古川本舗をミュージック・ビデオから紐解く。デビュー当時〜岩井俊二監督のMVまで徹底解説

“スカート”

2013年9月4日発売の、1,000枚限定HMV限定シングル『SKIRT』〈SPACE SHOWER MUSIC〉に収録された、シューゲイザー風なオルタナティブ・ロック・バラードなMV。ボーカルには、21歳の新人アーティスト”キクチリョウタ”を迎え、アーティスティックなイラストで紡がれるアニメーション作品に仕上がっている。ステーキ、鳥頭女、潜水服、ヘルメットといった、浮かび上がるキーワード。顔が見えない、表情がわからないという共通点。胸にぽっかりと空いた穴。重なるお皿という円形なつながり。色彩とメロディによる郷愁感とともに、たゆたうようにゆらりと展開されていくしっとりとした大人の物語は、出来ることならば円熟したウイスキーといっしょに楽しみたい。観る者にそれぞれの解釈を与えてくれる深みのある映像世界がたまらないのだ。

“HOME”

2013年11月6日発売の3rdアルバム『SOUP』〈SPACE SHOWER MUSIC〉に収録された、せつないピアノ・バラードなMV。現在、岩井俊二とのコラボレーションが話題となっている。ネット時代、百聞は一見に如かず、まずは凸凹な仮面をかぶる少年少女が、夜の学校で蛍とともに戯れるファンタスティックなヴィジュアル世界を堪能すべき。子供たちが何故、凸凹な仮面をかぶっているのか？ 夜の学校で戯れている理由は？ 蛍が飛び交うワケとは？ 感度の高いビデオカメラにて撮影された、暗闇に浮かぶ制服姿の少女の動向。ボールを投げ合うシーンに込められたコミュニケーションの有り様。雨の中、ひとつの傘を一緒にさすインスピレーション。様々な映像モチーフから妄想される時代性。花火＝自由を感じさせる映像表現。そして、一瞬ちらっと“顔”を覗かせるカタルシス。まさに、岩井ワールド全開な古川本舗作品の誕生だ。3枚目となる最新アルバム『SOUP』への期待も高まるばかり。引き続き古川本舗に注目していきたい。

text by ふくりゅう（音楽コンシェルジュ）

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