––––今回の『Konjac-tion』には坂本さんをはじめ、いろいろなアーティストが参加しています。こうしたアルバムの方向性というか、コンセプトはどういう意図からだったんですか?
吉永 まったく計画的ではなかったんですよ。坂本くんに頼んだのもギリギリだったし。かなり無計画。
––––昨年、ベスト盤をリリースした時のインタビューで、次のアルバムのコンセプトは“ディスコ”になるだろうとお話されていたかと思います。たぶん「ブロック・パーティ」というキーワードもその時のインタビューの時にすでに出てきていたと思います。その後、それらをどのように膨らませていったのですか?
大野 まず2011年のピーター(・マクドナルド)さんの展示で演奏させてもらったのが楽しかったというのがこのアルバムの出発点。いま振り返ると、あれもひとつの“繋がり”だったと思うんだけど、その後にアルバムのタイトルを『Konjac-tion』にしたいなって考えはじめて。でも最初から狙っていたというよりは、アルバムの制作過程で足りない要素を仲間たちに補ってもらているうちに、だんだんタイトル通りになっていったという感じ。
––––リミックス盤との2枚組というアイディアはどんな経緯からだったんですか?
大野 ベスト盤の時に、空のCD-Rをパッケージしたので、今回はまた違ったことをやりたいなあと思っていて。2枚組って実はこれまでにやったことがなかったし。
––––リミキサーには坂本さんもお馴染みの石原洋さんのリミックスが収録されています。かなりぶっとんだリミックスになっていると思いますが、坂本さんのご感想は?
大野 予想通りだった?
坂本 いや、いかにも石原さんがやりそうな感じだなって思いました。
吉永&大野&ムーグ 爆笑
坂本 ひょんな質問なんだけど、バッファロー・ドーターみたいなタイプのサウンドを作る時って、どの部分から作りはじめるんですか? 歌メロから?
吉永 歌メロとコードというのがあったり、リフがあったりとか、いろいろ。
大野 わたしたちがよくやるのは、みんなで一緒にスタジオに入って、それを基に作ったり、それぞれが作ってきた音源を聴いて発展させることができるかどうか考えたり。
坂本 いわゆるよくバンドがやっている作曲スタイルというか。
吉永 そうそう。普通。だけど今回は最後にいじって変えちゃったりもしたから、原型をとどめていない楽曲もある。スタジオで「せーの!」で録ったトラックのドラムを違うものに変えてしまったり、ベースの1フレーズだけを使って、他を全部変えちゃったりとか。
坂本 そうしたトラックは、前提としてちゃんとクリックに合ってるんでしょ?
吉永 基本的には合ってるね。
坂本 それは演奏するときにちゃんとクリックを聴きながらやるの? それともコンピュータ上で合わせてループさせたりするものなの?
吉永 今回はダンス・ミュージックっぽい作品にしたいって思っていたから、すべての曲でクリックを聞きながら演奏をしてるね。うちらの場合は、ドラムだけがクリックを聴いて演奏することが多い。ギターのループに合わせることもある。テンポがズレていると後からいじるのが大変だから。
坂本 あとドラムが生なのか打ち込みなのかわからないところがあって。
吉永 でしょ。でも打ち込みと生が混ざっている場合もあるよ。今回のアルバムに関しては、ドラムをばっさり取ったり、スネアはそのままだけどキックは残したりとか、もともとのトラックから変えていく作業をかなりやったんだ。こんなにやったことは過去にないかも。あ、あと今回新しくやった試みとしては、テンポを変えたりした。
坂本 テンポを変える?
吉永 ベーシック(初期段階のトラック)を後から聴いてみたら、ちょっとダルいなあって感じだったので、じゃあテンポを上げてみようって思って。で、アレンジを変えるタイミングでテンポも上げみたらグッと良くなって。
坂本 それはコンピュータで?
吉永 そうそう。劇的に良くなったので、すごい新鮮だった。なんだか楽器の専門誌みたいな話になってきたな(笑)。
坂本 人のレコーディング現場とか行ったことないから、他の人がどうやってレコーディングしているのか興味があって。
吉永 それはお互い様で、坂本くんがどうやっているのかも気になる。
坂本 僕は普通ですよ。
吉永 アナログ?
坂本 いやもうアナログじゃないです。でもプロ・ツールスは使ってなくて。
大野 ADATじゃないでしょうね(笑)。
吉永 カセットを入れるタイプじゃないよね?
坂本 違う(笑)。ハードディスク・レコーダーですよ。卓があって、最後はそれでアナログ・ミックスする。
大野 卓だけアナログか。じゃミックスはその場でやって、再現できないっていうね。
坂本 そうそう。
吉永 これ、完全に楽器の専門誌の対談でしょ(笑)。