あなたは今年の<サマーソニック>のステージでBANKS(以下、バンクス)を目撃することは出来ただろうか? まだまだ進歩の余地は沢山あるもののその美貌と妖艶なオーラ、堂々としたステージング、そして確かな歌唱力に思わずマウンテン・ステージの前で足が止まったオーディエンスも多かったのでは?
音楽からはミステリアスでクールな美女という印象を持つ人も多いであろう彼女。しかしライブ中のMCでも感づいた人もいるかもしれないが、実際に対面した彼女は想像以上にガーリーで、とても柔らかい雰囲気の持ち主。同時に自分をどう見せるか、そう見られているかについてはすごく意識的でクリアに自分の考えを持つプロフェッショナルという側面も垣間見えた。
1年近く前に筆者は「アメリカのR&Bにおける新たなスター誕生か?」というバンクスを紹介する記事を書いたが、今回バンクスことジリアン・バンクス本人と話をすることでその予想は意外にもさほど的外れでなかったかもしれないと感じている。そして彼女の発する言葉はますます彼女のこれからを楽しみにさせてくれた。
まずは米R&B界の新たなスターとなるかもしれないこのバンクスが音楽を始めたきっかけから、デビュー・アルバム制作の背景、そして今後の展望までを丁寧かつ饒舌に語ってくれた本インタビューと共にデビュー作『Goddess』を耳にして欲しい。
Interview:BANKS
フィオナ・アップルにインスパイアされ、独学で学んだソング・ライティング
–––初めての日本だと思うけど、印象はどう?
大好きよ! でも明日にはもうバリに行かなきゃいけなくて……。もっともっと色んな所に行ってみたかったわ。でも今日は「ロボット・レストラン」に行く予定なの(笑)。
–––(笑)。ところで昨日の<サマーソニック>でのライブはどうだった? 初めは少し緊張してたよね。
素晴らしかった!! そうね(笑)、少し緊張したわ。でも結果的には凄くいい感じで楽しむことができたと思う!
–––なるほど、もうかなり長い間ツアーを続けているよね? ツアー中には色んな素晴らしい体験があったと思うんだけど、一番のハイライト、印象的だった瞬間を教えてくれる?
もう1年以上経つかしら……。そうね、ハイライトはたくさんあるわ。ロンドンでのザ・ウィークエンドとのツアーも素晴らしい体験だったし。あとは、ポーランドでのライブでステージの階段を降りていって、オーディエンスに触れ合いながら“Goddess”を歌ったのは信じられない体験だった! それに2日前の<サマーソニック>大阪もあんなに暑い雨の中でライブしたのは初めてだったから印象的だった(笑)。
BANKS – “Goddess”(Lyric Video)
–––へ~、それは面白い!さて、ではまず最初に君のバックグラウンドについて聞かせてくれるかな。君はLA近くの街で生まれ育って、ローリン・ヒルやフィオナ・アップルの影響を強く受けたというけど、彼女たちの何が君にとってそんなに特別だったの?
特にフィオナについては“Fearless(怖いもの知らず)”なところ。とっても力強くて、正直な音楽だから。彼女の音楽はとても自由で、作られるべくして作られたというのを凄く感じる。それが一番の理由。
–––そういう風に感じたのは君の個人的な体験と何か関係があるのかな?
そうね。私が初めて曲を書いたときにもフィオナは大きなインスピレーションだったの。私はその頃、自分の思いを「音楽の中で存分に表現していいんだ」って感じるというか、自分に自信を持つ必要があったし、彼女の音楽を聴くとそれを後押ししてくれるように感じたの。
Fiona Apple – “Hot Knife”(Official Music Video)
–––なるほど。君は音楽の作り方や楽器の演奏に関して第三者からのレッスンなどは受けていないと聞いたんだけど、それには何か理由とか背景があったの?
ただそうしたくなかっただけなんだけど……。音楽を作ることは私にとってはパーソナルなことだったし、自分で忍耐強く学習することも出来たし。私にとって音楽と向き合うことはとても重要で、そのプロセスを誰ともシェアしたくなかったというのが大きいわ。
–––DTMソフトとかでレコーディングとかも自分で学んだのかな?
(笑いながら)ノ~~! 古~いテープレコーダーを使ってただけ(笑)。お父さんが持ってたものを使い方を教えてもらったのよ!