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ドイツ、ベルリンで通称アーティストビザことフリーランスビザ(滞在許可証/Aufenthaltserlaubnis)の更新を申請する実際の過程をご紹介。必要書類、揃えておいたほうがいい書類、通訳・言葉の問題。コンサルタント、弁護士に相談し、予約(アポイント)を取って面接に望む様子をレポート。ヨーロッパで日本人が住むという大変さの一端を垣間見ることができる実録記。

わずかな収入であってもアーティストとしての活動が認められれば容易にビザ(長期滞在許可証)が取れていた数年前とは違い、現在はここベルリンにおいてもかなり厳しく審査されるようになった。

都市開発によって便利な“都会”となったベルリンは今、外国人移住者の新たなビジネスチャンスの場となっており、きっちり稼いで税金を納め、お金を使ってくれる外国人が優遇されるようになっている。

ますます人気となるベルリンにおいて私たち在留邦人が生き残ってゆくには厳しい時代がやってきた。そんな中、自分は先日ビザ更新のための面接を行い無事に2年の延長が認められた。

たった一言で終わるこの事柄の背景には苦悩と苦労と到底理解不能な不思議なカラクリが存在するのだ。今回はこれからベルリンへ移住したいと思う人たちへ、そして、自分と同じように苦労の末、ビザを勝ち取った同志たちへ、ビザ延長の取得に至るまでの実録を公開したい。

【実録!!】ドイツの首都ベルリンでビザ延長が認められるまでの長い道のり

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最初に、誤解のないように下線付きで伝えておきたいが、これはあくまでも私個人の経験をもとにした実録である。全ての人に当てはまるわけではないので参考程度に読んで欲しい。

Qeticの読者や他の記事を読んでくれている人は知ってくれていると思うが、私のプロフィールを簡単に説明したい。

プロフィール
ベルリン在住歴:3年5ヶ月(2014年6月~2017年11月現在)
仕事:フリーランスライター、コラムニストとして、日本の雑誌やウェブマガジン、新聞などで連載を持ちベルリンを中心としたヨーロッパ諸国の現地情報を記事にして伝えている。
ビザの種類:フリーランスビザ(通称アーティストビザ)※以下、分かりやすくアーティストビザと表記
(ここで言う”ビザ”というのは正式には”滞在許可証/Aufenthaltserlaubnis”のことなので誤解のないように。)
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パスポートに貼付されるビザのイメージ写真(Photo:Bundesministerium des Innern)

これまでの経緯:観光ビザで滞在出来る3ヶ月を有意義に活用しながら、コンサルタントに依頼して2年のアーティストビザを取得、昨年1回目の更新を自力で行い1年の延長が認められ、今年2回目の更新で2年の延長が認められた。

今回提出した書類は下記の通り。

ビザ申請提出書類
■パスポート(有効期限のあるもの)
■証明写真(パスポート用と同じ)←以前と同じ写真を流用されて不要だった。これも意味不明。
■住民登録証
■賃貸契約書
■同居人としての間借り証明書(Untermietvertrag)
(※家賃を支払っている証明として銀行明細も付ける)

■健康保険(”KÜNSTLERSOZIALKASSE”通称KSK)
(※申請した時から遡って年金を支払わないといけないためその支払い証明も付ける)
■収入証明(税理士のサイン入り)
■2016年の確定申告
(※納税の支払い証明として銀行明細を付ける)

■インボイス(請求書)
(収入証明時に提出したものの一部を日本語から英語、もしくはドイツ語に直したもの)
■インカム(入金明細)
(※日本の口座は入金された日にマーカーで印を付け、英語で説明書き)
■ドイツの銀行口座の残高
■クライアントとの契約書(英語、ドイツ語)
(※ベルリン在住の人物、会社からの推薦状+ビジネスプランも追加)

■最新の請求書(収入証明には入っていない新しいもの、今後入金予定となるもの)

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面接のアポイント取得後に送られてくる正式な必要書類

羅列したのを見ただけで“うわっ!!”っと思ってしまうほど憂鬱極まりないラインナップであるが、面接官に一つ一つ見せなさいと言われた紛れもない書類たちである。

ちなみに、上記はビザ申請機関である外人局Ausländerbehördeの公式HPに記載のないものも多数ある上にビザの種類によっても異なる。

特に(※)内は自分で必要と判断したもの、前回の面接時に言われたものである。記載されてないものまで必要ってもうその時点で意味が分からないが、これこそがベルリンのビザトラップなのだ。

もちろん最低限の必要書類が用意出来てなければ門前払いとなるが、その他は面接官のさじ加減という何とも信じ難いシステムとなっている。面接官の気分によって私たちの大事な人生を左右させられてしまうといっても過言でなく、どんな人に当たるかの“運”に掛かっている。

ちなみに、今回の面接官はキャリアな雰囲気の女性で英語では話してもらえず、友人の通訳に助けてもらいながら収入証明から言われた順番に一つずつ完璧に書類を見せ、一つも質問されずに10分で終了。

その後、50分ほど待たされることとなり、その時間が一番生きた心地がしなかったが、提出した書類の量が多かったのと緊張して余計な書類まで全部出してしまい、全てのチェックと保存用のスキャンに時間が掛かったと推測。

“書類は全部ドイツ語で作成しなさい。”面接官に言われたのはたったこれだけである。あとは事務的なことのみ。前回と大違い!!

ビザの有効期限が切れる3ヶ月前に面接日のアポイントを取り、準備開始。1ヶ月前ぐらいから不安を打ち消すかのように毎日お酒を酔っ払うまで飲み、足りない何かを埋めるようにスナック菓子を貪るように食べていた。当然ながら太るし、浮腫みが取れなくなる。ストレスと鬱の間を行ったり来たりという身体にも精神的にも本当に良くない状態がずっと続いた。“何でそこまでなるの??”と思う人もいるだろう。その経緯を説明したい。

【実録!!】ドイツの首都ベルリンでビザ延長が認められるまでの長い道のり km-post64_berlin-image2-700x525

芸術家社会保障「KÜNSTLERSOZIALKASSE」加入への道のり

まず、アーティストビザの場合、保険料と年金の一部を負担してくれる芸術家社会保障“KÜNSTLERSOZIALKASSE”(以下、KSK)に加入出来る資格があり、ビザ更新時にも有利になる。私はアーティストではないが、音楽やアートに関して記事を書いているためアーティストビザが認められており、KSKにも加入出来る権利を持っているのだ。

そして、そのKSKの申請をドイツ人コンサルタントに依頼したが1年以上経っても進展があるどころか書類の再提出ばかりやらされ、全く取れる気配がしない。何度も同じことをやらされ辟易していたため、担当を変えたいと何度も訴えるが聞き入れてもらえない。最後には弁護士を立てて訴えてやる! までの言い争いになり、コンサルタントとしてあり得ない暴言を吐かれて心が折れたもののようやく終結。

そこから別の日本人のコンサルタントにお願いし、丁寧で正しい指示のもと周りの協力を得ながら必要書類を用意し、数回のやりとりだけで無事に加入することが出来た。一体あの1年は何だったのだろうか?? ただの無駄である。

昨年のビザ更新での失敗

続いて、去年のビザ更新時に大きな失敗をしている。確定申告や収入証明における必要な金額、その他の書類の重要性を全く分かっておらず、専門家にも依頼せず、付き添いの友人は来ず、1人で乗り込み頭が真っ白になりながら面接をし、1年の延長が認められたのだが、“次の更新の面接時に書類が全て揃えてなかったら日本へ帰れ!!”と厳しく言われ、悔しさと自分の不甲斐なさにリアルに泣いた。

よくよく考えたら収入は足りない、書類も足りない、何も分かっていない状態で1年取れただけでもラッキーである。本当であれば去年の時点で日本へ帰らされていてもおかしくなかったと分かった時には震えが止まらなかった。

さらに、相談をしたコンサルタントから日本からの収入では認められない可能性があると言われ、前回にはなかった不安要素が追加された。日本の媒体にベルリンの情報を伝えるために現地に住んでるのにそれが認められないなんて理不尽過ぎる!! と思い、ベルリンにいたい思いや理由を手紙に託して面接時に握りしめて持って行ったが、全く出番がないまま終了。

上記のような理由から憂鬱な日々が続いたわけだが、前回の失敗と厳しいながらも的確な指示をくれた面接官と友人たちの温かいアドバイスと協力により、完璧な書類を揃えれることができ、無事に終えることができた。もちろん高い費用を払って弁護士やコンサルタントなどの専門家に頼めばもっと楽になるかもしれない。

しかし、保険、年金、確定申告、収入証明、納税、ビザの更新、通訳などなど当然ながら全てにお金が掛かり、トータルにしたらかなりの金額になる。それでも他国より安く、ビザが取りやすいと言われている。確かにそうかもしれないが、まずはベルリンという街で“何をしたいか”それが一番大事なことだと思う。

需要なのはベルリンという街で“何をしたいか”

クラブで遊びたいだけからワーキングホリデーを利用して半年なり、1年なり存分に遊べばいい。ただし、家を見つけるのが大変になっており、バイトをするにしても銀行口座が必要となり、それには住民登録が必要である。

どうにか1年暮らせたとして、その後残りたいとなっても目的も仕事もなく残ることは出来ない。日本にいたくないという理由だけで選ぶなら来ない方が良いし、日本に帰りたくないと思うならここでの自分の存在価値を見出さなくてはいけない。

実際に甘い考えでベルリンへやってきて、仕事も家もビザもなく帰った人を何人も見ている。残っている人たちは少なからず壁にぶつかり、苦労と努力をしてここにいるのだ。自分の国ではないのだから大変なのは当然のことである。それでもここにいたいと思う強い気持ちがないと到底やっていけない。

強い気持ちを持ってやってきたとしても右も左も分からない日本人を狙った詐欺や違法ギリギリの悪徳なサービスをしている人たちがいるので本当に注意して欲しい。

ドイツ語が堪能でない限り、いろんな場面においてサポートが必要となるため、下記のような信頼出来るコンサルタントやサービスに依頼にするのをお勧めしたい。

参考リンク:
・CC-NIPPON
https://www.cc-nippon.com/

・ドイツの認定ファイナンシャルアドバイザー”DJ Finanz”
https://dj-finanz.de/

・ベルリン暮らしのサービスセンター
https://berlin-support.stores.jp/items/57ee3ca4a458c08e56008a83

【実録!!】ドイツの首都ベルリンでビザ延長が認められるまでの長い道のり km-post64_bear-700x700

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宮沢香奈(Kana Miyazawa)

宮沢香奈(Kana Miyazawa)

フリーランスライター/コラムニスト

長野県生まれ。文化服装学院ファッションビジネス科卒業。 セレクトショップのプレス、ブランドディレクターを経たのち、フリーランスとしてPR事業をスタートさせる。ファッションと音楽の二本を柱に独自のスタイルで実績を積む。2012年頃からライターとして本格的に執筆活動を開始し、ヨーロッパのフェスやローカルカルチャーを取材するなど活動の幅を海外へと広げる。2014年に東京からベルリンへと活動拠点を移す。現在、Qetic,VOGUE,繊研,men's FUDGEなどで連載を持ち、多くのファッション誌やカルチャー誌に寄稿している。また、国内外のカルチャー情報&体験を提供するアクティビティーコマースBANANAにて、現地ガイドを担う。

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