BAYFLOWのレセプション翌日、ショップのロゴが刻まれたボックスを付けた自転車が表参道界隈をラウンドするプロモーションが行われた。店舗というのはずっと続いていくもので、顧客を得ていかなければならない。“オープニングパーティーに沢山の人が来て良かった。ハイ、終わり”ではない。ディレクションする以上はその先を考えたコンテンツまで提供する。アーティストをブッキングするにも音楽を知っていないと場違いなものになってしまう。坂井氏は多ジャンルに渡る音楽マニアであり、ヴァイナルコレクターであり、DJでもある。取材時にもお気に入りのキャップとTシャツで登場した。オーバーグラウンドでありアンダーグラウンドであり、物事を知っていると知っていないとではその時点で大きく差がついてくる。パーティー中のDJなんて、もしかしたら誰も気にしていないのかもしれない。それでも、音を含めた空間全てを完璧に作りあげるのがプロフェッショナルの仕事と言えるのだろう。

BAYFLOW

「子供の頃に両親から“人と一緒じゃつまらない”と言われたことがあって、それがずっと頭にあったんですよね。だから人一倍好奇心はあった。小学生からやっていたサッカーではゴールキーパーをやっていたんですが、サッカーってチームワークが大切なスポーツじゃないですか。でもキーパーだけは基本個人プレイですよね。ユニフォームも1人だけ違うし、みんなと同じ色に染まらないそうゆう部分にすごく魅力を感じてたんだと思います。あと、試合中は他のポジションと違って敵の前に攻め出ることはないから、それっていわば“裏方”だよなあと。僕の裏方人生はそこからスタートしたのかもしれないです(笑)。

高校生の頃「ファッション通信」を見ていて、ファッションショーってどうやって作られるのかなあってぼんやりした興味はあったんです。古着屋でバイトをしていたし、洋服にも興味がありましたから。でもデザインではなく、舞台美術とかステージを作る方に興味があったんですよね。それで、専門学校でディスプレイデザインを学んで、美術制作の会社に入ったんですけど、もうその時代はめちゃくちゃでした(笑)思い出したくありません。その後、ストリートブランドのX-Largeで働きだして、販促でイベント協賛の仕事を担当しながら協賛側ではなく、制作側をやりたいって思うようになって。そこからフラッと、JFWとかを請負っているイベント制作会社に入ることが出来て。資料作成からプレゼンの仕方から見積りの出し方から全部そこで学びました。そこまで行くのに、クラブで働いたり、放浪の旅に出たりと、かなり回り道をしてきましたけどね(笑)。」