――貴方はマルチ・プレイヤーでもありますが、本作で演奏した楽器にはどのようなものがありますか?
キーボードを沢山弾いてるし、最初の段階ではギターも弾いた。デモの段階だけどね。そのあとは、スティーヴ・ハリスがいてくれたから、彼が新しいギターやベースを担当してくれた。あと、ナイン・インチ・ネイルズのロビンも。彼も4、5曲でプレイしてくれてるんだ。そういう上手い人たちがいれば、俺が弾くより断然彼らに弾いてもらう方がいい。俺もギターが苦手ってわけじゃないけど、彼らにはかなわないからね。
――ロビン・フィンクとのワークについてですが、彼が参加した経緯は?
ロビンと俺は長年の友人なんだ。2009年にナイン・インチ・ネイルズがロンドンでショーをやった時、俺がゲストでそのショーに出たんだけど、それが本当に上手くいってね。だから、トレントが俺をロサンゼルスに招いてくれて、また同じことをやったんだ。彼らの活動休止前の最後の4回のショー全てでゲストを務めた。その時に彼らと2週間くらい一緒にいたから、ロビンや皆とより近くなったんだよ。彼の奥さんにもあったし、一緒に出掛けたりもした。去年の10月にロサンゼルスに引っ越してから、最初に連絡をとったのも彼ら。それからもっと一緒に出掛けるようになったんだ。ロビンの奥さんのビアンカは元パフォーマーなんだけど、彼女が俺の子供たちにバレエのレッスンしてくれるようになったりね。だから毎週ロビンの家に行くようになって、かなり親しくなった。そのうちロビンも俺の家にくるようになったんだけど、そこで俺が書いた新曲を聴いたりしてた。で、俺も何かプレイ出来たらクールだよねって彼が言ってきたから、4曲くらい彼に合うなと思う曲を選んで彼に渡したんだ。彼がそれを自分の家に持ち帰って一人で作業した後、また俺のところにそれを持って来て、どう思うかと聞いてきた。それが本当に素晴らしくてね。当然だけど。本当に嬉しかったよ。
で、その後エイドが一緒にアルバムを作るためにロサンゼルスに来たんだ。2人で本当に色々なことを試した。6つもアイデアが出てた曲も何曲かあったから、どのアイデアがどこにフィットするかを結構長い時間をかけて話し合って、丸一日かけて作業したんだ。彼は最高。彼が出す全てのアイデアが最高で、だからこそそれから何を選ぶかを決めるのが大変だったんだけど、彼の創造力のおかげで本当にいい作品が出来た。ロビンも同じ。彼らのおかげで、俺だけでは作れない、彼らが参加する前とは全く違う作品が出来たんだ。本当にクールだよ。
ナイン・インチ・ネイルズとゲイリー・ニューマンが共演した”Cars”
――ナイン・インチ・ネイルズが復活をしたことも含め、ここ最近インダストリアル・ミュージックが再び注目が集めているように思いますが、それについて思うところがあれば教えて下さい。
ナイン・インチ・ネイルズが戻ってきてくれて本当に嬉しいよ。俺は彼らの大ファンだからね。2009年の解散ライブは、ほろ苦い経験だった。あの瞬間の一部になれたなんて誇りに思うよ。彼らが大好きだし、世界で一番のベスト・フレンド達だし。だから解散がすごく悲しかった。復活してくれて、すごく嬉しいよ。トレントは、良い意味で皆の期待を裏切ったと思う。沢山の人が、ナイン・インチ・ネイルズはもっと怒りに満ちた、ヘビーなサウンドで復活してくると思ってたと思うんだ。でも彼は、それとは違う方向性に行った。トレントは賢いし、勇敢でもあるんだ。人の期待に反することをするっていうのは、彼らに好かれない可能性もあるということ。なのにそれをやるっていうのは勇敢だと思うし、成功して欲しいと心から願ってる。俺はトレントの音楽の大ファンだし、人としてのトレントのファンでもある。彼からは、アーティストとしても、いち人間としても感銘を受けるんだ。
彼には今年2回会ってる。何週間前にあったシカゴのフェスと、そのあとサンフランシスコでの彼らのショーに行ったんだ。俺の家内が、俺以上に彼らの大ファンでね(笑)。新しいアルバムの曲はあまり演奏してなかったけど、演奏された新曲はかなりパワフルで良かったよ。興味深くて、ライブだと更にそのパワフルさが強調されてた。トレントは決して怠けない。スタジオでもステージでも、自分がその瞬間やってることに対して常に全力投球なんだ。それが皆にも伝わって欲しい。既に上手くいってるとは思うけどね。最初の週で、確かチャート3位だったと思う。成功して欲しいね。より彼らと関わるようになったから、今はナイン・インチ・ネイルズにより強いコネクションを感じてる。今の自分と彼らに共通点があるかどうかはわからないけどね。俺の音楽はもっとヘビーでアグレッシブなものになったし、トレントはまたそれとは違う方向に進んだと思うから。だから、音楽そのもののコネクションは前よりも減ったかも。でも、彼らの大ファンだということは未だに変わらないよ。