エモーショナルな歌詞に込められた表現の核とは
–––次はアルバムのテーマみたいなものについてだけど、君の音楽、特に歌詞はとってもパーソナルで親密だし、エモーショナルだよね。こんな風に君の音楽を表現することは適切かな? 「バンクスは音楽の中で親密な人間関係や愛にまつわる葛藤や痛み、傷つきやすさについて歌っている」。
ええ、時にはそうした感情を確かに歌っていることは確かだと思うわ。でもそれだけじゃないの。同時に勇気づけられる体験や強さについても歌っているから。痛みは強さとか落胆からもたらされることもあるし、傷つくことから愛が生まれるとも言えると思う。なんて言うのかしら……、難しいけどそうしたバランスみたいなものについて歌っているんだと思う。
–––ある意味そうしたアンビバレンス(両価的であること)について歌っているということだね? そうしたテーマにフォーカスしたのには何か背景があるの?
その通りね。理由は……、う〜〜ん、わからないわ! “Brain”を書いた時と“Goddess”を書いた時では全然違うフィーリングだったし、書いている時の状態に全ては依るというか、上手く説明できないときこそ曲を書いているんだと思う。
BANKS – “Brain”(Official Video)
–––歌詞の面で特別影響を受けた人とか作品ってあったりするのかな?
特に何かを挙げることは出来ないかな。基本的にはただ私の中から出てきたものだと思う。本能的で生々しい部分を取り出してるというか……。とにかく歌詞については「正直さ」を重視しているの。それが私がフィオナ・アップルから一番インスパイアされた部分でもあるから。
–––これまで話してくれたように君の音楽は正に君そのものの反映であると言うことが出来ると思うんだよね。でも逆に例えばラナ・デル・レイみたいに必ずしも自身の反映ではないペルソナを敢えて作ってストーリーを語るっていう表現手法もあると思うんだけど、そういうアプローチには興味はある?
ノー!!!(キッパリ)
–––(笑)あくまでも自分自身に忠実でありたいということだね。
そう!! だってそれこそが私にとってはポイントなんだから!! それが音楽を作る理由なの。他の誰かを演じるなら女優になればいいと思う。
–––オッケー! 今では色んなところでライブをやるようになって、それはある意味個人的な感情を大勢の人とシェアしてることだとも思うんだけど、そうした体験って君に何をもたらしているのかな?
凄く力づけられるわ。ある種の静寂というか平和のような感覚を覚えることもあるの、私自身がありのままを表現してそれを受け入れてくれる人がいるっていう瞬間には。だから例え皆が私の音楽を気に入っていなくても最終的には構わないっていうか……。なによりも私が私自身に正直でいられることこそがまず重要だから。
–––多くのオーディエンス、リスナーの存在が逆に不安を感じさせることはない?
勿論、時々あるわ。誰もが自分が周りにどう見られているか、思われているかに自覚的になる瞬間ってあるでしょ? でも最終的に重要なのって……、それ(周りにどう思われてるかに)に影響されないことなの。分かるかしら? もしあなたが「自分は大丈夫」って感じていて、それを周りの人間がそうじゃないって言ってきたとしても「ファック・ユー、私は大丈夫なんだから!!」ってこと(笑)! 分かってくれるわよね!?(笑)