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1968年に子供用のおもちゃとして発売され、デビット・ボウイや、クラフトワーク、その他様々なミュージシャンが使用した事で知られている、小型シンセサイザー、『Stylophone』(スタイロフォン)。

1960年代と70年代に約300万台以上が販売され、空前の大ヒットを記録しました。1975年に生産が終了しましたが、2007年にはデジタル技術を取り入れ、いくつかの新機能が追加された復刻バージョン『Stylophone S-1』が発売され、レトロでコンパクトなルックスと、誰でも気軽に楽しめる事で、今なお人気がある電子楽器なのです。

そして2017年、『Stylophone』を作った「Dubreq社」が、新製品の『Stylophone GEN X-1』(スタイロフォン・ジェン・エックス・ワン)を発売しました。

金属で出来た鍵盤に、真鍮のペン「スタイラス」を使ってメロディーを演奏できるのは従来どうりですが、今回発売された新しい『Stylophone GEN X-1』は、アナログ・シンセの基本機能をコンパクトなボディーの中に落とし込み、従来の『Stylophone S-1』に比べ、作れるサウンドの幅が大きく広がった「ポータブル・アナログ・シンセサイザー」として進化を遂げました。

国内では発売されてまだ間もない本製品ですが、従来の『Stylophone S-1』から進化したポイントを見て行きながら、『Stylophone GEN X-1』の使用レポートをお届けしたいと思います!

レトロなルックスはそのままに「ポータブル・アナログ・シンセサイザー」に進化

どこでも気軽に持ち運べるアナログ・シンセに進化した『Stylophone GEN X-1』の魅力 technology_StylophoneGENX-1_02-700x468

こちらは2007年に復刻された『Stylophone S-1』です。コンパクト・サイズでお手頃な価格、味わい深い音色で、誰でも気軽にメロディーを奏でて楽しめる、人気の小型シンセサイザーです。

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そしてこちらが、今回発売された『Stylophone GEN X-1』です。『Stylophone S-1』から受け継がれたレトロな佇まいはそのままに、様々なスイッチやツマミ、リボン・コントローラーなどが新たに追加され、「ポータブル・アナログ・シンセサイザー」として生まれ変わりました。

筆者が初めて『Stylophone GEN X-1』の実物を目の前にした時の第一印象ですが、想像してたよりもやや大き目でごつく、全体的に高級感がありカッコいいです。『Stylophone S-1』よりもテクノ具合が増した印象です。アナログ・シンセやガジェット好きな方なら、思わず振り向いてしまうのではないでしょうか。レトロなルックスは、昔のポータブル・ラジオを彷彿とさせ、見ているといじって遊びたくなってきます。

まずはどんな音が出せるのか気になると思いますので、『Stylophone GEN X-1』を使った演奏を見て頂きたいと思います。本製品のアナログ・シンセ・サウンドを、「ルーパー」というエフェクターを使って多重録音し、電子音楽を一曲演奏させていただきましたので、お楽しみください。

▼『Stylophone GEN X-1』with Loop Machine. Play Electronic Music

表現できるサウンドの幅が広がった『Stylophone GEN X-1』の新機能

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それでは本製品の新機能を見て行きたいと思います。『Stylophone S-1』では、上半分はスピーカー・セクションとして、銀色の四角い網が付いているシンプルな作りでしたが、『Stylophone GEN X-1』では、そこに大きなコントロール・パネルが追加されました。見るからにアナログ・シンセなルックスは目が釘付けになります。

こちらの「エンベロープ・セクション」にある、「アタック」、「ピッチ」、「ディケイ」の3つのツマミで、フィルターや音程に動きを付ける事ができます。「LFOセクション」では、波形切り替えスイッチで「矩形波」と「三角波」を切り替え、「レイト」、「デプス」ツマミで音の揺らぐ速さや深さをコントロールします。

「フィルター・セクション」には「ローパス・フィルター」が搭載され、「カットオフ」、「レゾナンス」ツマミを動かしながら演奏すれば、音をこもらせたり、明るくしたり、アナログ・シンセならではの「ビヨーン」というサウンドが出せます。

さらに、『Stylophone GEN X-1』にはディレイ・エフェクトも内蔵されています。こちらの「ディレイ・セクション」には、「ディレイ・オン」スイッチ、「ディレイ・タイム」、「フィードバック」、「レベル」ツマミが搭載されていて、特に「フィードバック」を最大にした時の音はアグレッシブでカッコよく、『Stylophone S-1』に比べて、表現できるサウンドの幅が格段に広がっています。

パルス・ウィズ・モジュレーションや、オクターブ下を補う「X」、「-1」、「-2」ボタンを装備

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本製品の左側面から見たところです。手前の方にあるパワー・スイッチで電源をオン・オフします。その近くには新たに「X」、「-1」、「-2」の3つのボタンが追加されています。「X」ボタンを押すとパルス・ウィズ・モジュレーションをかける事ができ、コーラスのように揺らぎのあるサウンドが出せます。

「-1」、「-2」ボタンは、サブ・オシレーター的な機能で、「-1」ボタンを押すと、1オクターブ下の低い音を加えられ、「-2」ボタンを押せば、2オクターブ下の低い音を加える事ができます。

『Stylophone S-1』ではパワー・スイッチの近くにビブラート・スイッチがあり、正面の切り替えスイッチで低いキー、中位のキー、高いキーを切り替える仕様でしたが、『Stylophone GEN X-1』では、これらの「X」、「-1」、「-2」ボタンに取って代わったようです。

「ライン入力端子」から入力した音に対してエフェクトをかける事ができる

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本製品を右側面から見たところです。手前には音量をコントロールする「ボリューム・コントローラ」と、その隣には3.5mmミニ・ジャックの「ヘッドフォン端子」、「ライン入力端子」が装備されています。

「ライン入力端子」は、外部のミュージック・プレーヤーや楽器などと接続して、内蔵スピーカーから音楽を鳴らしつつ鍵盤を演奏したり、入力された音楽に対して、「LFO」、「フィルター」、「ディレイ」などのエフェクトをかける事もできます。

『Stylophone S-1』にも「ボリューム・コントローラー」、「ヘッドフォン端子」、「ライン入力端子」は付いていましたが、入力された音に対してエフェクトをかける事ができるのは、『Stylophone GEN X-1』ならではの新しいポイントです。

外部から音楽を入力して『Stylophone GEN X-1』のスピーカーから鳴らすと、ラジオのようにチープで味わい深いサウンドになり、曲に合わせてフィルターやディレイのフィードバックなどをかけて演奏すれば、それだけでずっと遊べるくらい楽しめます。

幅が広くなった「金属鍵盤」と「リボン・コントローラー」を搭載

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鍵盤部分のすぐ上に見える、「リボン・コントローラー」も『Stylophone GEN X-1』に新たに搭載された機能です。

「スタイラス」や指先を「リボン・コントローラー」に、やや強く押し当てるようにして音を出し、その指を揺らしたり、滑らせたりしてビブラートや、ポルタメントを表現できます。端から端へゆっくりスライドさせれば「ビュイーン! 」という派手な効果音を出す事も可能です。

金属の鍵盤部分も光沢が増しただけでなく、よく見ると新しくなっています。『Stylophone S-1』は鍵盤の並びが、「ラ、シ、ド、レ、ミ、ファ、ソ、ラ、シ、ド、レ、ミ」でしたが、『Stylophone GEN X-1』では「ド、レ、ミ、ファ、ソ、ラ、シ、ド、レ、ミ、ファ、ソ、ラ、シ」と、約2オクターブの鍵盤があるので、演奏できる幅が広がり安心感があります。

単三乾電池4本で駆動、「ピッチ・コントローラー」を装備

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本製品を裏側から見たところです。『Stylophone S-1』では裏側のプラスチックが艶のある白だったのに対して、『Stylophone GEN X-1』では艶消し黒になり、落ち着きのある印象です。

『Stylophone S-1』は単三乾電池3本で駆動しましたが、『Stylophone GEN X-1』では、単三乾電池4本で音が出せる仕様になっています。左側の窪んだ所にあるツマミは音程のチューニングを合わせる時に使う「ピッチ・コントローラー」です。

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本製品は鍵盤が表側、ピッチを調整するツマミが裏側にあるため、表裏をひっくり返しながらチューニングを合わせるのは少し大変でしたので、もう少し簡単にできる方法を考えてみました。

まず、アウトプット端子からチューナーに接続した『Stylophone GEN X-1』を、上に向けた左手のひらに対して鍵盤が縦になるように乗せ、左手の人差し指と親指で「ピッチ・コントローラー」を下から軽くつまみます。

右手で「スタイラス」を持ち、左手のひらに乗せた本製品の一番低い「ド」を鳴らし、チューナーを見ながら左手の指でツマミを調整してジャストに合わせます。この方法なら表裏をひっくり返す手間が省けるので幾分やりやすかったです。本製品を落とさないように慎重に行うのがコツです。

小さいマイナス・ドライバーで「トリムポット」を微調整

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『Stylophone GEN X-1』の背面には「トリムポット」が付いています。これはチューニングを微調整する時に使う物で、通常は裏面にある「ピッチ・コントローラー」で音程を合わせますが、それでも微調整が必要な場合は、背面の「トリムポット」を使います。

例えば一番低い「ド」を「ピッチ・コントローラー」でジャストに合わせ、その1オクターブ上の「ド」も合って聴こえるけど、1番上の「シ」がずれて聴こえる事があります。その場合は、こちらの「トリムポット」に小さいマイナス・ドライバーを差し込んで、全部の音がバランス良く聴こえるように微調整します。

こちらは大げさではなく、1~2ミリ回しただけで、とんでもなく音がずれてしまいますので、あまり力を入れずにほんの少しだけ(0.1ミリくらいずつ)回して、音をチェックし、まだずれていると思ったら、再びほんの少し回して、音をチェックして、という作業を何度か繰り返します。同時に先程の「ピッチ・コントローラー」で一番低い「ド」もジャストに合わせ、できるかぎり、下から上まで全ての鍵盤の音がバランス良く聴こえるように追い込んでいきます。

正直、本当にきちんとチューニングが合っている状態を目指して調整していくのは、やや根気がいる作業でした。ですが、アナログ・シンセならではの不安定な要素も含め、本製品を愛着を持って末長く使用して行きたいという気持ちにさせられます。

『Stylophone GEN X-1』はデザインがカッコよく、つい音を出したくなる

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『Stylophone GEN X-1』の使用レポートいかがでしたでしょうか。コンパクトなボディーにアナログ・シンセの基本的な機能が盛り込まれ、小さすぎず、大きすぎず、程よくデラックスな外観は触っていて楽しく、使う程に愛着が湧きます。

鞄にいれて持ち運べば、どこでも好きな場所でアナログ・シンセ・サウンドが楽しめますし、デザインもレトロでカッコよく、部屋に置いてあればつい音を出したくなってきます。

本製品は「スタイラス」というペンで演奏するため、和音を弾く事は出来ませんが、先程ご紹介した動画のように、ルーパー系のエフェクターを使って、いくつもの音を次々に多重録音すれば、バリエーション豊かなハーモニーを奏でる事ができます。これが時間が経つのを忘れるくらい面白いのでおすすめです。

好きな音楽を聴きながらメロディーを弾いて遊ぶだけでも十分楽しめますし、ミュージシャンの方は本製品をライブやレコーディングに取り入れてみてはいかがでしょう。興味のある方はぜひチェックしてみてください!

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Mikiya Komaba

Mikiya Komaba

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