ーーご家族はあなたのセクシャリティについて尊重してくれました?

ええ。母と父は、開放的な考えの人たちだったから。理解し、受け入れてくれたわ。音楽に生きることも、女性を好きであることも尊重して好きにさせてくれた。そんな両親をもって私はとても幸運だわ。実はね、兄弟の1人もゲイなの。6人兄弟で、男、女、男、女と順番に生まれているから、私の1つ上の男兄弟の1人がゲイで、一番下の女兄妹の1人である私がレズなのも決められたことだったのかしらね(笑)。

ーーFacebookでは、同性愛問題についてもポストしていますよね?

ええ。でもまず、私のFacebookはメディアにもパブリシストにも邪魔をされないパーソナルな場なの。Facebook上のフレンドで私のポストを見ることができるのは、私が心を許せる理解のある人たちばかりよ。だからその人たちに向けて毎日おこる個人的なことを書いているだけなの。特に同性愛問題について声を荒げているつもりはないわ。同性愛というトピックは私の人生の一部だから当たり前のものだと思っているけれど、声を大にしてメディア向けに発言する内容ではないとも思っているわ。

ーーでは、MBVメンバーになって最も印象に残っているエピソードはありますか? 良い思い出や、悪い思い出などは?

ふふふ、あまりにもたくさんありすぎて選べない! 良い思い出はもちろん、でも1つ言えるのは、「悪い思い出などない」ということね。たくさんの人がいて、たくさんの人と関わって。人との関わりが深くなれば色々あるのは当然でしょう? だから悪い思い出があったなんて言いたくない。バンドにいるということは大変で苦しいこともある。でも、こうしていろんな人に出会えたり、たくさんのことを得ることができたりするから、やっぱり私はMBVにいて良かったね。本当に恵まれているわ。

ーーMBV再始動(08年)の話が来た時にはどう思いましたか?

初めてケヴィン(・シールズ)の口からその話が出たとき、正直あまり信じていなかったの。あまりにも時が経ちすぎていたから。でも、日に日に確信が高まっていったわ。再始動のためにスタジオに入り共に演奏を始めると、18年間の時を一瞬にして思い出すことが出来たの。メンバー同士の深い関係や、居心地の良さ、まるで全てが昨日起こっていたことのように。再び同じメンバーで演奏するのはとても楽しかったのだけれど、機材のセッティングなど現実的な問題も出てきたわ。だから再始動ライブの日が近づくにつれて、私はどんどんナーバスになってしまった。ロンドンの会場は私の家のすぐ側にあって、毎日窓から会場を眺めては緊張していたの。もちろん楽しみではあったけれど、とても緊張した日々が続いていた。チケットはすぐに売り切れてしまうし、何が起こっているのか信じられなかった。「本当に完売してしまったの!? もうやるしかないわね……」という気持ちだったわ。

My Bloody Valentine – “Only Shallow”

ーー再始動公演は僕も観に行きましたよ、ロンドンのRoundhouseへ。

あら本当に!? 私も毎晩会場にいたわよ(笑)、控え室にクルーのためのケータリングサービスがあるのだけれど私は家が近いのをいいことに、友達を誘って毎日ご飯を食べたわ(笑)。無料でランチをして、お茶をして。落ち着くために大活用させてもらったわよ。今はその家から引っ越してしまったのだけれど、たまに友達から「あの時みたいにケータリングサービスを使いたいのにー!」って怒られる(笑)。

ーーじゃあ、MBVのメンバーそれぞれの印象を教えてください。

あら、難しいわね! ケヴィンは……そうね、逆にあなたはどう思う?

ーーええっと、すごく繊細で、優しく、愛に溢れている人だと思います。

愛に溢れている……。そうね、それがケヴィンね。そして沢山の側面を持っている人。

ーーコルムはどうですか?

コルムも多くの側面を持っている。だから、一言で表すのは難しいわ……。多分私はメンバーのことを知りすぎているから、言葉で言い表せないのかもしれない……。色んな面を見てきたもの……。コルムもケヴィンの様に、繊細で、愛に溢れている人よ。そして、自分勝手でもあるわね(笑)。私自身、彼らに似ているところもあるし、全く違うところもある。その時の関係性でも変わってくるし、人の印象って知れば知るほど言葉で表せなくなるわね。

ーービリンダも同じ印象でしょうか。

ふふ、そうね(笑)。ビリンダはとても素敵な人よ。もちろんメンバー全員素敵なのだけれど、とくに面白い人だと思うわ。私とビリンダのユーモアのセンスって似ているのよ。一緒にいると楽しい。

My Bloody Valentine – “To Here Knows When”(Live)

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