佐藤快磨監督の劇場デビュー作でありながら、<第68回サン・セバスティアン国際映画祭>で最優秀撮影賞を受賞した映画『泣く子はいねぇが』が11月5日(木)に、秋田・男鹿市民文化会館にてプレミア上映された。上映前に行われた合同記者会見と舞台挨拶では佐藤監督のほか、本作で“なまはげ存続の会”会長・夏井を演じた秋田出身の柳葉敏郎、そして男鹿市市長・菅原広二が登壇した。このたび、本イベントのレポートが到着した!

イベントレポート:映画『泣く子はいねぇが』合同記者会見&舞台挨拶

5年前に男鹿を訪れた際には「自主映画でも撮れればいい」と思っていた企画で商業デビューを果たすこととなった佐藤監督は、会場に集まった観客や記者に丁寧にお礼を述べつつ、「男鹿の物語ですが、決していいところばかり描く作品にはしたくなかった。男鹿の方々からたくさんお話を聞いて、誠実な映画を撮りたいという気持ちが強くありました。皆さんにどう受け止めて頂けるか緊張もしています」と話した。

これに対して菅原市長は、「熱心に通ってくれて、役所のスタッフも私も全面バックアップしたいという気持ちで臨みました。男鹿の魅力はいっぱいあります。監督は良いところだけでなく、裏側も見せるんだと言っていましたが、私も普段見たことがない男鹿が写っていてびっくりしました。市民が改めて男鹿の魅力を認識し、そして謙虚にマイナス面も受け止めながら、元気に頑張っていける。そんな気持ちにさせてくれる映画です」と太鼓判を押し、監督もほっとした様子を見せた。

最初に脚本を読んで「まずは嬉しかった!」と答えた柳葉は、「自分が育ててもらった地元の話。そして主役が仲野太賀。僕の知り合いの息子で、生まれた時から知っている。その彼が主役を務める作品でお手伝いできるという喜びがありました」と、2つの理由で嬉しいオファーだったことを明かした。また、「監督も自分も秋田に対する想いが強すぎて、結構揉めました(笑)。ただ、お互いに何も提供しないで作るよりは、情熱をぶつけ合って作る作品の方が好きです。まさしくそういう現場でした。いろんな意味で血の通った作品になっているんじゃないかなと思っています」と笑いを交えながら、平成生まれの若手監督との熱い撮影現場を過ごせた喜びを語った。

そんな柳葉に対し監督が「太賀君たちは東京出身なので、男鹿の皆さんとの間に柳葉さんが入って通訳をしてくれました。柳葉さんがいないと秋田の空気は出なかったと思う」と現場での思い出を話すと、「監督、話すの上手くなったねえ!(笑)」と返したり、「んだんだ」と秋田弁を交えながらトークしたりと、和やかな雰囲気で会場を湧かせた。

印象的だった撮影について聞かれると監督は、「山から太賀君が演じるナマハゲが山から降りてくる神秘的なシーンを撮りたかったのですが、今年は暖冬で雪が降らず、みんなで頭を抱えました。でも、雨の中のナマハゲがこの映画とマッチしていて、あの撮影で『この映画はいいものになる。みんなで乗り越えたい』という思いが生まれた」と、ピンチが一転した瞬間のエピソードを披露した。

そして、本作で“大人になること”の通過儀礼的なモチーフとなっているナマハゲについて、監督は「男鹿に通った4年間、毎回違うナマハゲを見させて頂いた。子供たちの泣き顔や行動がみんな違うことが醍醐味で、そしてこうやって大人になっていくんだなと。実際の“存続の会”の方の『俺たちはボランティアでやってない』というお言葉がとても印象に残っています。男鹿に生まれて、男鹿で生きていくという覚悟を感じました。そういう想いを柳葉さん演じた夏井に込められたらと思いました」と語った。

それに対して菅原市長も「私たち男鹿で育った人間にとってナマハゲは魂。子供の頃から道徳として植え付けられている。それを伝えていきたい。そして誰もが経験する青春の失敗からどう立ち直っていくのか。もう一度見たいと思う映画でした」と絶賛した。

最後は市長から監督と柳葉に花束が贈呈され、観客からの盛大な拍手の中で秋田プレミア上映会&合同記者会見は終了した。

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シカゴ国際映画祭>や現在開催中の<東京フィルメックス>にも正式出品されるなど、国内外でも注目を集めている映画『泣く子はいねぇが』。仲野太賀吉岡里帆寛一郎山中崇余貴美子柳葉敏郎といった豪華俳優陣が出演している本作は11月20日(金)より全国公開となる。是非お楽しみに!

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映画『泣く子はいねぇが』本予告 | 11/20[金]公開

INFORMATION

泣く子はいねぇが

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監督・脚本・編集:佐藤快磨
出演:仲野太賀 吉岡里帆 寛 一 郎 山中 崇 / 余 貴美子 柳葉敏郎
企画:是枝裕和
エクゼクティブ・プロデューサー:河村光庸
プロデューサー:大日向隼、伴瀬萌、古市秀人
企画協力:分福 
制作プロダクション:AOI Pro.
配給:バンダイナムコアーツ/スターサンズ
製作:『泣く子はいねぇが』製作委員会

ストーリー:
秋田県・男鹿半島で暮らす、たすく(仲野太賀)は、娘が生まれ喜びの中にいた。一方、妻・ことね(吉岡里帆)は、子供じみていて 父になる覚悟が見えないたすくに苛立っていた。大晦日の夜、たすくはことねに「酒を飲まずに早く帰る」と約束を交わし、地元の伝統行事「ナマハゲ」に例年通り参加する。しかし結果、酒を断ることができずに泥酔したたすくは、溜め込んだ鬱憤を晴らすように「ナマハゲ」の面をつけたまま全裸で男鹿の街へ走り出す。そしてその姿がテレビで全国放送されてしまうのだった。ことねには愛想をつかされ、地元にも到底いられず、逃げるように上京したものの、そこにも居場所は見つからず、くすぶった生活を送っていた。そんな矢先、親友の志波(寛一郎)からことねの近況を聞く。ことねと娘への強い想いを再認識したたすくは、ようやく自らの愚行と向き合い、地元に戻る決意をする。だが、現実はそう容易いものではなかった……。果たしてたすくは、自分の“生きる道”、“居場所”を見つけることができるのか?

©2020「泣く子はいねぇが」製作委員会

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