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今年最も衝撃的で必然的、奇抜で奇妙、まさに風変わりなコラボがこの夏に実現した。

GEZANと〈GHPD〉のスピット7インチ『』は8月8日にリリースされると、同時に三宅唱が監督するMVも公開、五木田智央が描き下ろしたジャケットデザインも含め、全てが完璧に仕上がったとしても過言ではないこのプロジェクトは、たちまち話題となった。

両サイドの曲名が“”となっている本作。A面では、客演にCampanella、ハマジ(KK manga)、LOSS(ENDON)、 カベヤシュウト(odd eyes)、OMSBで、ミックスはスティーヴ・アルビニが担当。B面となる〈GHPD〉サイドのトラックを手掛けるのはHi’Specで、USOWAとOMSBに加え、マヒトゥ・ザ・ピーポーが客演、ミックスと両曲のマスタリングを手掛けたのはillicit Tsuboiであることが明かされている。

【対談】マヒトゥ・ザ・ピーポー×OMSB×Hi’Spec×YELLOWUHURU×三宅唱が語る|GEZANとGHPDのコラボ『BODY ODD』 interview180824-bodyodd-1200x1200
『BODY ODD』ジャケット

×GHPD×

は大阪で結成され、現在東京を拠点に活動しているバンド。レーベル〈十三月の甲虫〉を主催しており、<全感覚祭>を毎年開催(今年は大阪で10月)、唯一無二のサウンドスケープとその圧倒的なライブパフォーマンスで、国内外問わずフォロアーを獲得し。今年の10月にはニルヴァーナらとの作品で著名なスティーヴ・アルビニをプロデュースに迎えた4枚目のフルアルバム『Silence Will Speak』をリリースする。

GHPD〉(Gami Holla Production Development)はSIMI LABOMSBHi’SpecUSOWA、<FLATTOP>主催のYELLOWUHURUが昨年立ち上げたコレクティブ。これまでOMSBとYELLOWUHURUがMIX CDをリリースしている。

GEZAN -BODY ODD feat. CAMPANELLA, ハマジ, LOSS, カベヤシュウト,

GHPD – 『BODY ODD』(Official Music Video)

村上淳主演の『Playback』、OMSBやBIMVaVa、Hi’Specらが出演したヒップホップファン必見のドキュメンタリー『THE COCKPIT』、そしてサニーデイ・サービスらのMVも手がけ、柄本佑・石橋静河・染谷将太が出演する最新作『きみの鳥はうたえる』(、Hi’Specも出演、Hi’Specは映画音楽も手がける)が9月1日(土)からロードショーとなる監督。

「きみの鳥はうたえる」 予告編

ここで、タイムラインをまとめてみよう。GEZANと〈GHPD〉はもちろんのこと、豪華出演者が彩りを加える『BODY ODD』のリリースパーティーは8月24日(金)に愛知、26日(日)に大阪、31日(金)に開催。本作のMVを監督している三宅唱の映画『きみの鳥はうたえる』は9月1日(土)新宿武蔵野館、渋谷ユーロスペースほかロードショー、以降全国順次公開となる。そしてGEZANの4枚目のアルバムが9月末にアナログ、10月にCD等でリリースされ、同月には大阪で<全感覚祭>が開催となる。

そしてこれ以上とないタイミングでGEZANのマヒトゥ・ザ・ピーポー、〈GHPD〉からOMSB・Hi’Spec・、そして映画監督の三宅唱で対談を行った。

対談:BODY ODD

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——まず最初にコラボの経緯を。

OMSB あれは1986年……。

マヒトゥ・ザ・ピーポー(以下、マヒト) まだ生まれてないよ。

OMSB 生まれてないや。

Hi’Spec オムス(OMSB)は俺の1つ下だから88年?

OMSB 89年。

マヒト 俺も89年。平成元年だけど、平成が終わるのはなんか寂しいね。ずっと平成生まれですって言ってきたし。

OMSB いやでも俺は嬉しい。初めてだ仕事をした時に、昭和生まれのやつに「平成かよお前!」って言われて超面倒くさかったから、今度は俺がそれできるなって(笑)。

──みんな活動歴も同じくらい?

マヒト 僕はバンドを始めたのが20歳くらい。

OMSB あんまり変わらないよ。DJは16歳からだけど、グループは18、19歳くらいだから。

  

俺も結構キレキレだった気がしたのに、負けた。そういうカマし方あったんだって。

Hi’Spec 今回のコラボまでは、(以下、カマダ)が一番大きいのかな。

マヒト 一番最初に会ったのはカマダかも。

OMSB カマタが<FLATTOP>をもうやってて、俺は〈BLACK SMOKER〉のイベントでGEZANと知り合ったんだよね。

マヒト 俺とオムスは完全に〈BLACK SMOKER〉で。

OMSB それでカマタは〈BLACK SMOKER〉の2014年くらいにclubasiaでやってた<ELNINO>に遊びに来てて、その時に俺と翔くん(Hi’Spec)が出てたのを観てくれたんだよね。その時に俺は代々木のココナッツディスクで働いてて、そこに遊びに来てくれた時にすごい良かったって言ってくれて「俺のイベントに出て欲しいんだよね」と。それがWWWで開催された第1回の<FLATTOP>だった。

マヒト その時、なんで俺呼ばれてないんだって話をカマダにしたの覚えてる。

Hi’Spec 第1回、2回目と三宅さんがVJ。

“FLATTOP” at UNIT – OMSB & Hi’ Spec Beat Live with Sho Miyake & B.D. & USOWA & PAVRO & AKKOGORILLA

三宅唱(以下、三宅) YouTubeにあるあの時のビデオ、今でもたまにみるよ。

OMSB どっちも〈BLACK SMOKER〉からリリースとかもしてて……。最初にあったのはHeavySickZeroかもしれない。俺はリハーサルでかましたくて、というのも同業者をひとまず牽制していく瞬間だと思うんだよね。そうやってたら次にマヒト達がきたんだけど、いきなりマヒトがドラムスティックを持ってドラムを叩きまくって「よっしゃ、身体温まった」って(笑)。俺も結構キレキレだった気がしたのに、負けた。そういうカマし方あったんだって。

Hi’Spec 誰なんだろうこの人、「ドラムの人じゃないのか!?」って。

マヒト 全然全然覚えてない……。

OMSB 結構びっくりして。それでよろしくと。

  

……あのパートめちゃくちゃかっこいいよね

マヒト 最初は“BODY ODD”っていうGEZANの曲があって、オムスに客演をお願いした。最初は単純に1曲で作ったんだけど、すごいはまってた。これを一つの点にして違うアプローチで何か作れたら面白いなと。

OMSB その流れで翔くんがB面を担当するようになった。

マヒト A面のサンプリングとかもB面に使ったり。

OMSB リミックスというよりかは、どちらも「BODY ODD」で。

——A面の客演のセレクトは?

マヒト Campanellaは昔から友達だったり、客演のセレクトは単純にタイミングで友達を呼んだ。

——でも、そもそもどうしてオムスだった?

マヒト ……あのパートめちゃくちゃかっこいいよね。

OMSB アハハ。

マヒト 単純に曲が太くて力があるから、ジャズっぽいアレンジでヒップホップはありますけど、バンドの骨太サウンドでマイクリレーをやるのは珍しいなと思って、最初に浮かんだのがオムス。

OMSB 嬉しい〜。嬉しさ。嬉しみが深い。

  

「違和感こそがGHの色だな」

マヒト B面では、相模原に初めて遊びに行って、翔くんのスタジオに入ってその空気に飲まれた。これが「GAMI」かと。

曲作りでバンドと違う部分でいうと、ヒップホップの人は音階みたいなのを気にしないよね。トラックがあって、音階を気にせずに乗せれるから。でも歌をやってると音階によるから、最初に送られてきたやつでイメージしたら全然変わってて。一応用意していったんだけど、完成品にあるパートはその時になくて、オムスがラップしてる時にノリで考えた。

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OMSB でもノリで良かったんだと思うよ。

マヒト 「BODY ODD」とか言おうとすら思ってなかったから。

三宅 あれいい歌詞だよね。すごいよね(笑)。

マヒト あれしかないから。まさにノリ。

三宅 「BODY ODD」って口に出したいスペルだよね。すごい気持ちいい並びで。合唱曲みたいな。

——「BODY ODD」は両曲共に良い意味で、違和感を感じた。

OMSB B面で「違和感こそがGHの色だな」ってUSOWAが言ってるんですけど、そういうこと。

——でも、と同時に違和感がないというか……。たとえばオムスやHi’Specはヒップホップだけど、全然違うジャンルにタッチしてるところもある。王道をやっていながら、得体の知れない何かがある。それはGEZANも同じで。

OMSB GEZANもそうだと思うんだけど、自分のやってるフィールドの芯が一つあるからどこにでも行けるのかなと。

マヒト A面の客演してくれた人たちをどういう風に選んだかって話があったけど、彼らとは自然に繋がっただけで、面白いことができるタイミングを感じた。異質かもしれないけど、作ってる時は自然な気持ち。

  

恋愛は事故みたいなもんですからね(笑)。

——〈GHPD〉はどういう経緯で作った?

Hi’Spec 色んなことを自分たちでやりたいなっていう、すごいシンプルなことを思った。

OMSB 自分で好きなものを作って、それを届けられる場所があれば良いなというのがきっかけだけど、まだ全然作れてない。

マヒト 〈SUMMIT〉(SIMI LABやPUNPEEが所属するレーベル)で思い出すのは、増田さん(〈SUMMIT〉代表)がオムスのライブで、母と父の間みたいな感じで見守ってて、めっちゃ良いレーベルだなって思ったこと。

そこからどうこうする訳ではないけど、でも〈GHPD〉をやるって聞いた時に、何か自由みたいなものを形にしたいのかなとは思った。だから『BODY ODD』は象徴的な一枚だよね。

Hi’Spec 音源としてはこれが初だからね。

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——GEZANも自分たちのレーベル〈十三月の甲虫〉でやってる。

マヒト 昔から八百屋みたいな感覚でやってるので、他と比べてどうとかはないかな。

——〈GHPD〉の色ができていくといい。そのために『BODY ODD』がある意味で最初の色になる。

三宅 その出発点に立ち会えてすごい良かった。

OMSB 三宅さんには<FLATTOP>もVJをやってもらっていて、大事な時にいつも助けてもらってます。

三宅 ミュージシャンが生まれる瞬間ってなかなか立ち会えないというか、変な話「気づいたらいる」じゃん。オムスたちは“WALK MAN”(SIMI LAB)がアップされた直後のタイミングで知ったけど、それも、だれかが先に気づいて騒いでくれたから気づけたわけで。パトカーの音で事件に気づくみたいな。でも〈GHPD〉は、アーティストがもう一度出発点に立っている気がして、リスナーとして単純にアがるんだよね。最初の誕生には絶対に立ち会えないんだけど、2回目の誕生には立ち会える。

SIMI LAB/WALK MAN

マヒト ラップが上手いとか、才能には色々なものがあるけど、居合わせる才能はあるよね。ツボというか、時間の流れの中で居合わせる才能ってすごい重要だなって。

OMSB 絶対ある。

三宅 歌の上手さとかは鍛えても限界があるかもしれないけど、居合わせる才能だけは作れるんじゃないか、と思いたい。

マヒト でも逆にすごいデリケートでセンスがいるよね。全然意味のないところからはじめる訳だから。

三宅 避けれない事故とかもあるしね。恋愛と同じで。

OMSB 恋愛は事故みたいなもんですからね(笑)。

  

手紙書くのっていつぶり?

OMSB 『BODY ODD』の7インチを作るにあたって、新宿で打ち合わせしたんだけど、そこでジャケットをどうしようかって話になった。その時たまたま五木田智央さんの「TACOMA FUJI RECORDS」のTシャツを着てて、カマタが反応した。

マヒト ちょうどその時、東京オペラシティアートギャラリーで五木田さんの個展がやってたよね。観に行った。

OMSB しかも確かその打ち合わせの日に個展に行ってたんだよね。その前から画集も持ってたし。

三宅 オムスが五木田さんを好きな話、前にもしたことあるよね。ちょうどその後、山口でオムスと翔くん、それから『きみの鳥はうたえる』プロデューサーの松井さんと飲んで、五木田さんの話になった。昔松井さんがZINEを作って絵を描いてもらったことがあるって話で盛り上がって。

OMSB ダメ元で五木田さんに聞いてみるって流れになって。

Hi’Spec それで、「とりあえず音源を送ってください!」って返事が来て。

マヒト 俺らは新しいアルバムを送った。

OMSB あとは俺の諸々出したやつと翔くんのアルバムかな。

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マヒト それですごいのが、カマダには作品のタイトルが「BODY ODD」になるっていうの言ったんだけど、あいつメールで五木田さんにそれを言ってないんですよね。でも届いた絵を見たらちゃんとボディー感があった。だから、ちゃんと音を聴いてから肉々しい部分を落とし込んでいただいたのかなと。感動した。

三宅 あれ以外は考えられないもん。

OMSB マジでヒヤヒヤしたもん。俺とUSOWA、カマタ、翔くんで手紙を書いたんだよね。

Hi’Spec 庄やでね。

OMSB 言葉遣いとかには気をつけようって。

三宅 手紙書くのっていつぶり?

Hi’Spec 俺らは書いてないけど、とりあえず考えた。

OMSB それでカマタが意外と達筆だったんだよね(笑)。それで筆を任せた。

マヒト 7インチって記念品みたいなところがあるじゃないですか。そういう意味でもバシッと決まって、この時点で8割くらい勝利が見えてた。

——でも五木田智央さん描き下ろしのジャケットって……、いまやあれだけの絵描きさんだし、めちゃくちゃ忙しいはずなのに、ほんとすごい。

OMSB しかも、それでドンピシャのものが届くってすごいよなぁ。

マヒト ジャケットの上に文字をのっけたのはカマダと俺で話し合ったことだったんですけど、これまでの五木田さんの描いたMETA FIVEやTOWA TEIさんの作品ではかっちりした字体が多かった。その感じでやるとインダストリアルでカチッとはまるんですけど、収まりが良すぎる気がした。

それで友達のSTANGにグラフィティーを乗せてもらったらいい感じに荒くなって、〈GHPD〉の始まりにクロスする感じがして、すごく気に入ってる。

船津晃一朗

船津晃一朗

Qetic編集部

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