人は誰でも人生の“ルーツ”を持っているものだと思う。いつどこで何をきっかけにその人のルーツになっていくのかは分からない。けれど、良くも悪くもそれまでの価値観が一変するような出来事は人生の中には必ずあって、大小に限らずそこから人は成長していくのだと思う。毎日同じ時間にタイムカードを押し、与えられた仕事を決められた時間内でこなすだけの日々から何かが生まれてくることはないだろうし、夢を持つこともないのだろう。

「とにかく人との出会いにすごく恵まれてますね。前の会社でも今の会社でも自分の人生においてとても大事な出会いがありましたし、一人では出来ない仕事なので協力してくれる周りのスタッフにもとても恵まれていると思ってます。それに、なぜか分からないけど、今まで会いたいと思ってた人とは仕事で会えてしまうんですよね。スケートボードが昔から好きで、憧れのLAのライダーにもX-large時代に会えたし、クロエ・セヴィニーとも今の仕事で会いました。思い出したくない美術制作会社時代にもそうゆう偶然がありましたからね。なんでしょう? 自分が興味あるベクトルに必死で向かっているうちに自分の夢も叶ってしまったという感じでしょうか? だから、今は自分の想像できないおもしろいことを見てみたいと思っています。音楽でもアートでもファッションでも自分は良いと思っているけど、まだ世に出ていないものや人を表の世界に出したい。僕が良いと言うものを周りも同じように共感出来る説得力のある人間になりたいですね。それに、もっともっとキャパシティーを広く持って、“この人に頼んだらどうにかしてくれる”って存在になりたい。」

【第2弾】ファッション業界に潜む影の立役者たちを追うシリーズ。 column150508_km_05

30代前半とは、若さとキャリアの狭間にある。これからも上にも下にも横にもアンテナを張りながら、ファッションという独特で可能性に充ちた世界にいろんな足跡を残していくだろう。また何も語らず黙々と。

最後に、今回取材に協力してくれた平澤氏と坂井氏をはじめ、すべての“裏方さん”へ心からありがとうと言いたい。彼らとの出会いはファッション人生のepicなのだから。