この船に乗れば色んなの来るよ

【対談】マヒトゥ・ザ・ピーポー×OMSB×Hi’Spec×YELLOWUHURU×三宅唱|GEZANとGHPDのコラボ『BODY ODD』 interview180824-bodyodd-10-1200x803

マヒト <FLATTOP>はどういうコンセプトでやってるの?

YELLOWUHURU 航空母艦と角刈りっていう意味があって。飛行船が降り立つというか、ジャンルとか関係なく、かっこいいもの集まる。

三宅 この船に乗れば色んなの来るよって感じ。

YELLOWUHURU そういう船を作ろう。大きく言えば、今回のリリースパーティーもそう。

マヒト よく考えたら、「BODY ODD」って俺とカマダがやったイベント名だよね。

Hi’Spec そうだ。青山蜂でやったやつ。俺は事故でいけなかった。

YELLOWUHURU 1回目の<FLATTOP>の時、マヒトからなんで俺を呼ばないんだって言われて。ちょうどそれから少し経って、青山蜂でイベントをやらないかって話をいただいたんだけど、開催日が6月9日(ロックの日)だった。それでマヒト。

マヒト 蜂もパンパンになって。東南アジアのレイブみたいだった。裏でthe pillowsの武道館があったんだけど、何も関係なかったね。

YELLOWUHURU そのあとに名古屋のGEZAN主催イベント名が「BODY ODD」で、同名の曲も作ると。

OMSB 気合の入った言葉だよね。

YELLOWUHURU 何から来たの?

マヒト わからない。

YELLOWUHURU 「ODD」の意味って知ってた? 知らないよね(笑)。

OMSB 僕は知ってるよ。

  

アルバムはジャケットとタイトルが7割

——「BODY ODD」もそうだけど、曲名っていつつける?

マヒト 正直それが一番難しい時あるよね。

OMSB アルバム名は、とりあえず歌詞を書き終わった時とか。曲は全部できてるのに、アルバム名だけで決まってないこともある。

マヒト アルバム名は一番難しい。

OMSB 『Think Good』(2015)は降ってきたかな。もともとアルバム名は「Gami Holla Bullshit」にするつもりで、「Think Good」も違う曲につけてたタイトル。でも、書いてるうちにこれが“Think Good”なんだなと。”Ride or Die”って曲は「考え方によって変わる」ものだったんだけど、ある時全部同じだと気付いた。それで今の『Think Good』になってる。

OMSB – ActNBaby feat. jjj (BLACK FILE exclusive MV “NEIGHBORHOOD”)

マヒト 坂本慎太郎さんと話してとき、アルバムはジャケットとタイトルが7割って言ってて。そんなにこだわってるんだって思ったし、『BODY ODD』は成功だよね。

YELLOWUHURU 歌詞なくて、ビートだけのやつとかはどうタイトルつけてるの?

Hi’Spec マジでノリ。

YELLOWUHURU オムスの未発表トラックで面白いやつあるよね。

OMSB 「海の近くの別荘での優雅なセックス」とか。

三宅 昔にSoundCloudにあげてる曲のタイトルとかひどいでしょ。

OMSB ジャンルも演歌とかにしてた。

  

オムスはヒップホップを全クリしてる

——GEZANって、一応どのジャンルにくくられる?

マヒト 一応パンク。

——ジャンルって気にする?

マヒト 全然気にしてない。

OMSB 俺は固執してる。ヒップホップ以外はやりたくない。

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三宅 オムスについて書かれてるツイートをたまにエゴサというか、オムサするんだけど、うまいこと言うなって思ったのが「オムスはヒップホップを全クリしてる」って。それだ!って思った。

OMSB 嬉しいな。全クリ、してたんだなぁって。体感もどこかあったけど、人に言われて実感が湧いた。

三宅 翔くんもそうでしょ? こないだ一緒にカリンバとか木琴を弾いて映画の曲作った時も、その弾き方がMPCと同じノリで。

Hi’Spec 芯にヒップホップがないとダメ。納得できなくなる。

——でもHi’Specのトラックを聴いてると、インダストリアルとか実験音楽とかノイズとか、自然と他のジャンルにタッチしちゃってる。

Hi’Spec 自分ではあんまり意識してなくて。多分好きなのかな。

マヒト もっと変な方に飛んじゃう人って多いじゃん。俺の印象だと、2人は基本的にヒップホップかな。やっぱり筋が通ってる。あと坊主が似合う。

OMSB 坊主は大切。やっぱりヒップホップに固執していたいし、その話しかできないというか。

  

「これだけしかわからないんで」

マヒト 最近はバランスが良すぎるかなって。バンドが好きだからバンドを始めたけど、ヒップホップが気になってUMB(ULTIMATE MC BATTLE)とかを2007年くらいでチェックして、過去のやつも遡ってさ。

OMSB みんなUMBはチェックするよね。俺もそうだもん。

マヒト そのくらいの時に「最近ヒップホップ聴いてる」って言ったら周りの友達は驚いててた。ちょっと「そんなの聴いてるの」ってくらいのテンションが周りにあったと思う。だけど、今では全員好きですって気軽に言えちゃう。ヒップホップだけじゃなくって、アイドルも好きだし、ノイズも好きって言えちゃう。でも正直それは何にも聴いてないじゃんっていう気持ちもある。

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三宅 それ新鮮だわ。俺より全然下の世代で20代前半の人たちとかは、ジャンルの壁がなくなってる感じがして、それはそれで羨ましく思ってた。

マヒト オムスがヒップホップに固執してるのは、周りを見てると少し新鮮。パンクとかもヒップホップがわからん、トッキントッキンみたいな、「これだけしかわからないんで」ってくらいが良いかなって思うところもあるから。

三宅 GEZAN SIDEに出てくる人たちはみんな「俺はこれだけなんで」って感じある。俺にとっては未知の遭遇もいっぱいあった。

OMSB 本当にやってるのが1本あるのは大切。

マヒト GEZANは方向性も散りまくってて、peepowでラップもする。最近はプロジェクト福島で盆踊りに行ってて、大友良英のオーケストラに俺が櫓の上で、浴衣で踊るみたいなのがあって、新しい自分に会った。

三宅 イーグル・タカ(GEZAN)が「BODY ODD」について、こんなマイクリレーもできるようになったんだってツイートをしてて、タカの視点ではマヒトの歴史も見えてるんだな、と思ったし、バンドっていいな、と。バンド映画が傑作多いのもよくわかる。