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今月からQetic編集部の映画担当が「InterFM 897 Tokyo Brilliantrips」と連動して映画のトピックをお伝え! 今週はスティーブン・スピルバーグが監督を務め、トム・ハンクスが主演を務めた『ブリッジ・オブ・スパイ』をご紹介。

彼が救ったのは1人の人間の命か。一国の未来か。

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『プライベート・ライアン』や『シンドラーのリスト』の監督、スティーブン・スピルバーグ。主演には、感動作には欠かせない俳優、トム・ハンクス。『プライベート・ライアン』や『ターミナル』など世に送り出してきた、このゴールデンコンビは今作で四作目のタッグとなる。

脚本を手掛けたのは『ノー・カントリー』『ファーゴ』でおなじみの2人組、コーエン兄弟だ。彼らの作品はブラック・ジョーク満載な“コーエン兄弟”らしさがでてくるが、マット・チャーマンが共同で参加しているためか今回はブラック・ジョークを封印して、スマートな頭脳戦を見事に繰り広げており、終始ドキドキさせられた。

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今作は実話を基にした物語。舞台は、アメリカとソ連が冷戦下にあったニューヨーク。弁護士として活躍していたドノヴァンに一件の依頼が舞い降りる。その内容はソ連のスパイ、ルドルフ・アベルの弁護であった。一人の夫であり、父であり、弁護士であるドノヴァンは、当初この話しを断る。敵国のスパイなどを弁護したら国中から非難されてしまう上に、その標的は自分だけでなく自分の家族にも及ぶのを懸念したからである。しかし、“法の下、皆平等に裁判を受ける権利がある”戸言う信念のもと、話しを受けることとした。弁護する相手のアベルは、決して多くは語らない人物。しかし、彼の祖国への忠誠心と愛は、ドノヴァンがアメリカへ寄せるものと何ら変わりはないとドノヴァンはアベルを尊敬しはじめる。そんなドノヴァンをアベルも信頼し、徐々に二人は徐々に打ち解けてゆく。そして、見事ドノヴァンは当初の死刑判決から懲役30年の判決をもたらしたのだった。

そして今作はもう1つ、主軸となる物語がある。アメリカ人のスパイ、フランシス・ゲイリー・パワーズが敵国・ソ連にて捕まったことが火種となった。アメリカは彼を救いだす為、秘密裏にソ連に話しをもちかける。それは「ルドルフとパワーズの交換」であった。その交渉人として再び選ばれたのがドノヴァンであった。そして、交渉の地として選ばれたのは、当時まさに国が物理的に二等分されんとしている東ベルリン。「ソ連のスパイとアメリカのスパイの交換」ではなく、「一人間を生きて祖国に帰還させる」ことを胸に交渉に挑むドノヴァンに一筋縄ではいかない困難が降りかかることになる……。

見逃せないポイントとして、トム・ハンクスの安定の演技はもちろんのことだが、その相手を演じる、ゴールデン・グローブ賞、助演俳優賞にノミネートされているルドルフ・アベル役のマーク・ライランスの演技だ。イギリスの舞台俳優として活躍している彼の演技に、スピルバーグが惚れ込んだのも納得の存在感である。ソ連のスパイとしてアメリカに生活していた彼の姿を捉えたところから始まるファーストシーン。私服捜査官らしき追われる彼に、特に陰りは感じられない。時間の経つのも気にせず一人、趣味の絵を書き続けるアベルを、ギリギリまで言葉を発させないなかったのはスピルバーグの意図的な演出に思える。監督自身が、スパイ活動をしていない彼の姿を冒頭に描くことによって、「人は自分をどのように見るか、人にはどのように見られているか」などの人の多面性を描きたかったのだと述べている。

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さらに注目すべきはドノヴァンが無事帰還し、日常の生活に戻って地下鉄に乗っているラストのシーン。ネタバレしないために多くは言わないが、冷戦下の世界に明るい兆しが見え始めていること、そしてドノヴァンの勇気のある行動が正しかったということ。彼が受けた非難が払拭され、彼が世に認められたことが示される重要なシーンである。最後まで手に汗握った物語が無事に終結したということに、観客がホッといきつく瞬間であった。国の思惑に踊らされずに自分の信念を貫いたドノヴァンの勇気と、それを無事に成し遂げた行動力に大変感動させられる壮大な物語である。

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『ブリッジ・オブ・スパイ』


2016年1月8日(金) TOHOシネマズ スカラ座他全国ロードショー!
出演:トム・ハンクス(『フォレスト・ガンプ/一期一会』『フィラデルフィア』)
監督:スティーヴン・スピルバーグ(『プライベート・ライアン』『シンドラーのリスト』)
脚本:ジョエル&イーサン・コーエン(『ノーカントリー』『ファーゴ』)
20世紀フォックス映画配給
(C)Twentieth Century Fox Film Corporation and DreamWorks II Distribution Co., LLC. Not for sale or duplication.
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text by Qetic・Rina Kawarai

Qetic編集部

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