遂に3月20日(水)に発売されたDE DE MOUSE初のプロデュース作にして異色の生演奏ミックスCD『vol.1』はDE DE MOUSEの音楽の根源となる楽曲群がインストヒップホップジャズバンド”RF”によって生演奏、再構築されるというユニット、“The Selection of DE DE MOUSE Favorites performed by 六弦倶楽部 with Farah a.k.a. RF”初のCD化作品である。
そんな今作にはプレフューズ73、スクエアプッシャー、ジェフ・ミルズ、そしてYMOに久石譲まで珠玉の楽曲10曲がRFの手によって生演奏されており、まさにDE DE MOUSEのクリエイティヴィティとRFの卓越したプレイヤビリティーが見事なコラージュを展開した傑作となっている。発売されるやいなやDE DE MOUSEファンやRFファンのみならず、多くのミュージックラバーズから絶賛されている本作でRFはこれまでの作品とはまた違った一面を開花させたのである。
そこで今回はこの仕掛け人でもあるDE DE MOUSEに各楽曲の選曲理由と聴き所を解説していただきました。音楽史における名曲群を振り返りつつ、改めて生まれ変わった魔法の10曲を堪能してください!
教えてDE DE先生!六弦倶楽部 with Farah a.k.a. RF『vol.1』全曲解説!!
photo by Tsuneo Koga
01. プレフューズ73 – “Radio Attack”
2001年『Vocal Studies And Uprock Narratives』収録
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一言解説:
ぼくらは、プレフューズ73の登場をやたらこねくり回して、難しく解釈をしていた世代です。そんな、わかりやすいものすら難しく考えるアンチから、DE DE MOUSEというプロジェクトを始めたのですが…。サンプリングで成立する絶妙な不協和音を音符に置き換える作業が結構大変でした。当初はRFの三人のみで構築させるつもりでしたが、デモを作っていたら楽しくて、つい電子音やスクラッチなど入れてしまいました。脱力トークも原曲のサンプリングを踏襲している…つもりです。
02. YMO – “Tong Poo”
1978年『イエロー・マジック・オーケストラ』収録
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一言解説:
東風は、1979年のグリークシアターでのバージョンの渡辺香津美さんのギターソロが好きで、是非ガットギターで再現してくれとギターの成川さんに無茶振りをして困らせていました。リハーサルで三人が初めてこの曲を合わせた時に、「このアルバムはいけるかも」と思わせるくらい初めから完璧でした。アレンジに関してはほぼRFの三人によるものです。
03. ダフト・パンク – “Revolution 909”
1997年『Homework』収録
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一言解説:
このアルバムは、RFはもっとプリミティブな…体が反応するビートを演奏すると面白いのでは、という想いから始めました。そんな構想を体現している曲です。ただのダンスビートでもつまらないので、1969年のウッドストックでのサンタナのマイケル・シュリーヴのような早いタム回しでフレーズを作って欲しい、とドラムの鈴木さんにお願いしました。この曲をフェスで演奏しているミドルエイジなんて、カッコいいと思いませんか?
04. ジェフ・ミルズ – “The Bells”
2012年『Sequence -A Retrospective Of Axis Records (2cd Japan Edition) 』収録
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一言解説:
“30才オーバーのダンスミュージック世代の邂逅によるカバー集”がテーマのこのアルバム、ジェフミルズのハードミニマルを、無理やりバンドでカバーさせたくて持ちかけた企画でした。ギターで弾くとトワイライトゾーンのような不安な気持ちになる、緊張感のある高揚とギターとベースのリフの掛け合いと暴れるハイハットは是非、ライブで体験して欲しいです。
05. TM NETWORK – “RAINBOW RAINBOW”
1984年『RAINBOW RAINBOW』収録
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一言解説:
同世代の隠れTMフォロアー(FANKS)が結構いる事が分かり、自分の音楽を始めた原体験である事に変わりはないので、堂々としようではないかと言う事で一番繰り返し聴いたであろう曲を。元々ジェリービーンのリミックスバージョンのカバーがしたかったのだけれども、どうもうまくいかず、四苦八苦した挙句マーチ風がしっくりきました。間奏のベースソロの世界観が大好きなので、ほぼ原曲のフレーズを再現してくれ、とベースの板谷さんにお願いしました。サビの部分がボサノバ風ブレイクになったのもまた一興かと。
06. リチャード・ロジャース – “My Favorite Things”
1960年 John Coltrane『My Favorite Things』収録
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一言解説:
成川さんのギター一本での演奏曲が欲しくて、サイモン&ガーファンクルの唄なしのイメージで弾いて欲しい、と伝えて演奏してもらいました。後半に取って付けたように展開する、コルトレーンによるカバーを更にカバーするという、捻くれたパートもベースの板谷さんやドラムの鈴木さんはお手の物。DJ感覚で二曲繋げたイメージで組み立てました。
07. 久石譲 – “人生のメリーゴーランド”
2004年 映画『ハウルの動く城 オリジナル・サウンドトラック』収録
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一言解説:
どうせならジブリの曲を一曲、と思い大好きな“人生のメリーゴーランド”が彼らにはぴったりだろうなと思い弾いてもらったら案の定ぴったりでした。板谷さんによる、ウッドベースのソロが響きます。
08. スクエアプッシャー – “Squarepusher Theme”
1995年『feed me weird things』収録
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一言解説:
去年の自分のイベント<not>に企画ものとして、RFにぼくの好きな曲を演奏してもらいました。その中で一番反応があったのがこの曲で、完成度も高く、アレンジもその時のまま何も口出ししていません。ギターのカッティングとドラムのシンバルに昂ります。
09. DE DE MOUSE – “Floats&Falls”
2012年『sky was dark』収録
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一言解説:
折角だから自分の曲もやってもらおうと思い、選びました。きらびやかな電子音を削いでいくと何が現れるだろうと期待していたら、やっぱり自分の作った音は自分の作った音でしかなかったのだなと思い知らされた一曲でした。
10. 久石譲- “人生のメリーゴーランド”DE DE MOUSE winter&bloom mix※bonus track
一言解説:
締め切りの関係で、録音した次の日に作ったリミックスですが、個人的には一番のお気に入りです。三人の演奏を聴いて、頭の中で聞こえて来た音で装飾した感じです。ぼくの中では、このリミックスを持って人生のメリーゴーランドのカバーは完成したと思っています。しかし、これはあくまでperformed六弦倶楽部のカバーであり、DE DE MOUSEとしてのカバーではないと思って聴いてもらえればと。ちなみに、リミックス名は“枯れ木に花を咲かせましょ”ってイメージで作ったという意味です。
ダフト・パンク – “Revolution 909”(RAPUNZEL8083 remix)※OTOTOY限定
一言解説:
ふとインターネットで見つけたRAPUNZEL、彼と会えたのはCDも出来上がってしまった後。しかし、彼の音楽に対する熱い気持ちを見て、配信限定になるが是非やって欲しいと頼み、やってもらいました。これから彼の音が少しずつ浸透していけば良いなと思っています。
エイフェックス・ツイン ‐ “Flim”(※CD購入者限定!特典楽曲)
1997年『Come to Daddy EP』収録
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一言解説:
特典用CDとしてエイフェックス・ツインの中で1、2を争う人気曲を完コピさせようと気楽に望んだのですが…完コピしてもフレーズがつまらなかったのでコード進行の変更や、ベースのシンコペーション、ギターのトレモロ等至る所で手を加えてしまいました。スタジオに入って、スタジオにあるピアノでアレンジを考えながら、その場でジャッジしていく感じがスピーディで、なかなか自分に向いているのかもなんて思ってやっていました。RFはエンジニアもメンバーという珍しいバンドですが、エンジニアの澤田さんの録音したドラムの音が、非常に自分好みの音で良いグルーヴ感を出しています。音色はグルーヴと密接ですね。
★次ページでは<not vol.0>のライヴ写真と共にRFの魅力に迫る!