古賀のあずかり知らないところでも水中ニーソの話題は生まれ、そして加速しはじめる。一冊目、二冊目と話題になった水中ニーソは、続編にファンの期待が高まっていた。三冊目として『水中ニーソキューブ』(2015年)がスタートする。

「三冊目では、二冊目で本来の水中ニーソからずれた分を軌道修正して、水中ニーソの基本に戻すところは戻すと。あと、水中ニーソが好きという女の子や女性のアーティスト、女性クリエイター、モデルの女の子たちと話をしながら、表現している女の子達はナニを考えているのかとかを考えて、作品にフィードバックして作ったんです。」

水中ニーソはネットでバズっていた。そのバズを分析してみると、オタクの男が騒いでいるのではなく、女性ファンが多いことがわかった。だから女の子たちに耳を傾けた。

「僕はニッチにすればするほどターゲットって広がると思っていて、ターゲットをすごくシュリンクして、僕個人が楽しいものだけ撮ることにしたんです。僕以外の2人目以降は何が楽しいのかわからなくてもいい。それくらい先鋭化させた方が、ターゲットが僕以外全員になりえると考えたんです」

自分が楽しいと思えないものが他の人に楽しいと思ってもらえるわけがない。古賀の作品作りは人を楽しませることを重要視している。一部のマニアに向けたものや、難解な作品を作るのではなく、人と話しながら人の意見をどんどん取り入れてより良いものにしようとする。それを自分の頭の中で膨らませていく。

「一冊目、二冊目は写真集ということを意識しすぎて静止している写真を見せようとしていた。じゃなくて、もとはよくよく考えたら僕は映像の人でデザインの人。だから『水中ニーソキューブ』はシークエンスで、連続して見て行くイメージ。映像のように撮影してやマンガのコマ割りみたいにレイアウトしました。そして、本を作って見せるというエディトリアルデザインにおいても経験値があるので、大きな写真が連続するより、小さく小さく見せて要所でドンと大きく見せるほうがより大きく見えるとか、そういう実験をしています。」

そこには古賀の過去の仕事のノウハウが総て注がれているのだという。

水中ニーソ作者にインタビュー。女性を可愛く魅せるために DSC_0495

「水中ニーソのことを『発想がすごい』と言っていただくことがあるんですが、発想は経験と技術の蓄積からしか発想できないはずなんです。僕は沢山の仕事で場数を踏んできた。その集大成として『水中ニーソキューブ』があると思っています。たとえば水中撮影も、それこそ10年前からやってきた。グラビアアイドルのDVDを撮っていた頃から水中で女の子をどうやれば可愛く見えるか? ということだけを掘り下げてきました。可愛く見せる技術だけを特化して進化させてきたからこそ今、撮れている作品があるんです。先にアイディアありきでこう撮りたいと思っても撮れない作品ばっかりだと思うんですよ。」

『水中ニーソキューブ』は現時点の古賀学の最高峰だといえる。しかし、古賀の進化は続く。今後は水中ニーソに適した競泳水着のデザインも手掛けてみたいと考えているという。もちろん、四冊目、五冊目と続く。古賀学の熱い夏は終わることはないようだ。

水中ニーソ作者にインタビュー。女性を可愛く魅せるために DSC_0513

RELEASE INFORMATION

[amazonjs asin=”B014WI6BLW” locale=”JP” title=”水中ニーソキューブ”]

古賀学によるプロジェクト「スプライト」通販サイトオフィシャルサイトTwitter