––––別の質問もさせてください。今回の『Konjac-tion』に収録の“Don’t Stop The Music”は、タイトルが示すように風営法の「ダンス規制」に対するプロテスト・ソングになっているかと思いますが、この曲について教えていただけないでしょうか?
吉永 怒ってますからね。その怒りが素直に出たってだけですよ。
––––ここまでダイレクトにメッセージを提示したことは過去になかったのではないかと思います。
吉永 そもそも世の中には自分に関係のない問題なんてないのかもしれないけれど、これに関しては当事者も当事者だからね。しかも今回は“ブロック・パーティ”だったり“ディスコ”だったり、まさにダンス・ミュージックというコンセプトがあったわけで。ある意味では超クリティカルな問題なわけじゃない。今回のアルバムの中でも重要な曲のひとつだよね。
大野 制限されるのが、まず納得いかない。
吉永 制限の仕方もおかしい。まったくナンセンスな内容であるにも関わらず、ずっと法律として残っているのも変だし。で、変であることを議論せずに、突然、思い出したかのように取締がはじまって、捕まらなくもいい人たちが捕まって。風営法に限らず、最近はいろいろなことに同じようなことを感じるけどね。
––––特定秘密保護法だったり、集団的自衛権の問題だったり。
吉永 国民の多くが賛成していないのに、勝手に押し通してしまうわけじゃない。政府にとって都合の悪いことは、法律だろうがなんだろうが、権力で書き換えてしまうっていう。むちゃくちゃだよね。いまはそういう合点がいかないことに対する怒りがすごくある。風営法もそのひとつ。
大野 すごく視野が狭いなって思う。原発の問題にしろ集団的自衛権の問題にしろ、いまの目の前のことにフォーカスし過ぎて、次の世代やこれからの社会を作っていく人たちへの配慮が全然されていない。目先の都合の話ばかりだなって思う。
––––坂本さんはいかがですか?
坂本 同感ですね。世の中って異なるものたちがお互いに尊重し合ったり、どうにかこうにかバランスを取りながら共存していると思うんだけど、あいまいなものとか白黒はっきりつかない微妙なものが存在しにくい世の中になってきているなって感じます。一見、合理的で、わかりやすいものだけになってきているというか。そのあたりに恐怖を感じますね。社会全体に。異物が存在できないムードというか。
––––『ナマで踊ろう』はまさにそうした恐怖のようなものが、寓話のような世界観とサウンドで見事に表現されているように思います。また歌詞やメッセージに関してもこれまでの作品に比べ、とてもダイレクトだし、わかりやすく警告を促しているような感じがあります。
坂本 いまはそういうほうがいいのかなって。なんとなくですけど。
吉永 それ、わかる。私たちもいまそういう風に思っている。“Don’t Stop The Music”もそうだけど、素直に、そのまま伝えるっていう。いまそういう感じなんだと思う。