どうも、ご無沙汰しております。〈TREKKIE TRAX〉のfutatsukiです。
Qeticでのコラム連載も3回目ということで、しばらく時間が空いてしまったのですが、今回は2019年3月13日に発売した、TREKKIE TRAX7枚目の全国流通CDアルバム『Native Rapper – TRIP』について、本人からリリースした楽曲へのコメントをもらえたので、そちらを掲載したいなと思います。

その前にNative Rapperと、これまでのリリースを紹介させてください。

Native Rapperは京都在住のシンガーソングライター・トラックメイカーで、自分でトラック制作し、その楽曲に自分自身が歌うという形式で活動しているアーティストです。シンガーソングライターと聞くとギター一本で歌っているイメージがどうしてもありますが、彼はTREKKIE TRAXらしく、自身で制作したダンスミュージックに合わせて歌っている、というのが特徴的で、なおかつ「イマ」っぽい新しさもあります。

彼との出会いはおそらく2016年で、友人から今京都にヤバいシンガーソングライターがいる! と紹介を受けて知ったのがきっかけです。当時のTREKKIE TRAXはフューチャーベースやトラップに傾倒していた頃で、いわゆる「ボーカルもの」みたいなのはリリースしていませんでした。しかしNative Rapperは先程も申したとおり、〈TREKKIE TRAX〉からリリースしていても違和感のないダンスミュージックを基調に歌っているので、これは新しいなと思い、早速これまでの楽曲と、新曲をあわせた『Native Rapper – Mass Maker EP』を同年にリリースしました。

その後、彼とは何度もパーティーを共にし、(中にはトリを努めてもらったものもあります)交流を深めていくなかで、次のEP『Native Rapper – Keep It Real』を2017年にリリース。こちらには本作にも収録されている“Native Rapper – 今更 feat. lulu”という男女の恋愛を掛け合いで歌った楽曲など、完全な新境地を切り開いてくれました。

その頃からCDをリリースしよう!という話は進んでいた(というか僕的には最初に声をかけた時からCDをリリースするつもりだった)んですが、その後約1年半の製作期間をかけて、これまでNative Rapperが世に放ってきた名曲たちも再収録し、今回の1stフルアルバムである『TRIP』のリリースに漕ぎ着けました。

なんども言っているのですが、彼の魅力は自身で楽曲の全てを制作していること、そして何よりもその紡ぐ歌詞にあると思っています。

生きづらいといっては過言かもしれませんが、この色々ある世の中で、大きな世界観やテーマを掲げず、生活の些細なことであったり、恋愛のことだったり、そんな小さな、誰しもが共感できる内容を、彼自身の独特な言葉で寄り添って歌っている、そんなところに注目して本作を聞いてもらえると嬉しいです。

Native Rapper – TRIP 全曲解説

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1. intro

TRIPの世界観に入りこんでもらうための助走となる一曲。アルバムを出すにあたり、まずはテーマを決めるところからかなと考え 、「日常とどう向きあうかをダンスミュージックに昇華する」ことに決定。 introでは自身のボーカルをカットアップして、日常×ダンスミュージックの世界観に入りこんでもらう為の空間の歪みを表現しました。テーマに沿ういい塩梅のスタート曲に仕上げる事ができたかと思います。《多分きっとそうだし》→何がやねん〜!となったところでドアが開き、立て続けに表題曲TRIPへ。


2. TRIP

アルバムの中で唯一のマイナー調となった表題曲。こういうディープハウス調の曲は今まであんまり作ってこなかったんですが、制作過程ですごくいい感じのグルーブができて、乗せてみたリリックがアルバムの世界観に入り込んでもらうきっかけになるようなものだったので、今回このTRIPを表題曲にしました。日常から少し距離をとり、回想しながら自分自身を俯瞰視できるようなビートとリリックにまとまりました。プリプリしたベース感を出す為にベースの位置と音量音圧はデカ目に設定。《やるべき事、やりたい事少し考えてみるから》という直接的な歌詞と掛け合わさり、濃厚なハウス曲ができたなと思っています。


3. Swag Girl

今回のアルバムの中心になる楽曲。制作に一番時間をかけた曲です。Swag girl=粋な女の子ってことですが、当初はJet Lagという曲のタイトルにしていて、夜の飛行機に乗ってどこまでも飛んで行こう、というTRIPの中身を展開させるリリックに粋な女の子を登場させてたような形です。サンプルパックを一切使わず、手打ちで打ち込んだブラスの音にも着目頂ければなと思います。今の自分のやりたい音楽をぎゅっと詰め込んだ楽曲に仕上がったなと思っています。


4. My Billiards Bed

アルバム楽曲の中では、いったんスローダウンするラップ曲。個人的にはアルバムの中で一番お気に入りの一曲。《ため息はハッと声高く 喜びはキュッと噛み締めて》という出だしがあるんですが、感情をうまく出せない繊細な部分を上手く表現できたなと思ってます。全体像としてはベッドでの生活をビリヤードに見立てた、自身を揶揄した歌詞になっています。フックの部分は友達がいつもツイッターでよく「今日良かった事教えて」ってつぶやくんで、そこから思いついたりしています。そういうちょっとしたみんなの幸せを聞くの、なんかすごくいいなぁと。こっちも幸せになりますよね。楽曲自体はフックに行くところで20ほどbpmを上げて、テンポに変化を出しました。これから緩やかに向かう春に向けて散歩でもしながら聴いてほしい一曲です。

5. Rainy Dance

雨と雷の多い時期に作った曲。雨はダウナーになることが多いですが、雨そのものを楽しんでいくしかないんじゃないか?と変にアッパーな感情で一気に作りました。雨のポジティブ要素ってなんだろう?と思った時、色取り取りの傘をみんなが花のように咲かせている情景が浮かんできたのでその1コマをリリックに入れました。制作期間はアルバムの中で一番短かったかも。粗削りの部分も多いですが、味と勢いを残しておくことにしました。チップチューンな空気感を含むダンサブルな楽曲です。是非雨の日のお供に。

6. Passion Fruit

先行で1年前にMIXJAM x LΛNCHR共同企画の西日本コンピというフリーアルバムで先行ネットリリースされた一曲。今回のアルバム用の肌感に合わせるように再度マスタリングをして収録しました。パッションフルーツ、実は未だにちゃんと食べたことがなくて、どんな味なんだろう?未知の体験をさせてくれるんじゃないかな?という期待感を音楽に掛け合わせて作った曲です。未知の音楽に出会うのはいつでも興奮しますよね。メロのリリックはかなり遊んでいて、沢山フルーツの名前が入ってるので何個フルーツが隠れているか探してみてほしいなと思います。途中のトラップっぽいドロップもお気に入り。今度ちゃんとパッションフルーツ食べてみなければ…

7. Grand Melodica feat. ゆnovation

7.今回の新譜という意味では唯一のゲスト参加、歌なしの一曲。ゆnovationは関西を拠点に活動しているトラックメーカー/メロディカ奏者で、何か一緒にやれたらいいね~、と2年前くらいから実はよく話していました。少し前にリリースした072EPでの軽快なメロディカと、感情をストレートに描いた「ある程度ある」のリリックがとても好きだったので、今回の自分のアルバムに足りてない部分をうまく色づけてくれそうだなと思い、アルバム制作の後半でお声がけさせて頂くことに。お互いBrasstracksがめちゃめちゃ好きという共通点もあったので、ブラス感を全面に出しつつ、メロディカをセンターに置いた勢いのあるサウンドを作ろうとデータのやり取りを繰り返し、アルバム納期の最終日ギリギリに完成させた楽曲です。トラックの力強さにゆnovationの素敵なメロディカが噛み合わさって壮大な曲が完成できたので、改めて共作させてもらって良かったなと思っています。


8. Like a Swimming Pool

今回のアルバムの中で最もアップテンポなダンスナンバー。プールは、夏の遊園プールというよりかは、競技プールのイメージでリリックをスケッチしました。ビート=キック=進むという分かりやすい部分からスタートし、水泳の連想ゲームで言葉を増やしていった感じです。曲の展開は変化に富んだ全部盛り状態での構成。バタフライして背泳ぎして平泳ぎしてクロールしてみたいな感じでしょうか。色んなビート(泳ぎ方)はあるけれど、とにかく前に進んでいければいいよねっという歌になっています。パーティでもたくさん流れて欲しいですし、新しいアンセムになったら嬉しいなと思っています。

9. 今更 feat. lulu

今更を初めて公開したのはサウンドクラウドで2年前のバレンタインデーの日。この曲で僕の事を知ってもらえた方も多いんじゃないかと思います。曲作りのきっかけは自分が初めて他人に歌ってもらいたいトラックが出来上がった時に、京都のモグランバーで共演した事がきっかけでSSWのluluにお願いしてみたことが始まりでした。最初、リリックの部分は完全お任せでトラックを送ったんですが、すぐに歌を返してくれて、これはかなり踏み込んだ恋愛観をぶっ込んできたな……と(笑)。その後清水翔太と加藤ミリヤみたいな感じで掛け合うように作っていこうという事になり、男性、女性それぞれのパートでの心境を真剣に考えながら練り合わせていきました。彼女のソウルフルな歌声と繊細なリリックにひっぱられるような形で、普段自分だけでは絶対に描かない歌詞も書けましたし、最後まで噛み合ってない男女関係をうまく歌に表現できました。

10. Water Bunker

もはや自分の中で代表する曲ともなったWater bunker。この一曲にはいろんなライブやクラブの情景が詰まっています。
音楽とは無縁そうなゴルフシーンを掛け合わせながら、色んな渦中の中でボールを前に進めていくぞ、という生き様みたいなのを歌えたのかなと思います。フロア向きのトラックですし、是非ライブやクラブに遊びに来てもらって聴いてほしい曲です。

11. Keep It Real

先行リリースされた2nd EP表題曲からの一曲。keep it realはスラングで自分らしくうまくやってけよ!的な意味になります。今回のアルバムのテーマである日常とどう向きあっていくかという事をすごく考え出した時期でもあります。《誰だって多少の変わりたい願望でちょっとオシャレしてみたり ずっと変わんねぇなって褒め言葉受けてらしくありたいと思ったり》は、自分らしさと変化していくことに葛藤を抱えて生きてる人なら感じてもらえる部分が多いのではないかと思います。色々と多忙な現代人に届いたら嬉しい1曲です。


12. To Be Next

アルバムの締めとして、散在したTRIPを回収する為、チルトラップな1曲を制作。いろいろあるけど、次に向かってやってくしかないんじゃないか?っていうことで、To Be Nextというタイトルにしました。ちょうど制作が佳境を迎えている時で、他のミュージシャンの新譜を聴くことが少なかったのですが、制作後にアリアナグランデが『thank u, next』をリリースしていて、あぁ、結局みんな割と近い感覚で近い未来を見ていこうとしているのだなと思ったのは後の話。To Be Nextな感じで僕自身も少しずつ人生を進めれればなと思っています。


13. Passion Fruit(Soleil Soleil Remix)

Soleil Soleilは同じく関西を拠点に、グローバルに活躍するハウス系トラックメーカー。友人であり尊敬するトラックメーカーで、今回のアルバム曲よりリミックスを依頼した所、快諾頂きました。原曲のイメージとはまた違ったポッピングなハウスで、面白さとかっこよさが同居する楽曲に。今回リミックスはこの一曲のみアルバムに収録しましたが、また別途リミックスを色んな方にお願いして、リミックスアルバムなんかも作れたらいいな、と思っています。

是非聴いて、TRIPしちゃって下さいね!

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Native Rapper

以上がNative Rapperによる解説でした。
これを読んで、是非アルバムを聞いてみてくださいね!

Native Rapper – TRIP [Official Teaser Video]

RELEASE INFORMATION

TRIP

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TRC-008
2019/03/13

1. intro
2. TRIP
3. Swag Girl
4. My Billiards Bed
5. Rainy Dance
6. Passion Fruit
7. Grand Melodica feat. ゆnovation
8. Like a Swimming Pool
9. 今更 feat. lulu
10. Water Bunker
11. Keep It Real
12. To Be Next
13. Passion Fruit(Soleil Soleil Remix)

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