フィンランドのシンセサイザー・メーカー「Olegtron Mechatronics」から発売されている、ちょっと気になるマニアックな製品、「Olegtron* 4060」をご紹介したいと思います。

本製品はユーザーが電子工作をするように、付属の抵抗やコンデンサー、LEDランプなどの電子パーツをパッチボード部分に接続して、ユニークな電子音やシーケンスを鳴らしたり、様々な接続をテストする事で、電子パーツがどのように動作しているのかを学ぶ事ができる、コンパクトな「オシレーター/ディバイダー・ボックス」です。

筆者は電子工作の知識はほとんど無いに等しいのですが、色々な電子パーツを接続して変わった電子音を出してみたいという好奇心から本製品を入手しました。一体どんな面白いサウンドが出せるのか、「Olegtron* 4060」の使用レポートをお届けしたいと思います。

「Olegtron* 4060」

「4060」のセット内容

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本製品のセット内容です。箱の中には「4060」本体と、説明書、パッチングした設定を記入するためのパッチ・カード、そして付属品の様々な電子パーツがセットになっています。

縦長のボックスに2つのツマミが付いているルックスは、パッと見、ギターのエフェクターに似ている印象を受けますが、どのように使うのか気になるかと思いますので、まずは動画を見ていただきたいと思います。

「4060」を操作して、いくつかのサウンドを撮影しましたのでご覧ください。

Olegtron Mechatronics 「Olegtron* 4060」 demo patching

ダイオードやトランジスタなど、豊富な電子パーツが付属

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こちらが付属の電子パーツです。その種類は、配線用の電線、抵抗、コンデンサ、LED、トランジスタ、ダイオードなど、様々です。これらを組み合わせて変化に富んだ電子音を鳴らす事ができます。

このパーツを見て、難しいのではないかと思った方もいるかもしれませんが、実際に遊んでみたところ結構簡単で、興味さえあればどなたでも楽しめると思います。

別売りの9V電池で動作

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本製品は別売りの9V電池で動作します。フロントパネル側にあるネジを一本外せば簡単に開ける事ができ、内部には電池を入れるスペースがあります。写真は9V電池を取り付けたところです。

オン/オフ スイッチと、3.5mmステレオ・ジャック出力を搭載

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本製品の電源スイッチをオンにして、3.5mmステレオ・ジャック出力に、ステレオ・ミニ・ケーブルを接続したところです。

本製品は電子パーツの接続によって、突然大きな音が出る事があります。大切なスピーカーや耳にダメージを与えないために、使用する時はスピーカーのボリュームを小さくして、電子パーツを接続してからゆっくりボリュームを上げ、慎重に確認しながら遊ぶのがコツです。

「4060」に直接ヘッドフォンを接続して使うのは、危険すぎるので絶対にやめましょう。

「フリーケンシー」と「スターブ」ツマミで音色に変化を付ける

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本製品の2つの黒いツマミは、向かって左側が「フリーケンシー」で、音程やシーケンスの速さなどをコントロールします。右側の「スターブ」で、音のアタック感を強めたりソフトにしたり、音色に変化を付ける事ができます。

中央の上にある赤いプッシュ・ボタンは、シンセ・ドラムの音色を作った時にボタンを押して演奏できます。そのやり方は、電源スイッチをオフにすれば、赤いボタンを押した瞬間だけ音が出せるようになっているのでとても簡単です。

パッチボードに電子パーツを接続し、面白いサウンドやシーケンスを作る

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下の方にある黒く穴が開いている部分がパッチボードです。縦に4つ、横20行のパッチボードに様々な電子パーツを接続して、面白いサウンドやシーケンスを作ります。このセクションは大きく分けて「PWR」、「DIVIDER」、「OSC」、「I/O」という4つのグループに分かれています。

「4060」の音を出すファースト・ステップ

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本製品の音を出すファースト・ステップを簡単にご説明します。
まずスピーカーのボリュームを最小にします。付属の電線を使って「I/O」セクションにある、「TIP」から「DIVIDER」セクションのどれかに結線すると左チャンネルから音が出力され、次に「RING」から「DIVIDER」セクションのどれかに結線すると右チャンネルから音が出力されます。接続の仕方によって、左右から違う音を出力できるところが面白いポイントです。

結線をした後、スピーカーのボリュームをゆっくり上げ、音を適量に調節して確認するのが本製品の安全な使い方です。先にも少し書きましたが、スピーカーのボリュームが上がっている状態でパーツの接続をすると突然大きな音が出て、スピーカーや耳、心臓にも良くないので、くれぐれも注意が必要です。

その後で、別の電子パーツをパッチボードに接続して、音が変化するポイントを見つけ出すように使います。本製品は単体で音を出して楽しむ事はもちろん、他の様々なマシンに複雑な制御信号を送信してコントロールする事も可能となっています。

付属のパッチ・カードに設定を記入、後で同じ音を再現できる

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気に入った音が作れたら、付属のパッチ・カードに電子パーツの設定を記入しておけば、後で同じサウンドを再現できるので便利です。また作ったサウンドに改良を加えて違う音に発展させる時にも、この紙は重宝するのでコピーして何枚か持っておきたいです。パッチ・カードに設定を書き込む時、技術者になったような気分になれます。

電子回路の知識がなくても十分楽しめる

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今回「4060」を使用してみて、本製品は誰でも簡単に音を出す事ができ、十分楽しめる製品だと思いました。とは言え、パーツをどこに接続すると、どう変化するのかを全て理解するには経験と勉強が必要で、同時に奥が深いとも感じます。

パッチボードに色々な電子パーツの接続を試し、面白い音を探り出していると、突然音が変わる瞬間があります。全く予想外の音に変化したり、それと同時にLEDがピカピカと点滅したり、思わず「来た~!」と声を出してしまう程、驚きの連続でした。

パズルをしているような面白さ

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本製品はパッチボードと電子パーツが小さいため、パッチする時に、集中しないと的確な位置に挿し込めないもどかしさがありましたが、たくさんある電子パーツの中から、どれかを選んでパッチする作業は、パズルをしているような面白さがあります。

専門的な知識がなくても音を出せますし、むしろ何もわからない方が新鮮に遊べるのではないかと思いました。それでいて奥が深く、挑戦しがいがあります。電子工作や実験に興味がある方や、先にご紹介した動画の音が好きな方には特におすすめです。

「4060」はリズミカルなクリック音や、フレーズも出せるので、パソコンを使って音楽を作っている方も、本製品のシーケンスをハードディスクに録音してDAW上で再構築するのも面白いかもしれません。アナログで予想外に変化するサウンドを取り入れてみてはいかがでしょう。興味のある方は「Olegtron* 4060」をチェックしてみてください!