなヴォーカルを披露。10曲目“No Turning Back Time Feat. Steph Pockets”には、先日1月29日に行なわれたStill Caravanとのダブル・リリパの為に来日を果たしたSteph Pocketsも参加し、どっしりとした存在を放っている。

Still Caravan『EPIC』release party 2017.01.29(SUN)@渋谷Glad


Suchmos、cero、WONK。クロスオーヴァーするシーンの注目バンド、Still Caravanが溶かすジャンルの境界線 stillcaravanlive_1-700x467
Suchmos、cero、WONK。クロスオーヴァーするシーンの注目バンド、Still Caravanが溶かすジャンルの境界線 stillcaravanlive_7-700x467
Suchmos、cero、WONK。クロスオーヴァーするシーンの注目バンド、Still Caravanが溶かすジャンルの境界線 stillcaravanlive_5-700x467
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Steph Pockets / My Crew Deep Together feat. Ai Ninomiya (Prod. by GEMINI) Music Video

また、今回“Take It Slow feat. Kharisma”と“Share My Soul feat. KYTE”、“Railroad No.9”ではメンバーのTurumiもヴォーカルを担当。これまで彼らがフィーチャーしてきたラッパー、R&Bシンガーとは異なる歌声で楽曲に新たな魅力を加えている。とはいえ、今作の最大の特徴は、ヴォーカリストを迎えた楽曲の割合が減り、5人の演奏にフォーカスした曲が増えていることだろう。

メンバーは2泊の合宿に向かって多くを仕上げたそうだが、ホーンとベースラインが印象的な“Shine On”、流れるようなピアノと生演奏にエレクトロニックな音を忍ばせた“Butterfly”、激しいパーカッションが印象的な“Urban Jack”、ジャック・ジョンソンのようなUSサーフ系を思わせる“Railroad No.9”など、全編にはジャズを中心にヒップホップ、R&B、クラブ・ミュージックまで様々な音楽要素が詰まっている。

曲によってドラムンベースやハウスの影響が濃厚に出ていた前作に対して、ライブ感を伴った演奏ですべてのジャンルが溶け合うような雰囲気が生まれているのも、本作ならではと言えるはず。あなたがもしもSuchmosを筆頭にしたバンドからfox capture planまで、様々な音楽を横断して楽しむ今の感覚を持ったリスナーなら、ジャズ・バンドらしい技巧派のアンサンブルからJ・ディラ直系のビート、そしてポップ・ミュージックとしての魅力まであわせ持つ彼らのサウンドも、ぜひお試しあれ!

EVENT INFORMATION

Still Caravan『EPIC』発売記念インストア・イベント

2017.02.18(土)
START 17:00
東京 渋谷タワーレコード渋谷店
観覧無料
LIVE:Still Caravan
詳細はこちら

RELEASE INFORMATION

EPIC

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NOW ON SALE
Still Caravan
¥2,000(+tax)
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photo by Takumi Nakajima