バンクスが語る理想的なゴール、そして今後の展望

–––じゃあ、時間もないので最後に君の「ゴール」について話をしたいんだけど。まず近い将来、君がためしたいサウンドとかソング・ライティングのアプローチって何かあったりする?

(もったいぶった感じで)私が一緒にやってみたいのは……、ミッシー・エリオット!! あとは……、ファレル(・ウィリアムズ)ともやってみたい! それと~……(凄く嬉しそうにじっくり考える)、・・・ブランディー!

Brandy – “Wildest Dreams”

–––うわぁ~、それは面白そう!! 個人的には“You should know where I’m coming from”とか“Someone New”、“Under the Table”みたいなアコースティックで生っぽい質感のプロダクションも君の声やソング・ライティングを引き立たせると思うんだけど……。

面白いわ! だってそれは正にこれまで私がこの10年やってきたことなんだから! でもね、誰も聴いてくれなかったのよ!!(笑)分かるでしょ(笑)?! 歌とピアノだけのシンプルなアプローチでやってきたのに(笑)!

–––そういうことね(笑)、ちょうど昨日のライブで演ったみたいにだよね?

そう! “You should know~”とか“Someone New”って、正にあなたが言う通り私そのものっていうか、私が音楽を学んでいった軌跡みたいなものだから。そういうスタイルも大好きだし、私にとって一番自然なものであることは確か。

BANKS – “You Should Know Where I’m Coming From”

–––君にとって理想的なアーティストとしてのキャリアを歩んでいると思えるロールモデルっていたりするのかな?

勿論、フィオナ・アップル! あとは……、そうね、すごく挙げるのが難しいけどこれまで名前を挙げた人たちは皆そう! ミッシー・エリオットもファレルもだし、ブランディーも。「自分に正直な」アーティストはみんな素晴らしいと思うし。一緒に仕事をしたことがある人達、例えばリル・シルヴァだって本当に素晴らしいんだから!

–––フィオナはやっぱり君にとって本当に重要なんだね。

ええ。私が色んなアーティストに影響されるときって、サウンド面でインスパイアされるというよりは、その音楽が意味することに影響されるの。さっきも言ったけど「怖いもの知らず(fearless)」、「言い訳がましくない(unapologetic)」であること。それが正にフィオナなの。彼女のこの間のアルバムなんて、「ファック! 本当にやりたいことを全てやってやったわ!!」っていう感じでしょ(笑)!? それが正に私が彼女を愛してる理由。特定の曲とかアルバムじゃなくて、彼女の存在自体に惹かれているのよ。

BANKS – “WAITING GAME”(OFFICIAL VIDEO)

・・・

インタビューを通して感じたのは、バンクスはここ数年のトレンドでもある新しいR&Bの潮流を「作った側」ではなく、素晴らしいコラボレーターたちとの幸福な出会いを背景に最高のタイミングでその流れに「乗った(乗れた)側」であるということだ。と同時に彼女は自分が何を表現したくて、今後どんな方向に進みたいのかについて極めてクリアでもある。ミッシー・エリオット、ファレル・ウィリアムス、ブランディーまで一緒に仕事をしたいアーティストとして挙げた名前からも推測できるのは彼女が今後、よりアメリカのR&Bの本流に接近していく可能性があるということだ。そこは女帝リアーナら素晴らしいアーティスト達が君臨する場所でもある。

【インタビュー】美女ながら素顔は意外とガーリー。米R&B界の新星バンクスにインタビュー interview140912_banks_2-e1410495875844

バンクスが仮にこのフィールドで居場所を見つけるには、さらにサウンドそのもの、そして表現者としての強度を高められるかがポイントになるだろう。後者については問題ないと思うが、前者はソング・ライティングよりもサウンド・プロダクションがモノを言う米国ゆえ極めて重要だ。本人にプロダクションの知識や技術に強みがあるわけではない故、今後もいかにコラボレーターとの幸せな出会いがあるかは肝となる。

デビュー作で正に今最もエッジーで勢いのあるトラック・メーカー達、そしてティム・アンダーソンやジャスティン・パーカーのような手練の裏方ソングライターたちの協力を集められたことが彼女を今居る場所に連れてきたように、今後もその人選や出会い、そしてコラボレートから触発される彼女自身の成長が今後のバンクスの在り方を決めるに違いない。ただ間違いなく言えることは、彼女の未来は明るく、これからのアメリカのR&B周辺をエキサイティングにしてくれるということだ。今、バンクスから目を離すべきじゃない。

(text&interview by Keigo SADAKANE)

Release Information

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