–––音を足す作業と減らす作業だったらどちらが大変でしたか?

(即答で)減らすほう。曲でいうと、“Seven Two”でストリングスやキーボード、パーカッションを足そうか迷ったりもした。“The One I Love”でもヴォーカルやギターを足すべきかなと思ったけど、どちらも曲の方向性が変わってしまうからやめておいたんだ。今回は意識的に音を限定して、前作『ペニー・スパークル』のようにはならないよう気をつけた。ただ音を足すアイディアもやっぱり浮かんでくるわけで、それを抑えることでイライラしたときがあったのは事実だよ。ただアートを作るうえで、そのガマンはやっぱり正解だった。

Blonde Redhead – “The One I Love”(Audio)

–––結成から20年が経過したわけですが、バンドにとってのターニング・ポイントみたいなものってありました?

超たくさんあるよ(笑)。昔はいつも壁にぶつかってきた。経済的な困難だとか、観客が来なくてツアーができないとか、新曲があんまり売れないとか。あとはカズの落馬ね。(2002年に事故で顎を複雑骨折。そのときのエピソードを曲にしたのが『Misery Is A Butterfly』収録の“Equus”)。常にローラーコースターに乗ってるような気分だよ。『フェイク・キャン・ビー〜』を出したときぐらいから、バンドとしての存在感がやっと自覚できるようになってきたんだ。新しいアルバムを作るのは常に難しいし、自分たちはこれで正しいのかいつも自問自答しながら活動している。アップダウンが激しくて、いいことも辛い事もたくさんあったけど、なんとか乗り越えてきたんだよ。

Blonde Redhead – “Equus”

–––最後に、新作と関係のない質問ですいません。2007年に“Top Ranking”のヴィデオでミランダ・ジュライが素晴らしいストップモーション・ダンスを披露しているじゃないですか。監督は夫のマイク・ミルズ(『人生はビギナーズ』他)でしたけど、あれってどういう経緯で実現したんですか?

同じNYで活動している縁で、マイクの方からアプローチしてくれたんだ。エクスペリメンタルなホーム・ビデオを低予算で作ってくれるってことだった。前々から面白い人だと思ってたから、信頼もできたしそれで作ってもらったんだ。

Blonde Redhead – “Top Ranking”

–––あの映像におけるミランダ・ジュライのぎこちない感じって、今回のアルバムの音ともマッチしそうじゃないですか?

そう? ちょっと見返してみる必要があるね(笑)。

(text&interview by Toshiya Oguma)

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