『2001年宇宙の旅』、『シャイニング』、『時計じかけのオレンジ』など革新的な映像で世界中の映画ファンを熱狂させてきた巨匠スタンリー・キューブリック。彼の幻の劇場映画デビュー作『恐怖と欲望』(原題:Fear And Desire)が日本でも劇場公開される。

一般的に彼の劇場映画デビュー作は『非情の罠』とされているが、実はそれ以前にも彼の公開作品があったのをご存じだろうか。それが本作『恐怖と欲望』である。本作はわずかなキャスト&スタッフ、低予算で製作されたが、公開時は批評家などからは好評だった。しかし、完璧主義者として知られるキューブリックが、本作を「アマチュアの仕事」と言い、そのプリントをすべて買占め封印されてしまった。

本作はファンの間では「幻の作品」だったが、昨年2012年3月にニューヨークのリンカーン・センターにて行われた特集上映の中の1プログラムとして上映され、大きな話題となった。2013年現在、残されたプリントはわずか1本で、現在ニューヨーク・ロチェスターのコダック・アーカイヴに保管されている。低予算の自主制作映画だが、その後のキューブリック作品をひも解く上で、実に重要な作品となっている貴重な作品だ。

STORY

どこかの国で起こっている戦争。爆撃を受け敵地の森へ墜落した4人の兵士たちがいた。空軍の上官コービー中尉(ケニス・ハープ)、ベテランのマック軍曹(フランク・シルヴェラ)、若い新米のシドニー二等兵(ポール・マザースキー)とフレッチャー(スティーヴ・コルト)二等兵。彼らは森に沿って流れる河を、筏を作り下って脱出することを計画し、その対岸に敵軍のアジトを発見する。マック軍曹は奇襲をかけることを提案するが、コービー中尉に反対される。翌日、河で洗濯中の地元の女性(ヴァージニア・リース)に姿を見られた4人は彼女をベルトで木に縛り付け拘束する。女性の見張をしていたシドニー二等兵は女性に欲情し犯そうとするが、彼女は彼を振り払って逃げ出す。敵に知らされることを恐れたシドニー二等兵はとっさに腰につけた拳銃を抜き、彼女を射殺してしまうのだった・・・。

恐怖と欲望

2013年5月3日(金)、オーディトリウム渋谷ほか全国順次公開!
巨匠キューブリック。封印されていた幻の劇場映画デビュー作が5月から日本公開。 news130415_stanley_main

監督・製作・撮影・編集:スタンリー・キューブリック
脚本:ハロルド・サックラー(『非情の罠』『ジョーズ2』)
音楽:ジェラルド・フライド(『突撃!』『ルーツ』)
出演:ケニス・ハープ(コービー中尉/将軍)/フランク・シルヴェラ(マック軍曹)他
配給:株式会社アイ・ヴィー・シー
配給協力:コピアポア・フィルム
宣伝:カプリコン・フィルム