ノイケルンはヴィンテージショップの数が多く、クオリティーも高い。レディースの品揃えが豊富で、セカンドハンド、ヨーロッパヴィンテージを中心に、各ショップのバイヤーのセンスが伺える。ベルリンにはヴィンテージショップが多数存在するが、埃まみれの商品に、接客する気がまるでないショップとかもあって、ピンキリである。その点、ノイケルンのショップは活気があり、商品が動いているのが分かった。店内にカフェが隣接しているところが多いので、ブレイクタイムに立ち寄るのもおすすめ。
レコードショップと隣のフロアーがセレクトとヴィンテージを取り扱うおもしろいコンセプトのショップ“Bass Cadet records”。洋服はどれも手頃な値段で、1点物も多い。華奢でシンプルなモチーフがかわいいオリジナルアクセサリーや日本でも人気のドイツ発エココスメSTOP THE WATER WHILE USING ME!も取扱っており、こだわりというより、自分の欲しいものを全部集めたらこうなったといったところ。センスの良い友人宅に遊びに来た感覚で楽しめるのが良い。
コーヒーを飲みながら、各国のオシャレな本が読めるブックストア。この日、DJブースを設置していたショップはかなり多かったが、本屋にも当然のように設置されており、スタッフも個性豊か。さすがはベルリンといった感じ。
もともと移民エリアだったノイケルンは、格安のアパートメントにトルコ人家族が大人数で住み、“リトル・イスタンブール”と呼ばれるほど異国情緒溢れる飲食店がひしめき合い、オシャレとは無縁で治安も良いとは言えなかった。人気のミッテやクロイツベルグの物価が急激に上がり出したことから、ノイケルンに若者が移り住み、アップカミングとして注目され出したのだ。
“HipでSnob”な人たちが集まれば、街も同じように変化してゆく。ツーリストを疎ましく思う人や店も多いベルリンにおいて、ノイケルンはまた違う受け皿となっているのかもしれない。いつの時代もおもしろいものを発信しているのは必ずしもローカルだけではない。それは、東京を見ればよく分かることである。