6月29日より公開中の映画『立候補』が、ポレポレ東中野にて公開から2週間を過ぎても満席が続く想像を超えた大ヒットとなっている。19:00~1回上映ではあるものの、あまりの好評ぶりに、下北沢のトリウッドでの追加上映も実施しているが、こちらも早朝9:00の上映時間にもかかわらず連休中はほぼ満席となっている。

当初は、『選挙2』、『ムネオイズム』といった社会派の「選挙映画」として紹介されることが多く、また朝日新聞や日経新聞で大きく掲載されたこともあり、年齢層高めの客層であったが、最近は20代~30代の客が圧倒的だという。公開してまもなく、出演者が立候補し、ポスターや公式HPから顔を隠すなど、宣伝を自粛する前代未聞の事態に陥りながら、なぜ、この映画がこれほどまでにヒットしているのか?

ヒットの要因1:「意外性」社会的な映画と思いきや・・・笑いあり、涙ありの感動エンタテインメントである!
監督自身の映画監督にかける夢とリンクした「夢追い人」という企画からスタートしたもので、諦めない人のモデルとして、マック赤坂ら、「泡沫候補」と呼ばれる人々に密着した作品である。「立候補」というと社会的なテーマを連想するが、「夢を追う人」という普遍的なテーマであること、マック赤坂氏のイメージとは結びつかない感動的なラストシーンが話題を呼び、エンターテインメント性の高さから、口コミで評判が広まっていった。

ヒットの要因2:枠にとらわれない興行形態
通常の映画は配給会社が劇場への営業を行って、公開を決め、宣伝を行う。しかしこの作品には会社組織で配給宣伝を行っていない。そもそもは、監督とプロデューサーの二人三脚で、自主映画としてスタートしたが、作品のクォリティの高さに惹かれ、劇場や、商業映画の製作者たちが自然発生的に集結、宣伝費はないが、それぞれがこれまでの人脈と経験を寄せ集めながら、既成概念にとらわれず、アイディアを出し合い、宣伝を行ってきた。経費の都合上マスコミ試写も多くは行なえず、それぞれの人脈を使って作品を見せ込んだり、これまで例になかった、全国公開前のニコニコ動画での配信決定(7/22~)なども、その例である。また、通常は東京で公開すると、地方公開を待たずに宣伝が終了するが、この作品は、公開から1ヶ月以上経過した8月1日(木)に大掛かりなイベントを計画中で、今後も興味を持ってくれる媒体がある限り、監督やプロデューサーのインタビューなど、対応を続けていく予定。

ヒットの要因3:TwitterやFacebookの熱い口コミ
宣伝自粛となってからは、ほぼ、口コミのみで作品が広まってきたと言っても過言ではない。若者に支持される、クリエイターや文化人が早々に足を運び、感想をつぶやき、作品を後押ししたことも大きな要因と言える。
<これまで劇場で鑑賞した著名人・文化人>
犬童一心さん、白石和彌さん(映画監督)、高畑光希さん(女優)、能町みね子さん(漫画家)、阿曽山大噴火さん、飛石連休・藤井ペイジさん(芸人)などなど。

3連休中も満席が続き、ポレポレ東中野では、7月20日(土)から、上映回数を増やすことも決定した。関係者は21日には参院選が終わるため、さらに積極的な宣伝を行う意向である。混迷の時代に誕生した傑作『立候補』、しかと目撃せよ!

映画『立候補』

ポレポレ東中野他、順次ロードショー

出演:羽柴秀吉・外山恒一・マック赤坂ほか 
監督:藤岡利充 
製作撮影:木野内哲也 
音楽:田戸達英 
Japan/DV/100min/STEREO