この船に乗れば色んなの来るよ
マヒト <FLATTOP>はどういうコンセプトでやってるの?
YELLOWUHURU 航空母艦と角刈りっていう意味があって。飛行船が降り立つというか、ジャンルとか関係なく、かっこいいもの集まる。
三宅 この船に乗れば色んなの来るよって感じ。
YELLOWUHURU そういう船を作ろう。大きく言えば、今回のリリースパーティーもそう。
マヒト よく考えたら、「BODY ODD」って俺とカマダがやったイベント名だよね。
Hi’Spec そうだ。青山蜂でやったやつ。俺は事故でいけなかった。
YELLOWUHURU 1回目の<FLATTOP>の時、マヒトからなんで俺を呼ばないんだって言われて。ちょうどそれから少し経って、青山蜂でイベントをやらないかって話をいただいたんだけど、開催日が6月9日(ロックの日)だった。それでマヒト。
マヒト 蜂もパンパンになって。東南アジアのレイブみたいだった。裏でthe pillowsの武道館があったんだけど、何も関係なかったね。
YELLOWUHURU そのあとに名古屋のGEZAN主催イベント名が「BODY ODD」で、同名の曲も作ると。
OMSB 気合の入った言葉だよね。
YELLOWUHURU 何から来たの?
マヒト わからない。
YELLOWUHURU 「ODD」の意味って知ってた? 知らないよね(笑)。
OMSB 僕は知ってるよ。
アルバムはジャケットとタイトルが7割
——「BODY ODD」もそうだけど、曲名っていつつける?
マヒト 正直それが一番難しい時あるよね。
OMSB アルバム名は、とりあえず歌詞を書き終わった時とか。曲は全部できてるのに、アルバム名だけで決まってないこともある。
マヒト アルバム名は一番難しい。
OMSB 『Think Good』(2015)は降ってきたかな。もともとアルバム名は「Gami Holla Bullshit」にするつもりで、「Think Good」も違う曲につけてたタイトル。でも、書いてるうちにこれが“Think Good”なんだなと。”Ride or Die”って曲は「考え方によって変わる」ものだったんだけど、ある時全部同じだと気付いた。それで今の『Think Good』になってる。
OMSB – ActNBaby feat. jjj (BLACK FILE exclusive MV “NEIGHBORHOOD”)
マヒト 坂本慎太郎さんと話してとき、アルバムはジャケットとタイトルが7割って言ってて。そんなにこだわってるんだって思ったし、『BODY ODD』は成功だよね。
YELLOWUHURU 歌詞なくて、ビートだけのやつとかはどうタイトルつけてるの?
Hi’Spec マジでノリ。
YELLOWUHURU オムスの未発表トラックで面白いやつあるよね。
OMSB 「海の近くの別荘での優雅なセックス」とか。
三宅 昔にSoundCloudにあげてる曲のタイトルとかひどいでしょ。
OMSB ジャンルも演歌とかにしてた。
オムスはヒップホップを全クリしてる
——GEZANって、一応どのジャンルにくくられる?
マヒト 一応パンク。
——ジャンルって気にする?
マヒト 全然気にしてない。
OMSB 俺は固執してる。ヒップホップ以外はやりたくない。
三宅 オムスについて書かれてるツイートをたまにエゴサというか、オムサするんだけど、うまいこと言うなって思ったのが「オムスはヒップホップを全クリしてる」って。それだ!って思った。
OMSB 嬉しいな。全クリ、してたんだなぁって。体感もどこかあったけど、人に言われて実感が湧いた。
三宅 翔くんもそうでしょ? こないだ一緒にカリンバとか木琴を弾いて映画の曲作った時も、その弾き方がMPCと同じノリで。
Hi’Spec 芯にヒップホップがないとダメ。納得できなくなる。
——でもHi’Specのトラックを聴いてると、インダストリアルとか実験音楽とかノイズとか、自然と他のジャンルにタッチしちゃってる。
Hi’Spec 自分ではあんまり意識してなくて。多分好きなのかな。
マヒト もっと変な方に飛んじゃう人って多いじゃん。俺の印象だと、2人は基本的にヒップホップかな。やっぱり筋が通ってる。あと坊主が似合う。
OMSB 坊主は大切。やっぱりヒップホップに固執していたいし、その話しかできないというか。
「これだけしかわからないんで」
マヒト 最近はバランスが良すぎるかなって。バンドが好きだからバンドを始めたけど、ヒップホップが気になってUMB(ULTIMATE MC BATTLE)とかを2007年くらいでチェックして、過去のやつも遡ってさ。
OMSB みんなUMBはチェックするよね。俺もそうだもん。
マヒト そのくらいの時に「最近ヒップホップ聴いてる」って言ったら周りの友達は驚いててた。ちょっと「そんなの聴いてるの」ってくらいのテンションが周りにあったと思う。だけど、今では全員好きですって気軽に言えちゃう。ヒップホップだけじゃなくって、アイドルも好きだし、ノイズも好きって言えちゃう。でも正直それは何にも聴いてないじゃんっていう気持ちもある。
三宅 それ新鮮だわ。俺より全然下の世代で20代前半の人たちとかは、ジャンルの壁がなくなってる感じがして、それはそれで羨ましく思ってた。
マヒト オムスがヒップホップに固執してるのは、周りを見てると少し新鮮。パンクとかもヒップホップがわからん、トッキントッキンみたいな、「これだけしかわからないんで」ってくらいが良いかなって思うところもあるから。
三宅 GEZAN SIDEに出てくる人たちはみんな「俺はこれだけなんで」って感じある。俺にとっては未知の遭遇もいっぱいあった。
OMSB 本当にやってるのが1本あるのは大切。
マヒト GEZANは方向性も散りまくってて、peepowでラップもする。最近はプロジェクト福島で盆踊りに行ってて、大友良英のオーケストラに俺が櫓の上で、浴衣で踊るみたいなのがあって、新しい自分に会った。
三宅 イーグル・タカ(GEZAN)が「BODY ODD」について、こんなマイクリレーもできるようになったんだってツイートをしてて、タカの視点ではマヒトの歴史も見えてるんだな、と思ったし、バンドっていいな、と。バンド映画が傑作多いのもよくわかる。