――じゃあ、今の方があなたにとっては良い環境?

正直、俺の作業の仕方に関してはあまり変わらない。昔、俺は座ってピアノを弾いて、カセットレコーダーをセットして、それをレコーディングして曲を書いてた。それをスタジオに持って行って、シンセとかオーディオ機器とか、より大きな機材を使ってレコーディングしてたんだ。最近はそれとは少し違うだけで、部屋でピアノを弾いて、コンピューターからそのサウンドを出して、それをカセットの代わりにコンピューターに録音する。あまり変わってない。1人でピアノで作る、それをスタジオに持って行って大きな機材を使う、っていう流れは殆ど同じだよ。使う機材が違うだけで、環境はあまり変わってない。だから、どっちがどうと答えるのは難しいね。今も充分心地よいし、前も同じだった。あと違うのは、前は人と一緒にスタジオに入ってたけど、今はファイルを送って、それが俺に返ってくること。もっと遠隔になったね。あまり一緒に話さない。そこは違いだね。でもまあ、俺は今の作業の仕方を気に入っているから、今の方が良いと言えるかも。前の方がいいと思ってたら、ここまで今の作業を楽しめてはいないと思うから。逆にイヤなのは、テクノロジーのミス。コンピューターがクラッシュしたり、プラグが壊れたり。一度狂うと、めんどくさい。アイデアがうかんで、それをコンピューターに保存したいのにそれが壊れてて、2時間後にやっと修理ができたとしても、もうそのアイデアは消えてしまってたり。そういう時は本当にイライラするよ。でももし選べと言われたら、今を選ぶかな。機材が、今の方がやっぱり良いものが作れると思うし。しかも作業が早いからね。

――貴方の活動において、音楽以外にインスピレーションを受けているものがあれば教えて下さい。

何からでも受けるよ。今はよく映画にいくし、映像とかそういうビジュアル的なもの、本や記事、イベントもそうだし、テレビ、会話もそう。本当に何でもなんだ。もしその人が生まれながらにクリエイティブなら、その人はスポンジになる才能を持ってる。何でも吸い込むんだ。音楽だけじゃなくて、色々なものからね。今俺が座ってるラウンジにも、目の前に女性の絵画がる。抽象的で美しい。多分ダリだな。今既に、俺はこれを今後作る何かのために書き留めておかないと、と感じてる。こんな感じで、常にインスピレーションを受けてるんだ。新しいアルバムは、正にそれが全てつまった作品なんだ。

――最後に、日本のファンに一言お願いできるでしょうか。

未だに俺のファンでいてくれてありがとう! こんなに長い時間が経ってるのに、未だに俺の音楽に注目してくれてることに本当に感謝してるよ。早く来日したいし、日本では思ったよりもアルバムが上手くいきそうで、本当に楽しみなんだ。今ライブを計画してるから、実現できるのを心から祈ってる。できれば半年以内にね。皆に実際会って、もっと近くなれたらと思う。そうなったら最高だね。楽しみにしてるよ。

【インタビュー】ゲイリー・ニューマン、最新作からインダストリアル~ポップ・ミュージックについて語る interview131009_gary-numan_jk

(text&interview by 北爪啓之)

Release Information

2013.10.09 on sale!
Artist:Gary Numan(ゲイリー・ニューマン)
Title:Splinter(Songs From A Broken Mind)(スプリンター(ソングス・フロム・ア・ブロークン・マインド))
Cooking Vinyl/Beat Record
BRC-395
¥1,980(tax incl.)
日本盤特典: ボーナス・トラック追加収録

Track List
01. I Am Dust
02. Here In The Black
03. Everything Comes Down To This
04. The Calling
05. Splinter
06. Lost
07. Love Hurt Bleed
08. A Shadow Falls On Me
09. Where I Can Never Be
10. We’re The Unforgiven
11. Who Are You
12. My Last Day
13. The Dark In Me *Bonus Track for Japan