2013年よりスタートさせたショールームでは、Rika以外にも今秋よりパリのメンズブランドの他、数ブランドの取扱いがスタートするという。話題のブランドやアーティストを次から次へと発掘し、国内展開へと導くというかなり順風満帆に見えるのだが、ここまで来るには様々な葛藤があったという。
「20代は“僕たちこんなことやってます。”ってアピールするつもりもなかったんです。というより正直出来なかった。僕たちが好きな事を小さいマーケットでしか紹介出来なくて、業界的にも全然ビジネス対象になってなかったと思います。もうやめようと思ったこともありますよ。全然マネタイズ出来ないから、これじゃあ、SUKIMA PROJECTじゃなく“自腹プロジェクト”じゃんって(笑)。だけど、30代になって、やっと真剣にビジネスのとしての結果を出そうと思ったんですよね。色んなきっかけがあって、Rikaを東京でオーガナイズすることになって、東京にショールームを作って、アカウントも増やしていってって、1年半ぐらいかけてようやく見えてきた気がしますね。やっぱり数字がついてくるといろんな場面で意見も通りやすくなるし、ビジネスとして受け入れてもらいやすくなる。周りも僕らがやってることがおもしろいって言いやすくなったと思うし、そこからまた新たなビジネスが生まれてくる。でも、好きなものは根本的に変わってないから、そこはブレずにやっていきたいですね。ショールームに関してもガッツリやるつもりはないです。海外へ行く頻度もさらに増えますが、その時代に合い、ファッションのど真ん中のラインに徐々にでも評価されるアップカミングなブランドを見つけたいですね。
良いと思わないブランドをお金のためだけにやるのは違うと思っているし、他の人が出来ることを僕らがやる必要はないですから。」
物心ついた時から身近にファッションがあり、カルチャーを知っている人たちの中にいたという。環境は人を構築させていくと言うが、彼の“本物”への探究心はこの時の強烈な出会いからなのかもしれない。
「今までに色んな経験をさせてもらいながら失敗だらけの20代でしたが、その中でも、知人の仕事のサポートで入った撮影でカール・ラガーフェルドに会ったんです。2004年でしたね。Interview Magazineという雑誌でカールが東京のクリエイターを撮るという企画で、僕はその時スタイリストのアシスタントチームの1員として現場に入っていたんですけど、世界でも指折りなトップチームの仕事を目の前で見ることが出来て、現場を経験させてもらうことが出来た。
10年前はアシスタントだったけど、次はどんな立場かは分からないけど、自分の仕事として同じ現場に立ちたいと思ってます。カールは変わらずトップに居続けるわけだから、そこに自分が近づいていって、近い将来一緒に仕事が出来たらいいな。なんて夢見てます。」
その撮影後、NYへ行った平澤氏はブックストアに並ぶInterview Magazineを発見した。今でもそれは彼の手元と記憶に大切に保管されている。
次回の“裏方さん”第二弾は、TRANSIT Crewイベントプロデューサーの坂井新一郎氏にスポットを当てています。お楽しみ!
all photo by Yosuke Demukai